インデックス投資全般

ダーツの旅ならぬ、ダーツ投げ投資の効用は?(ウォール・ストリート・ジャーナルの記事より)

2024年6月20日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

資産運用業界は長い歳月をかけて、

「プロに任せておけば大丈夫。」

という『神話』を作ってきました。

 

投資においては

 

自分で銘柄を選ぶよりも、
プロに任せたほうがよい結果になるよ。

 

という『物語』を積み上げてきたわけです。

 

 

こういう虚構(フィクション)を目の前にして、

 

例えば、ですが、

「株式一覧表」に向け
12回ダーツを投げ、

偶然当たった株式を
12銘柄買って1年間保持する・・・

 

 

 

 

 

そんな『お遊び』のような行為を、あなたならどう思われますか?

 

(そんなことして)果たして大丈夫なの?と、少し訝しく思ってしまうのでは・・。

 

 

なぜなら、
ダーツを投げる = 無作為に抽出する。ということですから。

 

 

ウォール・ストリート・ジャーナルの記者Spencer Jakabさんとそのチームは、以下記事にて、そんな『お遊び』の報告を行っています。

 

 

 

 

 

 

もちろん上記には「元ネタ」があります。

『ウォール街のランダム・ウォーカー』の著者バートン・マルキール氏が、同著の中で、

 

 

目隠ししたサルが
新聞の株式相場欄目がけてダーツを投げて銘柄を選び、
それを組み入れて作ったポートフォリオも、

 

専門のファンド・マネジャーが運用する投資信託も、結果はさして変わらないのだ。

 

と喝破していたのです。

 

 

なんとも大胆な仮説です。

 

 

ところで、
ウォール・ストリート・ジャーナルの執筆チームが試みた『ダーツ投資』には、当然「対戦相手」がいました。

 

 

 

 

 

いったい誰と対戦したのか?

 

2023年5月にニューヨーク市で開催された
『ソーン投資会議』で優れた投資アイデアを披露したファンドマネジャーの人たちです。

 

 

さてさて、
その結果は・・?

 

初めて同様の試みを行った2018年に続き、

今回もまた、プロは無作為の銘柄選択に完敗した。

 

2018年には、プロがダーツに22ポイントの後れを取ったが、今回は48ポイントの差がついた。

 

 

なんと、
Jakabさんのチーム(ダーツ投資組)は
プロの投資家に勝っちゃったのです。

 

 

 

 

 

私たちは、
ここでちょっと冷静になる必要があります。

 

「株式一覧表」にダーツを投げる行為と、
その道のプロが銘柄をピックアップする行為が、
その本質において
そんなに違わないというのは、一体どういうことなのでしょう?

 

 

これから先、
株価が大きく上昇する銘柄を言い当てるのは(やっぱり)難しいということ?

 

はい、それはそうでしょう。

 

 

さらに付加すれば、

 

今、この瞬間からの株価の値動きは、
過去の株価の動き方には依存しない。

 

ということでもあります。

 

意外とココが重要なのです。

 

 

 

 

 

過去100年超、
根っからの投資家も
また株式市場を研究してきた学者さんも、

 

正しい銘柄を選び切る「黄金律」(法則)を追い求めていました。

 

それは『暗号』の解読のようなものかもしれません。

 

 

しかし実際のところ、


「○○すれば、この先大きく株価が上昇する銘柄を見つけられる。」という『法則』は発見されていません。

 

 

なぜなら、

将来の株価の動きは、
過去の株価の動き方に依存しないためです。

 

昨日までの動きと、
たった今からの動き方はまったくの別物。

 

これは、
私たちが相対する株式市場というところが「だいたいにおいて効率的だ」という証左にもなります。

 

 

 

 

 

昔、
ユージン・ファーマという人が「効率的市場仮説」という論文を発表しましたが、

 

株価は今この瞬間から、
(過去の値動きとは関係なく)
「ランダム」(不規則)に動くからこそ、

 

『ダーツ』を投げて、無作為に選んだ投資対象でも、プロの投資家にそんなに劣後しないリターンが達成できてしまうわけです。

 

面白いですね。

 

WSJの記事から
少し長くなりますが引用しておきましょう。

 

 

ダーツで選んだ企業のうち、
マウイ・ランド・アンド・パイナップルなど、
一部は完全に初めて名を聞く企業だった。

 

われわれが危ないことに早速気付いた企業もある。

 

 

その一つのソフトウエア会社、
セマンティックスはのちに上場廃止となり、
97%以上値下がりした。

 

 

NGLエナジー・パートナーズは生き残って、
株価は117%上昇した。

 

 

ウエスタン・アライアンス・バンコープは
昨年広がった地方銀行を巡る懸念の影響を受けたが、
その後、大きく盛り返した。

 

 

 

 

仮に
100社の株式が上場していれば、

その100の銘柄は生き物として
それぞれキャラ立ちが違っており、

 

まるで100通りの
アップダウンが現出され、

その派手さ・地味さ、
パフォーマンスの良さ・悪さも、ことごとく独自性を維持しながら、日々株式市場の「中身」を構成している・・。

 

であるなら、

 

ダーツ投げをする、

それも、なるだけ多くのダーツを投げてしまう事が(わりと)理に適った投資スタイルになるとわたしは思うのです。

 

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