(上)株式市場の『最高値』は頂上ではありません(しかし、個人の資産運用にはピークがあります)
2024年7月31日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
S&P500指数などで、
今年30回目の最高値更新!
みたいな見出しを見せられると、
ここが天井(頂上)なのかな・・」
と思ってしまう自分がいます。
これは、
今現在を生きる個人投資家が陥りやすい『錯覚』と云えるでしょう。
実は、
2006年のコーネルさんも、
1996年のロジャースさんも、
1969年の相場を目撃したヒューストンさんも、
1951年当時、株式投資を実践していたラングさんも、
みな、
当時の株価指数『最高値更新!』の連呼を受けて、
「なんだかもう上がり過ぎで、
ここが頂上なのかな・・」
と勘違いしていたのです。
(実は)200年超の時間スパンで見れば、
『最高値』を絶え間なく、更新し続けています。
最高値更新!とは、
旭山動物園で白いトラが生まれたよ、という類の珍しいことではなく、木村屋のあんぱんは(今日も)美味しいよ。と同じくらい、普遍性が高い出来事なのです。
事実、S&P500指数の
1926年から2023年までのすべての月次『終値』を見ると、その約30%程度が新高値でした。
S&P500をはじめ、世界の主要な株価指数は、長期的には右肩上がりの軌跡を描いているため、
定期的、あるいは不定期に『最高値』が更新されるのは、日常の一風景のひとつなのです。
なるほど、
投資を続けていると、
ときに『大きな変化』と付き合わなければなりません。
上記は
S&P500指数の毎年毎年の『結果リターン』という名の、アップダウンの起こり方なのですが、
効率的市場仮説によると
このような『アップダウン』は規則性なく発生します。
つまり、
ファンド価格の「変化」は不規則にやって来るわけです。
ファンド価格の「振れ幅の大きさ」をリスクの大きさと規定すれば、
ファンド価格の「振れ幅の大きさ」(リスクの大きさ)も大きくなります。
大事なことなので、もう一度言います。
ファンド価格の「振れ幅の大きさ」(リスクの大きさ)も大きくなります。
ただし、です。
過去200年超、
株式市場の
毎年毎年の結果リターンという名の「アップダウン」の起こり方は、明らかに『アップ』=プラスのリターンに偏向してきたわけです。
だからこそ世界の主要な株価指数は
長期的には右肩上がりの軌跡を描いてきました。
だからこそ、
株式市場で『リスク』を負い続けた人は、
プラスの収益で報われてきたわけです。
しかし(もしかすると)
以下のように、
ちょっと意地悪な言い方をする人もいるかもしれません。
カンさん。
〇 あなたが積立投資で、
リスク資産を時間とともに積み上げ、
〇 その投資対象が
S&P500のインデックスファンドだとすると、
時間とともに
あなたの『リスク資産額』は積み上がるため、
たとえ
同じ程度のファンド価格の変動でも、
投資を長く続けるほど、
その結果リターンが
『ダウン』=マイナスのリターンに偏向する局面があれば、あなたの損失額はより大きくなってしまうよ。
と。
フム。
たしかに、
投資を長く続ければ、
背中に背負うリスク量が小さくなるわけではありません。
逆に、
投資を長く続けるほど、
『運用資産額』も大きくなるため、
絶対量としてのリスク総量はむしろ
長期投資によって「増す」と捉えるべきでしょう。
500万円の運用資産のマイナス30%は「損失150万円」ですが、
2億円の運用資産のマイナス30%は「損失6000万円」ですから。
以下、個人の資産運用アドバイスを長年行っている専門家としての意見です。
個人の資産運用では、
あくまであなたの人生ステージ上に「投資」という行いを載せるわけですから、
自分の運用姿勢の『ピーク時』を意識したほうがよいと考えます。
「ピーク時」?
はい、そうです。
したがって
個人の資産運用では『ピーク』を意識するべきなのです。
続く・・)
カテゴリ:インデックス投資全般, リタイアメント・資産の取り崩し