月10万円の配当金か、月10万円のファンド部分解約か?(そもそも『税金の額』が異なります)
2024年4月20日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
※本日のお話は、特定口座(課税口座)を前提としています。
定年退職が対岸に見えてくると、
誰しも「定期的な収入」(インカム)を意識するようになります。
どうやって「定期収入」を得ようか?と模索するわけです。
いちばん分かりやすいのは、
最初から『定期収入』がセットになって
向こうから配ってくれるタイプの「投資商品」でしょう。
高配当の個別株式や、
高配当株のETFが当てはまります。
たとえば4000万円のリスク資産を保持していれば、
年3%の配当(分配金)利回りの想定で、
月10万円程度の『定期収入』となります。
これは分かりやすいですね。
高配当株では「配当金」
高配当株ETFでは「分配金」という呼び名ですが、
どちらも利益と見なされるため、
『配当所得』として
20.315%が課税されます。
ここでは計算がしやすいよう、
ざっくり20%の課税と見なしますが、
あなたに「月10万円」の
配当・分配金があれば、
手取りは8万円となります(税の支払い分が「2万円」)
これはこれで
分かりやすい定期収入戦略です。
ただし、です。
定期的収入(インカム)を得る方法は他にもあります。
以下、
オプションとして考慮してみてください。
4000万円相当保有するインデックスファンドを
定期的に部分解約しても(別に)よいわけです。
今は「投資信託・定期売却サービス」などがあり、
部分解約を自動化させることが出来ます。
先ほどの例に倣い、
リスク資産の3%程度、月10万円を
仮に毎月「部分解約」するとしましょう。
投資信託の解約にあたるため、
当然こちらも『課税』されます。
あなたがファンドを解約した
「10万円分」に対して、20.315%が課税されますか?
あれ?
ちょっと違いますね。
ファンドを解約する「10万円」は、
全部が全部『利益』というわけではありません。
したがって、
「10万円」× 20.315% の計算式にはなりません。
ここから、
具体的シミュレーションです。
仮に時価(評価額)4000万円のインデックスファンドのうち、含み益が2000万円あるとしましょう。(即ち「元本部分」は2000万円)
すると・・?
「10万円」の5割、
5万円が『利益』と見なされます。→ これが『譲渡所得』
概算になりますが、
5万円(譲渡益)× 2割の課税で、税金額は「1万円」です。
以下、両者とも概算ベースで比較してみましょう。
B 月10万円 ファンド解約 → 税金およそ1万円
(B:ファンド時価に対する利益の割合が5割のケース)
おおよその額ではありますが、
Aの手取りは 8万円、
Bの手取りは 9万円と、
1万円の違いが生じます。
あなたが長いセカンドライフの『取り崩し戦略』を真剣に考えるなら、
・同じ10万円の「インカム」でも、
・手取り額の違いが生じる事実は
意外と重要ではないでしょうか?
もちろん、
理屈として「そもそも取り崩しの中身が違うじゃないか」と『反論』もできます。
高配当株式や、高配当株ETFでは
『利益』だけを配当として配っており、元本は温存しているわけです。
いっぽうインデックスファンドは、
解約する際、
その中身が『元本+利益』となります。
ここで、老後の取り崩し戦略の「基本」に戻る必要があるでしょう。
資産を規則的に取り崩すステージとは?
簡素に、かつ効率的に資産を使っていくことに重きを置くわけです。
また、そもそも論として、
投資信託も、
個別株式も、
ETFも、
みなリスク資産の一種としてその価値が長期的には増すことが期待できます。
であるなら、『元本』+『利益』を取り崩すのはOKと割り切って、よりシンプルに投資の「下り道」を歩んでいくべきではないでしょうか。
さらに申し添えれば、ファンドの部分解約なら、自身で「金額」を決められます。
配当金や分配金は、
向こう側の思惑で「金額」が決まり、かつ変更され、
これは意外とストレスです。
わたしなら、
月10万円の配当・分配金より、
月10万円のインデックスファンドの部分解約を選びます。
カテゴリ:リタイアメント・資産の取り崩し