インデックス投資全般

インデックス投資が『主流』になると、株式市場のバブルを助長することに繋がるのか?(下)

2024年6月7日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

昨日の続きです。

 

―あくまで投資信託(含むETF)に限った話ですが、―

インデックス投資家が『主役』に躍り出ると、
マーケット全体にどんな影響を及ぼすのでしょうか。

 

先述の通り、
アクティブ投資家は貪欲で移り気です。

銘柄を物色し、売買を行い「アクティブ運動」を繰り返します。

 

 

 

 

 

いっぽうのインデックス投資家はどうでしょう?

 

いったんインデクスファンド(含むETF)を購入すると、基本『ホールド』する資金が多数派です。

 

 

本日も米国市場を例に挙げますが、

例えばS&P500のインデックスファンドなら、

指数を構成する500社の株式を
時価総額の大きさに比例して「持ち続ける」わけです。

 

ただホールドするだけなら、
別に組入れ上位銘柄を「買い上げていく」ことにはなりません。

 

重要なのは、
インデックスファンドに規則的に入ってくる「新たな投資資金」でしょう。

 

インデックスファンドでは、
規則的に資金を入金する「積立方式」に根強いニーズがあります。

※米国の確定拠出年金もすべて「積立投資」です。

 

 

例えば、
S&P500のインデックスファンドに、
毎月、毎月、新たな資金流入があるとは、いったいどういうことなのか。

 

 

 

 

 

※下記に示す「%」は仮定の数字です。
事実ではありません。

 

仮に、です。

2024年1月末時点で
S&P500指数における、

アップル、マイクロソフト、エヌビディアの各社(上位3社)が占める時価総額の「割合」が、

 

アップル    6%
マイクロソフト 5%
エヌビディア  4%

 

であったとします。

※仮定の数字です。

 

 

あなたはすでに『S&P500のインデックスファンド』を10万ドル分保有しますが、毎月1000ドル『積立投資』も行っています。

 

1か月後・・・、
「2月末」時点で、

 

S&P500指数に対する
アップル、マイクロソフト、エヌビディアの各社が占める時価総額の「割合」が、

 

アップル    6.5%
マイクロソフト 5.7%
エヌビディア  5.2%

 

 

のように「上昇していた」としましょう(2月末時点)

※仮定の数字です。

 

 

 

 

 

すると、

「2月末時点」で積立投資されるファンド資金のうち、

『上位3社』に振り向けられる資金の割合は(1月時よりも)大きくなっているはずです。

 

 

仮に、このような流れで、

3月末時点でも、
(S&P500に対する)『上位3社』の比率がさらに増していれば、

3月末時点で積立投資をする際には、
『上位3社』に振り向けられる資金の割合がもっと大きくなります。

 

 

以下「もしも」ですが、

 

向こう1年間、
「S&P500」が順調に右肩上がりになり、
「上位3社」の株価も上昇を続け、

 

結果として
「上位3社」の、

S&P500指数に対する『組入れ比率』が上がり続ける中で、S&P500インデックスファンドに資金流入が続けば、

 

それら新たな資金は(自然現象として)
(S&P500の)上位銘柄を『買い上げていく』ことになります。

 

 

 

 

繰り返しですが、
このような現象が、

アクティブ投資家が圧倒的に「多勢」(Majority)で、

インデックス投資家が「少数派」(Minority)という環境下で起こっていれば、問題にはならないでしょう。

 

 

 

 

 

インデックス投資家が「少数派」である限り、時価総額の大きい企業をさらに『買い上げていく』現象も、

市場全体から見れば、些細なことに過ぎないためです。

 

 

ところが、
―あくまで投資信託(含むETF)に限った話ですが、―

 

インデックス投資家が『多数派』(Majority)に転換することで、その影響は大きくなっていきます。

 

 

 

 

 

株式マーケットが好調で、
巨大な資金がインデックスファンド、ETFに集まり続け、

そして毎月、膨大な資金が追加投資に充てられるようになると、インデックスへの投資が株式市場のバブルを助長する要因になり得るのではないでしょうか。

 

 

しかも、
インデックス投資家の『特性』として、貪欲に、ファンドを乗り換えて「利確」をし、

結果として異なる銘柄群を保有するという行動はあまり取らない傾向にあります。

 

 

―つまりは、同じインデックスファンドを保有し続けるため、―

『上位組入れ銘柄』をさらに買い上げていくという現象に、自然加担することになるわけです。

 

 

 

 

 

もしかすると、ですが、
―以下、わたしの完全なる私見です。―

度重なる利上げにも関わらず、
また、逆イールド状態が1年半以上続いているにも関わらず、

 

米国の株式市場が上昇を続ける要因のひとつに、このインデックス投資の「影響力増加」が関わっているのではと、思ってしまう節があります。

 

最新情報です。

 

 

 

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