「債券」と「株式」はケンカしたり仲良くなったりします(下)
2024年6月28日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
私的に気に入っている表現があります。
それは・・、
『世界の営み全部に投資する』
ということばです。
世界の営み・・?
働いたり、湖池屋のポテチを食べたり、旅行に行ったり、寄付をしたり、家を買ったりという個人ベースでの生産、消費活動をまずは想像してみてください。
そこから、
世界の実にさまざまな場所で、
モノを作ったり、
サービスを創造したり、
それらを消費し、輸出、輸入したりと、
断続的にモノ・サービス、カネ、ヒトが
行き交う包括的な見取り図のことを「世界の営み」といいます。
ここに金融(ファイナンス)が嚙み合うと、
信用創造という、
世界の営み『増幅装置』が稼働し、
富のスケールがより大きくなります。
世界の富の9割以上が、
ふつうの個人が
マイホームとして不動産を所有しているとすると、
世界を股にかけ、
「債券」と「株式」を保有することが、
世界の営みに間接的に投資することになるでしょう。
(ちなみに、商品(コモディティ)、
REIT、暗号資産などは世界の富の中でほんのわずかなパーセントとしか占めません。)
昨日お話したように、
時価総額ベースでいえば
『債券』のほうが「株式」より大きいわけですから、
債券にも投資するというのはある意味『王道』であります。
その中で、
もっともベーシックな考え方とは?
日本でも期待インフレ率が上昇しており、金利がある世界に本格的に「戻った」と考えられます。
個人投資家にとっては、
流動性が高く、
選択肢が多い(毎月新発債)があるという意味合いで、
〇 個人向け国債(変動10年)という「債券」と、
〇 株式インデックスファンドの組み合わせが(実は)「債券」プラス「株式」の王道なのです。
次に、
上記にプラスして、
先進国債券インデックスファンド+全世界株式インデックスファンドの組み合わせがあります。
『先進国債券インデックスファンド』とは、
世界の主要国の国債をバランスよく混ぜ合わせた『債券ミックス』とお考えください。
幸いにも、
欧米各国+オセアニアで『中くらいの金利』が定着しており、さまざまな通貨建てでそれなりの利息が期待できます。
債券に関してはよく、
「金利」が上がる局面では債券価格が下がるため、投資に適さないとか、
「金利」が下がる局面で債券価格が上がり、はじめて投資妙味が生まれるなどと言われますが、
「株式」であろうが
それらを受け入れて、
長期で資産を持ち続けるというのが資産形成の鉄則であるはず。
であるなら、
「債券」を持つのに、
金利の低下局面なのか、上昇局面なのかをあまり気にし過ぎることはありません。
「株式投資」と同様、
良いも悪いも引き受けてこその長期投資ですから。
より重要なこととは?
「債券」と「株式」で
アップダウンの現出のしかたが同じではない。
= 異なるケースが多々ある。
という点ではないでしょうか。
以下は、
米国大型株式と米国10年物国債の相関関係(相関係数)の推移グラフです。
画像元:シュローダー
相関係数が「プラス」である場合、
すなわち、図表の上部に行けば行くほど、株式と債券の値動きは似通っているということになります。
逆に相関係数が「マイナス」であれば、株式と債券の値動きは異なる度合いが大きいといえます。
債券と株式は時に仲良くなったり、ケンカしたりするわけです。
次にリスク量についてですが、
1000万円の資産がある場合に、
全世界株式インデックスファンド1000万円のほうが、
500万円・先進国債券インデックスファンド+500万円・全世界株式インデックスファンドより期待リターンが高くなるのは当然です。
より大きくなるわけですから。
どちらがベターというより、
あなたのリスクに対する「裁量の大きさ」で判断すべきでしょう。
また、「債券」と「株式」を
あなたが任意に組み合わせる、
即ち、
個人で独自にメンテナンスする(=リ・バランスする)のもよいですが、拘りすぎる必要もありません。
最初から、
「債券」と「株式」を一定比率で混ぜてくれる『バランスファンド』という選択肢もアリでしょう。
バランスファンドの特筆すべき点は、
たとえば株式50:債券50という資産比率「固定型」の場合、
自分が毎日、
たとえば株式50:債券50程度のリスクを負っている = 同量のリスクテイクをしている・・と実感できます。
「債券」を買うとは、
誰かにお金を貸してリターンを得ること。
「株式」を買うとは、
誰かにお金を貢いでリターンを得ること。
株式も大事ですが、債券も大事なのです。