経済よもやま話

20年超のデフレが異常であって、今のインフレが正常なのです

2024年7月11日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

投資を避けてしまいがちな人が
口を酸っぱくして言われるのが、

 

自分のお金が減ったり(増えたり)という
アップダウンには耐えられそうにない。

 

という旨のことです。

 

この気持ちはよーく分かります。

 

かつての私がそうでしたから。

 

 

 

 

 

今でも
ファンド価格が大きく上昇したり、
大きく下落したりすると

「そわそわ」「ざわざわ」と、胸の内が揺さぶられたりします。

(何しろ大事な自分のお金ですから。)

 

 

今の話は、
わたしのお金 → 投資信託(リスク資産)→ 資産価値が上下する

という『流れ』ですが、

 

実は、
お金をお金のままで置いていても、
減ったり(増えたり)するのです。

 

 

 

 

 

突然ですが、
あなたは「新潟貯蓄銀行」ってご存じですか?

1915年に、
大正天皇即位の記念預金として

『100年定期預金』が作られました。

 

 

金利は年6%の複利でした。

 

この定期預金は
2015年に満期を迎えます。

 

 

なにしろ100年定期預金ですから、元本は約339倍にもなって戻ってきました。

 

 

 

 

 

仮にあなたが1915年当時、
新潟市の職員で

当時の月給50円
丸々この『100年定期預金』に預けたとしましょう。

 

 

100年後の2015年、
その50円は
約1万7000円に膨らんで返ってきます。

 

 

でも、

なんだか少ないと感じません?

 

 

『月給』を全額つぎ込んだ割には

今のお金の価値でいえば、
「たったの1万7000円?」って思ってしまいます。

 

 

何しろ100年です。

 

その間、戦争もありました。

 

 

当時の日銀の卸売物価指数によると、

終戦(1945年)からの1年間で
インフレ率は約5倍、
2年で約16倍、5年間では70倍を超えたと云います。

 

 

 

 

 

新潟市の
1915年当時の月給を50円とすると、

100年後の2015年には
月給25万円くらいはあるでしょう。

 

 

これで
実に 5000倍 です。

 

 

 

長い歴史の中では
「インフレ(物価上昇)が続いてきたよ。」とよく言われますが、

 

うしろに回って、
背中のほうから同じ事実を言い換えると、

長い歴史の中では、

 

一貫して、
「お金の価値(通貨の価値)は減ってきたのです。」

 

 

 

 

「お金の価値が減り続けてきた・・」
と言うと、
なんだかネガティブに聞こえますが、

これは実にポジティブなこと。

 

 

なぜなら、
人類が長きにわたって
付加価値を創造してきた結果、

現金の価値が一貫して下がり続けてきたからです。

 

 

繰り返しですが、

 

人間の歴史は、
お金の価値が減り続ける = モノの値段が上がり続ける歴史。

 

 

 

 

 

あなたが物心ついた時から経験してきた、

モノの値段が上がらない、

どちらかというと下がり気味・・という20年超は、

あくまで珍しい「デフレの期間」だったのです。

 

今までありがとう、サイゼリヤ、ダイソー、しまむら、ニトリ!

 

 

モノの値段が下がっていけば、

お金をお金のままで置いていて、
「お金が増えていた」わけです。

 

 

しかし、
日本において『インフレーション』は再び日常になりました。

 

 

 

 

画像元:Wall Street Journal

 

この先も、
お金の価値は減じ続けることでしょう。

 

これ自体、
決して悲観することではありません。

物事が正常化するだけです。

 

 

今から50年後、
あなたの月給が 250万円 でもぜんぜんおかしくないですし、

スタバのカフェラテ 5100円 でも納得できますし、

日経平均株価が 100万円 を超えていても別に不思議ではありません。

 

 

お金(数字)の価値は減じ続けるため、

実は数字としてのお金に、
あまり意味はないのです。

 

あるいは、
先進国株式インデックスファンドを買って、
20年で3.5倍になったよ! という成績(数字)にも、

実はあまり意味がありません。

 

 

 

これからの生活で
意識しないといけないのは、

 

お金がモノを買うチカラを、維持させていくこと。

 

これが暮らしを守る「基本」です。

 

 

 

 

 

もちろん、
ある程度は、個人向け国債・変動10年などの元本確保型の商品で、その目的を叶えられます。

 

 

が、

ある程度は、
あなたのお金(キャッシュ)を、特定の資産に変換させて、15年、25年後にもお金がモノを買うチカラを、維持させる努力が必要です。

 

これを投資と云います。

 

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