経済よもやま話

感性の引き出しをサイバー空間に明け渡さないこと! その1)

2024年6月18日


こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

今日は投資とは関係のないお話です。

 

例えば、ある日の午後。

 

あなたが空を見上げると、
親ウマと子ウマがダンスしているような見事な雲(くも)に出会いました。

 

あっ!と、
思わず声が漏れます。

 

 

 

 

 

そのとき、あなたはどうしますか?

 

さっとスマホを取り出して、
その風景を写真に収めようとしますか。

 

気持ちは分かります。

 

 

この写真をインスタにアップして、みんなの反応を見てみたい。

そういうワクワク感ってあります。

 

 

 

 

 

しかし、
スマホを取り出して、

メッセージを入力して
写真をアップしようとしている間、あなたは「その行為」に夢中になっており、

 

親ウマと子ウマがダンスしている雲に感動した『あなた』を、置き去りにしています。

 

(これって)もったいなくないですか?

 

 

誤解を恐れずに言えば、

(それを)誰かに伝えるより、
(それを)まずは思う存分味わいませんか?

 

 

 

 

 

 

なぜなら、

それこそが
あなたの『感性』ですから。

 

人間が生き物として生きていくうえで、最後の砦(とりで)になるのは『感じる力』です。

 

 

親ウマと子ウマがダンスしている素敵な雲、
それに出会えたとき、

デバイスを手にするより、
まずは思いっきりあなたの感覚を広げてよいのです・・

 

たった一瞬の
感動の粒(つぶ)
もっとわがままに、押し広げてあげましょう。

 

そのときの空気の感触。
温度感のようなもの。

 

同時に見えた2階建ての商店や、
イチョウ並木や、

偶然通りかかった軽トラの車も一緒に、
しっかり記憶の箱に収めれば、

 

もしかすると数年先、
何かの拍子にまた今の風景を思い出して、

 

 

 

 

頭の中が開放されるような「すがすがしさ」を(再び)味わえるかもしれません。

 

それはデジタル写真1枚よりも、
SNS上の反応よりも、

豊穣な「感!」の容量を誇るとわたしは思います。

 

 

 

もちろん生活全般においては、
デジタルインフラを
効果的に活用することは必要です。

 

でも、私たちが『感じる力』まで譲渡する必要はありません。

 

 

 

 

 

実はわたしは
「スマホを持っていません。」

 

 

こうお話すると、たいてい驚かれます。

未だにガラケーです。

 

 

意識して、
インターネットやSNS全般に対して、距離を取ろうと努めています。

 

意外でしょうか?

 

X(旧ツイッター)は
仕事の一環としてやっています。

 

このブログも、
ホームページも
Zoom(ズーム)も

すべて仕事の一環といえます。

(YouTube動画を観るのは好きですが・・)

 

 

 

 

ネットも、
ChatGPTなどの生成AIも
たいへん便利なのですが、

そのいっぽうで、

利用したら利用した分だけ、
「情報を差し出している」と認識しています。

 

先日、
妻のスマホ内で
妻が見つけた調理器具を、

わたしのクレカを使って決済したのですが、
―わたしのノートPCは起動していません。―

 

その日から、
わたしのPC画面に「調理器具」の広告が出始めました。

 

なんで?

 

 

こんにち利用させてもらっているネット空間は、有形無形の『人質』を差し出しているからこそ「無料」である。

わたしはそう解釈しています。

 

もちろん、
ネット上の情報の網羅性には日々驚かされます。

デジタル空間上で
「知らなかったこと」をほぼ「知り得る」ようになっています。

 

 

 

 

 

インターネットという社会の中で、
知識武装できる、
あるいは楽しさを享受できるのはたいへん有難いことです。

 

しかし、です。

 

 

万が一にも
デジタル社会の進展によって、
私たちの『感じる力』が衰えてしまうようなら、それは、本末転倒だと思いませんか?

 

 

毎日毎日、

アルゴリズムで武装された(かつ、常にアップデートされる)ネット情報が、あなたの感性と嗜好と思考に影響を与えようと、あなたに押し寄せています。

 

 

もしかすると、ですが、
あなたの『感性』は敗北するかもしれません。

 

なにしろ向こうは
生物学的に武装しているのです。

 

 

ユーザーの感情を
快楽へ誘うように(そしてそれを繰り返すように)巧妙に設計されています。

 

距離感を保つ。
健全な懐疑心を持つ。

サイバー空間と付き合う心得だと思います。

 

 

 

 

 

また、ネット上のシステム、
その『根幹部分』を牛耳っているのは特定の民間会社(特に米系の巨大テック企業)です。

 

そこには経済的インセンティブが働きます。

 

一人ひとりの仕様に
アルゴリズムを調整、適宜変更し、情報に濃淡が帯びる・・

 

それは、
「あなた仕様」にアレンジされた現実です。

 

 

その目的は
あなたを心地よくして、
あなたに長く「その空間」に居させる(そして課金を目指す)ことです。

 

 

 

 

誤解がないように申し上げると、
わたしはネットなしの時代に戻りたい気持ちなど、微塵もありません。

 

そもそも、わたしの仕事が成り立つ前提条件に『ネットの活用』があり、デジタル空間の充実には、今も感謝しかありません。

 

 

しかし、そのいっぽうで、

 

生成AIを含むネット空間は
半ば寡占状態にある一部の巨大企業によって設計、コントロールされつつある『商空間』でもある。

 

そういう冷めた認識を持つことも必要なのだと思います。

続く・・)

 

カテゴリ:経済よもやま話

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