マネー全般における『A』だから『B』という解釈は、ひょっとするとあなたの勘違いかも?
2024年5月4日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
大切なルールとか法則は、
その内部で明確な関係性を持ちます。
『A』の場合は『B』で対処すべし。とか。
以下、1つめの「具体例」です。
「繰上げ返済」はしなくてよい。
ん?
これは一見正しいように見えます。
実際、上記が『正しい人』もたくさんおられるでしょう。
でも、です。
仮に今5000万円の住宅ローンがあって、
1年あたり、
税額控除される『金額』(最大限)に比べて、
あなたが実際に支払っている「所得税・住民税」(1年あたり)のほうが「少ない」のなら、繰上げ返済できる『余裕』があるということですね。
であれば、
別にローン控除を利用しながら、
繰上げ返済を行ってもよいわけです。
繰り上げ返済とは、リターンを確定できる資産運用でもあります。
次、2つめの「具体例」です。
時価総額トップ10のみに投資を行う、
「Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)」に乗り換えたほうがいい。
これ、あなたはどう思われますか?
アメリカの株式市場が好調なのは事実です。
でも、
マーケットのパフォーマンスの有り様と、
あなたがどの程度大きな『リスク』を負えるか(=リスク耐性の大きさ)は、まったく別の問題ではないでしょうか。
上述の
「Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)」は5月16日に設定されますが、組入れ銘柄を見れば、
コロナ禍以降の米国市場を牽引してきた
「巨大テック系企業」が多数を占めているのが分かります。
圧倒的パフォーマンスのおかげで
この数年の米国株式市場の好調がある。
だから
そちらに乗り換える?
それって、
これまで高いリターンを上げてきた投資対象を『後追い』することになりませんか?
しかも、保有企業数がまったく異なります。
10社のみ VS. 500社
誤解がないように申し上げると、
S&P500のインデックスファンドも
「巨大テック系企業群」はしっかり組み入れていますし、立派に高リスクな投資対象です。
むしろこれから先、大切なことは、
圧倒的パフォーマンスで
米国市場を牽引してきた
『テック系企業』が総崩れの局面になっても、
次、3つめの「具体例」です。
とりあえず「インデックスファンド」を買っておく。
んー、
これもホントにすべての人に当てはまるのでしょうか。
脊髄反射的に、
みんな)インデックスファンドが良いよ!
あなた)インデックスファンドを買っておこう。
と行動してしまうと、
逆に『インデックスファンド』を知る機会を逸することになりませんか?
投資に限らず、
特定の行為、特定のコトとあなた自身の間には、『相性』というものがあります。
もしかすると、ですが、
あなたは『推し』の部分があってはじめて
リスク資産を保有できるタイプかもしれないわけです。
ハイ。
これは昔伺った、あるお客様の話です。
その人は
小田急電鉄の株式を30年近く持っておられました。
そんなに長く持っておられるのですか?
―今も昔もずっと小田急を利用していて、
株主優待もあるし、
何よりここの会社はわたしの生活(人生)とともにあると実感しているからです。
学生時代からずっと、
会社員時代も続けてずっと、
出会いとか別れとか、
成長とか挫折とかの時間もみんなひっくるめて、
ここの交通機関が、わたしのこれまでの暮らしをぜんぶ記憶してくれていると感じます。
なので、死ぬまでずっと応援したい気持ちなんです。―
JRの写真ですみません。
そういうお気持ちで株式を持っているので、
価格(株価)が上がった下がったは気にならないですし、小田急の株を持てていることに『満足』を感じているわけです。
これは、
S&P500のインデックスファンドや
全世界株式のファンドを保有するのとは、
ちょっと次元が違う話です。
もちろん、誤解がないよう申し添えますと、
広く分散を施したインデックスファンドだから、短期的な値動きを気にせず「長く持ち続けられる」「その対象を持ち続けることに満足を感じる」という人も大勢おられます。
大事なことは、
あなた自身がどんなタイプの投資家なのかを知ることでしょう。
投資に限らず、
自分にとっての『正解』を見つけることに意味があるのです。