インデックス投資全般

ETF業界は大手3社の寡占状態です

2024年4月25日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ストレートに申し上げると、
ETFも
インデックスファンドも、

もともと「寡占化」しやすい市場です。

 

 

なぜかというと、
扱っている商品が
『市場平均』をなぞる道具であるためです。

 

この種の商品は、

〇 他社とは異なる運用
〇 差別化する運用が「しにくい。」

と言いますか、

「ほぼ不可能」です。

 

 

 

 

 

なぜなら、
運用のゴール
(= 市場平均との連動を目指す事)が各社『同じ』であるためです。

 

ということは?

 

最初のほうは
ETFやインデックスファンドの運用をたくさんの会社で競っていても、

 

やがて「資産の規模」と
「低コスト化」で差が生じ始め、

最終的には大手の『数社』に収斂していくという傾向にあります。

 

 

冷徹な言い方をすると、
インデックス投資の市場は
『勝者総取り』の側面があるのです。

 

 

 

 

以前、バロンズの
ETF業界、大手3社寡占の是非』という記事を読んでその思いを強くしました。

 

上記記事には
次のような「数字」が出てきます。
(いずれも米国上場のETF市場を指します)

 

〇 ETF業界の規模は4兆ドル。
〇 そのうち上位3社で
資産全体の80%を占める。

 

スゴいですね

 

 

その上位『3社』とは?

・ブラックロック(iシェアーズ)
・バンガード
・ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ です。

 

(ちなみに、米国のETF市場全体では
運用会社は100社以上あります)

 

 

下記は2021年ブルームバーグ記事からの引用です。

 

 

 

たしかに上位3社で8割の寡占です。

 

 

寡占化が進んでいるのは
インデックスファンドも同様でしょう。

 

日本でいえば、
今、オルカン、S&P500で一世を風靡している

三菱UFJアセットマネジメントの
「eMAXIS Slim シリーズ」のマーケットシェア拡大が記憶に新しいです。

 

 

これまでの歴史を振り返れば、

ETF、インデックスファンドにおいて、
大手運用会社間で
苛烈な『コスト競争』が起きた結果、

あなたやわたしのような個人投資家が、超低コストという恩恵に浴している側面があります。

(これは素晴らしいこと。)

 

 

 

 

 

ただ、
冒頭の米国上場ETFの話題に戻れば、

米国の監督当局は
米国のETFの状況に少なからず「危惧」を抱いているようです。

 

 

この状況に対して米証券取引委員会(SEC)は、

 

業界のイノベーションの力をそぐ、
もしくは投資家の選択肢を少なくしているのではないかとの疑問を抱いている。

 

※この状況とは、
大手3社がETFシェアの8割を握っている状況のこと。

 

 

運用業界に限らず、
あらゆる産業界で、

『寡占』『競争』は長く
綱引きを繰り返してきました。

 

 

「独占(寡占)」⇒「それを抑止」⇒「創造的破壊」⇒「新たな競争」⇒「独占(寡占)」・・

 

 

たとえばコンピュータ業界では、

かつてIBMが独占禁止法により
マイクロソフトを買収することが出来ず、

(結果、)
「健全な競争」が維持されたという例もあります。

 

 

上記バロンズの記事内で、

SECで投資運用部門の責任者を務めるダリア・ブラス氏のコメントが紹介されています。

 

「中小規模の資産運用会社という選択肢が
業界統合と運用報酬低下の波の中で失われている点が、

 

一般の投資家にとって
どのような状況をもたらしているのか懸念される」

 

 

 

 

 

たとえば、
低コストだけではない、
あるいは規模の追求だけではない、

ファンドという商品の『多様性の確保』を促す発言だとわたしは思います。

 

 

裏を返せば、

それだけ
ETFやインデックスファンドが
巨大なプロダクト(製品)になっているということでしょう。

 

 

インデックス型の商品が大きくなれば、
それだけ市場に及ぼす影響も大きくなります。

 

インデックス投資の問題点についても当ブログでは触れていきたいと思います。

 

 

追記)

そういえばこんなニュースが飛び込んできました。

日経新聞電子版 世界の投信 パッシブが過半

 

インデックスファンド(含むETF)が
市場の中で「多数派」になってしまうと、

マーケットで売買される
個々の株式の『価値発見機能』が損なわれる可能性があります。

 

カテゴリ:インデックス投資全般

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