ポートフォリオ運用, 投資家の感情リスク

みんな資産が増えるエスカレーターに乗っているのに、自分はわずかなリスク資産しか投じていないと焦っていませんか?

2024年5月14日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

投資をしていると
『自意識』に捕まることがあります。

 

ある日、
米国市場がガタッと下がり始めて、

5日間くらい、だらだら下落し続けると、

 

「もしかすると、
タイヘンなことが起きるのではないか?」

 

という『自意識』に捕まってしまう。

 

 

この小さなパニックが起こると、

 

今までの自分の努力=コツコツ積み上げてきたファンド資産を、一度「確定」させたほうがよいのでは?(ファンドを売ったほうがよいのでは?)という気持ちに憑かれてしまったりします。

 

 

この気持ちはよーく分かります。

 

 

 

 

 

「真逆のケース」もあります。

 

 

今の米国市場がそうかもしれませんが、

何度か不意打ちのように急落することはあっても、
マーケットの足腰がしっかりしており、

上昇トレンドが揺るぎのないものに思えてくると、

 

「もっと積極的に株式ファンドに資金を投じたほうがよいのでは?」

 

という『自意識』に捕まってしまう。

 

 

みなが
資産が増える「エスカレーター」に乗っているのに、

 

 

 

 

自分はまだ○○〇万円しか
リスク資産にお金を投じていない。

 

手元をみると、
使う用途がない預貯金がある。

 

 

考えてみたら、

 

これって
「もったいなくないか?」

 

 

手元の無リスク資産については、

『生活防衛資金』として
毎月の支出の6ヵ月分くらいあれば大丈夫ってYouTube動画でも言っていたし、

 

 

 

 

 

やっぱ、
もっと大胆に
多くのお金を、株式ファンドに回そう。

 

 

という気持ちが募ってくるわけです。

 

 

こちらの気持ちも
ほんとうによく分かります。

 

 

こういう健全な欲は、
(投資家として)ほんらい褒められるべきものでしょう。

 

 

 

しかし、

あなたの中で、

 

より早く
より大きく
リスク資産を買ってしまわないと!と、

『焦りの気持ち』が入り混じっているなら、それは少々危険かもしれません。

 

 

特に
あなたが投資を始めてまだ1年、2年程度の初心者なら、

 

「慌てる必要はないです」
「ちょっと深呼吸しましょう」と、

わたしならアドバイスします。

 

 

 

 

 

一挙にリスク資産の『比率』を上げてしまって、

 

例えば、
今はまだ400万円くらいの株式ファンドが、

2000万円位になると、

株式市場が上昇し続ければ、
資産の増え方も顕著になりますが、

 

 

株式ファンド2000万円の状態から逆に、
大きく下落する相場がやってきてしまうと、
資産は一気に減ることになります。

 

 

リスク資産を増やすことが良くないのではなく、
リスク資産を増やす『スピード感』が重要ではないでしょうか。

 

 

仮に、

・向こう10年大きな出費はなさそう。
・あなたがまだ20~40代

であるなら、

 

ちょうど『新NISA』の年間投資枠(360万円)を埋める量感で、拡大つみたてをし、リスク資産を5年ベースで拡大させるという案には 賛成 です。

 

 

えっ、NISAはすでに別枠で投資計画がある?

 

であれば、

特定口座で、
たとえば200万円×6年とか、
360万円×4年とか、『拡大つみたて』でリスク資産の比率を高めるという案はいかがでしょうか。

 

 

積立期間を20カ月とか24か月以上かけて、

結果として
トータル資産の中で、

 

無リスク資産:リスク資産=2:8くらいにまで持っていく「判断」があっても別に構わないと思います。

 

 

 

 

 

こういうお話をすると、
すでに5年以上の投資経験があるあなたも、ソワソワしてきたりするものです。

 

 

仮にあなたの総資産が、すでに2000万円程度あるとしましょう。

 

今、無リスク資産:リスク資産 = 4:6 であり、
  (800万円) (1200万円)

ちょうど心地いいリスクの取り方だと感じています。

 

 

しかし上述のように、
株式市場が好調だと

「もっと早く」
「もっと多めに」リスク資産を買い増ししたくなる。

 

「手元の預貯金ってあんま意味ないのでは?」という思いが募る。

 

でも、
別に、

今までのリズムを維持していても、もったいなくはありません。

 

 

逆に、ですが、
ほんとうにマーケットの『急落』とか『暴落』がやってくれば、

 

おのずと、

無リスク資産:リスク資産 = 4:6 が、

 

無リスク資産:リスク資産 = 5:5 とか、
無リスク資産:リスク資産 = 6:4 変化 するわけです。

 

 

その時『リ・バランス』をして、

無リスク資産:リスク資産 = 4:6 に戻すという考え方も、

別の意味で(立派に)「アグレッシブだ」とわたしは思います。

 

 

無リスク資産:リスク資産 = 6:4を、無リスク資産:リスク資産 = 4:6戻す過程で、

 

 

これまで意味がないと思っていた「預貯金」という貴重なアセットで、株式ファンドを買い増す機会に恵まれるわけです。

 

 

 

 

 

より大胆な話をすれば、

本当にお勧め出来るのはごく一部の人に限られますが、

 

株式市場に暴落、クラッシュが実際起こった際に、

 

無リスク資産:リスク資産 = 4:6 の基本方針を、
無リスク資産:リスク資産 = 2:8 に変更するという、

 

『リ・アロケーション』を実施しても、
わたしは別に構わないと思います。

※もしもあなたが20~40代なら。

 

 

真のリスクテイカーは、

市場が上がった上がったと浮かれるときに「買い増し」するのではなく、市場が下がった下がったと悲嘆に暮れるときに黙って「買い増し」をするものでしょう。

 

カテゴリ:ポートフォリオ運用, 投資家の感情リスク

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