(下)株式市場の『最高値』は頂上ではありません(しかし、個人の資産運用にはピークがあります)
2024年8月1日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
きのうの続きです。
昨日わたしは以下のように述べました。
株価指数そのものには寿命はありません。
が、あなたやわたしの命には寿命があります。
考えてみれば当たり前のことです。
当たり前のことなのですが、
『株価指数』が高値更新をしているその傍で、
残りの人生を「整える」ため
自らリスク量を下がる行動を、
私たち個人投資家は、なかなか取れないのです。
気持ちがついつい引っ張られて、
同じ程度の「リスク選好度」を保ってしまう・・
そして今、
あなたがあっという間に73歳になっていたら、どうでしょう。
あなたは、
「9200万円」をS&P500のインデックスファンドで保有している自分を想像できますか?
「なにもそこまで
リスクテイクしなくても良いのでは?」
と感じますか。
資産を増やそうとする姿勢そのものは、何も間違っていません。
ただ、
人生にはエンドがあって、
これから加齢すると、
心身ともに徐々に衰えていくわけですから、
73歳のあなたが、
トータル資産1億円のうち、
9200万円をS&P500のインデックスファンドで保有している状況で『暴落』に遭った場合の、
心理的なダメージの大きさを、
わたしなど、
ついつい考えてしまいます。
もちろんあなたも頭の隅では ↑ 感じているはず。
資産運用は頑張らないといけないのですが、
誤解がないように申し上げると、
何もリタイアしたら、
インデックスファンドを全部売りましょう。
という意味ではありません。
意識して、
リスク資産の『比率』を下げましょう。
ということです。
大事なポイントを整理してみます。
ちなみに
【その時】は、あなたが思っている以上に早いかもしれません。
もしも、です。
すでに58歳時点でトータル資産が1億円あり、
うち「9200万円」をS&P500のインデックスファンドで保有している状況であれば、
今すぐ『積立投資』を止めましょう。
すでに【その時】なのです。
65歳のリタイアを想定しているあなたは、
65歳が近づけば、
あるいは65歳になれば、
「ある程度インデックスファンドを売って、リスク量を下げようと思っていますよ。」と仰るかもしれません。
が、それは簡単なことではありません。
投資信託を解約することによって
リスク資産の比率を下げる行為には、
58歳時の今、
まさに『積立投資』を止めれば、
毎月、毎年残るお金をすべて、
預金、
個人向け国債・変動10年に回すことが出来、
『安全資産』の比率を高めていくことが可能です。
ですので、
【その時】はあなたが思う以上に「早い」のです。
もちろん、
トータル資産額によっては
あるいはリスク資産の比率の如何によっては、
58歳時からの
『積立投資』を半額程度にすればよい。
という人もいることでしょう。
『株価指数』は超長期にわたって
最高値を更新し続けてきました。
今後も人類が致命的なミスを犯さない限り、株式市場の賑わいが廃れることはないでしょう。
100年、300年、500年と
市場(マーケット)が存続し続けることを考えると、
あなたも
わたしも『長めの一瞬』
市場にリスク資産を託して、それなりの果実を得るだけの、瞬間の人に過ぎないことが分かります。
株価指数は決して教祖ではありません。
いつまでも同じ熱量で信奉する必要はないのです。
あなたの残り時間と、
あなたの個人的なパッションに基づいて、
人生後半の物語を描いていくことのほうが何倍も重要です。
個人の資産運用にはその『ピーク時』が存在するのです。
カテゴリ:インデックス投資全般, リタイアメント・資産の取り崩し