経済よもやま話

感性の引き出しをサイバー空間に明け渡さないこと! その2)

2024年6月19日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

昨日の続きです。

(今日は最後、
ほんの少し投資の話と関係しています。)

 

 

どうしてわたしは
『スマホ』を持たないのか?

 

理由は
このデバイスが携帯できるためです。

 

 

 

 

 

わたしは個人的に
外にいる時くらい、
ネット環境や、デジタルデバイスから「自由」でありたいと願っている人間です。

 

近代的な装備ツールをいっさい持たずに、ただ自分の足で(たとえば)散歩をする。
これをある種の「ぜいたく」と捉えています。

 

 

日常生活においても、
まず「ネット」に触るのではなく、

 

あれ?

あっ、

なんだ、これ?

と、何か感じたら、

その感じた方向に
少し身を任せてみる・・

 

 

 

 

 

そして
(なるだけデバイスには手を触れずに)
思考の引き出しをガチャガチャ鳴らしてみる・・

(もしかすると、)
そこから何かが膨らむかもしれないではないですか。

 

そういう所作が
自分の『感性』を守ることにつながると感じています。

 

 

いきなりスケールが大きくなってしまうのですが、

これまでの人類のイノベーションは
人間を補強するために存在しました。

 

あくまで主人公は『人』で、
テクノロジーは添え物でした。

 

 

 

 

 

ところが、
生成AIの隆盛による電脳社会の出現は、

 

最終的には、
ヒトとAIの『同期』にまで至るとわたしは考えます。

 

 

それよりずっと前に、
キーボードの端子が私たちの指に入るでしょう。

 

エンターキーの代わりに、
脳内での意思表示に変わるでしょう。

 

モニター画面の代わりに
私たちの網膜を拡張させた3次元画面が目の前に浮かびます。

 

ヴァーチャルリアリティに居るためのヘッドセットなど、早晩要らなくなるのです。

 

 

 

 

 

双方が補強し合って、
文字通りスーパー・ヒューマンが誕生すれば、それは喜ばしいことかもしれません。

 

が、しかし、

 

私たちの『感性』が
敗北を喫する可能性は高いのではないでしょうか。

 

 

なにしろアーティフィシャル・インテリジェンス(AI)は早晩「自律性」を備え、自ら考える力を有することになるためです。

 

それに対して
人間の脳の働き方、
つまり基本的な行動、思考のパターンは、100万年前の狩猟採集時代と大して変わりません。

 

 

自身の五感を用いて、
何を優先すべきかを自分で判断し、
さまざまな行動を自ら決定してきたヒト(私たち)が、

その「主席」をAIに譲って、

半ば劇場の観客のように、
自らの暮らしを傍観するようになる可能性が高いでしょう。

 

 

 

 

 

もちろん、
そこには無駄な行動など存在しません。

失敗という概念も霧のように消え失せるでしょう。

(ヒトはもはや、知力や感性を鍛える必要がないわけです。)

 

 

もちろん、
逆説的には、

羽目を外す無鉄砲な行動や、意味のない散歩や、デジタルデトックスそのものが流行するかもしれません。

 

あるいは
WiFi環境がない場所や、

半径500メートル内に
CCTVのカメラが設置されていない空間の『価値』が増すのかもしれません。

 

 

しかし、

 

そんなこんなの抵抗もむなしく、
ヒトはその『感性』を譲渡することになるでしょう。

 

 

 

 

 

繰り返しですが、
日々成長を続けるアルゴリズムによって装飾された電脳空間は、巨大テック企業群にとっては、とっておきの『ビジネス空間』であります。

 

互いがしのぎを削り、マーケットシェアを求める限り、ユーザーは囲い込まれ続けるのです・・。

 

(一生のうち、8割9割をデジタル空間で過ごす子孫が生まれることになります。)

 

 

感性は
包丁と同じで、
磨かないと鈍っていきます。

 

 

取捨選択の優先順位や
さまざまな判断、
行動の仕方をAIにゆだねるようになれば、

中世の社会のように、
私たちは神としてAIを崇拝する存在になるのかもしれません。

 

 

 

 

最後に、
わたしは投資家でもあります。

 

「オルカン」に投資する、
「S&P500」に投資するということは、

 

ユーザーをよりデジタル空間に依存させようとする巨大テック企業群を支持するということであり、

 

―それはまさに、
ヒトの感性を少しずつ少しずつ譲渡する相手方であり、―

 

パラドックスに満ちた行為です。

少なくともわたしはそう感じています。

 

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