まるでトッピング8種のピザみたい? eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)が7歳の『誕生日』を迎えました
2024年5月9日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
バランスファンドはしばしば、
「初心者向けの投資信託」と評されます。
有名な「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」を例に挙げてみましょう。
この資産配分は分かりやすく、
まさに『8色ピザ』みたいです。
ちょっと意地悪く言えば、
「単純すぎない?」
「自己主張がなく、のっぺりした資産配分だな」という声も聞こえてきそう。
さらに言えば、
運用を開始して以来の
「結果リターン」も地味じゃね?
と揶揄する人もいることでしょう。
満7年の運用期間を振り返って、
累積の結果リターンはプラス64%(5月8日現在)
仮に2017年に「100万円」相当
当該ファンドに投資した人は、
資産が164万円程度に成長しています。
これって地味ですか?
実はこの『8資産均等型』、
8つの母親ファンドを
「つまみ食い」して組成されています。
実際に銘柄(株、債券、REIT)を買い付けているのは『マザーファンド』(母親ファンド)のほうで、
これらを均等につまみ食いしているのが、
「eMAXIS Slim バランス」(ベビーファンド)なのです。
上記8つの『マザーファンド』は
いずれも潤沢な「純資産残高」があり、
マザーファンドの維持コストが低く抑えられることで、
結果ベビーファンドそのものの
コストも低く抑えられています。
続いて、
8つの資産を『均等』に保持する意味合いです。
この部分の解説によって、
「8資産均等型」がたいへんユニークな『投資哲学』を持つファンドであることがご理解いただけるでしょう。
「8資産均等型」ファンドは
どの資産にも、あるいは
どの国・地域とも、
「肩入れはしないよ」と宣言している投資商品です。
たとえば
「国内株式」「先進国株式」の価格が大きく上昇したとしましょう。
「8資産均等型」は
それらの投資対象を少なく買い付けます。
逆に、
「国内リート」「先進国リート」の価格が大きく下がっていれば、当該ファンドはそれらの投資対象を多く買い付けます。
なぜかって?
『8資産』を『均等』に保つためです。
・価格がどんどん上昇する資産は
どんどん少なく買います
・価格がどんどん下落する資産は
どんどん多く買っていきます
以下図表(俗にスパゲッティチャート呼ばれます)で明らかな通り、
異なるさまざまな資産(アセット)について、
そのパフォーマンスの良し・悪しに『規則性』はありません。
さまざまな投資対象は
不規則に、その成績が『浮き沈み』しているわけです。
誰も来年の「ベストの投資対象」は予測できない。
であれば、「8資産均等型」のファンドを保有していれば、
その年のベストにもなれない代わりに、
その年のワーストになることもありません。
そういう戦略を内包するわけです。
どの国・地域も、
どの資産も、
「等距離で見据えている」(= 同じくらい信用していない)という、達観した視点を堅持するのが、
「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」なのです。
かつて個別株投資をされていたあるお客様は
『8資産均等型』を評して次にように言われました。
ちなみにその相談者さまは、
個別株投資から、
「8資産均等型」へ大規模なお引っ越しをされ、引退されています。
バランスファンドは決して初心者向きの投資信託ではないのです。
カテゴリ:バランスファンド