「債券」と「株式」はケンカしたり仲良くなったりします(上)
2024年6月27日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
結論から言いますと、
誰かにお金を貸してリターンを得ること。
誰かにお金を貢いでリターンを得ること。
文章にするとその違いが鮮明です。
まずは『債券』から。
「お金を貸す」ことは
太古の昔から行われてきました。
けっこう普遍的なヒトの行為です。
「お金を貸す」場合、
ちゃんとお金を返してさえくれれば
基本、マイナスにはならないわけです。
※為替リスクについてはちょっと棚上げしておきます。
1000万円貸して
1000万円戻ってくる。
ただ、それだけでは、
誰もお金を貸さないので(笑)
「貸す」という行為の
リスクに対するリワード(報酬)が必要ということで『利息』という概念が生まれました。
ところで、
あっ、慌てずに。
よーく考えてみましょう。
貸したお金が
返ってこない「危うさの大きさ」を示します。
貸したお金が返ってくる「確かさ」がとても高いという表れでもあります。
たとえば、
あなたが『アメリカ政府』に1万ドルを貸します。
満期は10年です。
貸す相手は『アメリカ合衆国政府』ですから、満期になったらほぼ確実に「1万ドル」は返してくれるでしょう。
アメリカ政府は
「たしかに1万ドルを借り受けました。」と 借用書 を発行してくれます。
債券投資とは、
お金の貸し借りを伴う投資のこと。
ですので基本、
相手方がきちんとお金を返してくれれば「問題なし」で、投資がコンプリートする、
したがって株式に比べると『リターン』が低くなるわけです。
注意点としては、
今の例だと「アメリカドル」で投資を行うため、為替のリスクを負うことになります。
それ以上に円高になったりすると、
債券投資でも「損」をすることがあります。
ただ、繰り返しですが、
債券投資は手堅い投資だからこそ、
期待リターンも低く、
リスクも相対的に高くはないのです。
先進国の政府にお金を貸す債券投資 = 国債への投資 です。
新興国への債券投資や、社債への投資や、投資不適格な債券全般への投資は想定していません。
次に、株式です。
株式投資とは一体なにか?
あなたのお金を「株式会社」に貢ぐ行為です。
仮にあなたが1000万円、
AIテック株式会社に『出資』したとします。
これはAIテック(株)に1000万円貢ぐ行為です。
~好きに使ってもらっていいよ。~
貢いでもらった側からすると、
この1000万円は返さなくてよいお金なのです。
その代わり、
お金を貢いでもらったので、
AIテックという会社の「所有者」である証しとして、同社は例えば1株とか10株とかの 「株式」をあなたに発行します。
AIテック株式会社の「株主」になるわけです。
もしも、ですが、
この会社が頑張って利益を上げてくれれば、あなたは「株主」ですから、配当をもらえたり、株価が上がったりして儲かります。
その代わり、
AIテック(株)がつぶれてしまったら?
あなたが保有する株式の価値もゼロに帰します。
「株式」はリスクが大きいです。
でも(もしも)うまくいけば、リターンも大きくなる。
「債券」を買うとは、
誰かにお金を貸してリターンを得ること。
「株式」を買うとは、
誰かにお金を貢いでリターンを得ること。
両者はまったく性格が異なる資産なのです。
そして意外なことに、
この地球上で、時価総額としてより大きいのは株式ではなく「債券」のほうなのです。
左が株式、右が債券です。
2019年12月31日現在
SOURCE: PIMCO, Haver Analytics, Bloomberg
画像元:PIMCO
続く・・)
カテゴリ:ポートフォリオ運用