経済よもやま話

円安が進行すると、外国株投資は難しくなる?

2024年4月16日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

こんなに『円安』が進むと、
外国株式ファンドへの投資が不利になりませんか?

 

そういうご質問をよくいただきます。

 

 

 

 

画像元:日テレNEWS

 

 

仮にあなたが
「S&P500インデックスファンド」に積立投資をしているとしましょう。

今1ドル154円とします。

 

もしも米国の株価が変わっていないとすれば、
1ドル100円の頃に比べると
同じ1万円の積立投資でも、
購入できる米国株の『株数』は
明らかに減っていることになります。

 

 

それだけ円という通貨の購買力が「減じている」わけです。

 

 

気持ち的に、
よりキツくなるのがETF投資でしょう。

 

 

 

 

 

米国に上場するS&P500ETFは、
価格が『ドル建て』で表示されます。

 

1ドル155円、160円と「円安」が進むと、 うわぁ、より割高にETFを買うのか&自分が保有する通貨の弱さを実感させられます。

 

 

誤解がないように申し添えると、
S&P500のインデックスファンドも
円をドルに替えてファンドを購入する点ではETFとまったく同じです。

 

 

しかし投資信託は「円建て」で価格が表示されるため、円安時の気持ちのキツさをある意味、誤魔化しやすいのです。

 

 

 

 

ところで、あなたが積立投資を始めて間もないビギナーなら、
外国株式ファンドに投資する際、
もっとも望ましいのは「円高・株安」でしょう。

 

『円高』で、
株価が『安い』ほうが
たくさん「口数」が買えるためです。

 

 

円高 円安
株価 ↓ 最高 そこそこ
株価 ↑ そこそこ 最悪

 

ですので
今の「円安・株高」はすこぶる居心地が悪いです。

 

 

 

 

 

ところが、
投資を始めて10年、15年が経過し、
運用資産額が2000万円、3000万円にもなる「あなた」ならどうでしょう?

「円安」の状態はさほど気にならないはずです。

 

 

円高 円安
株価 ↓ 最悪 そこそこ
株価 ↑ そこそこ 最高

 

 

むしろ、
今まで積み上げた運用資産額が

(たとえ株価がそのままであっても)
『円安』が進めば進むほど、かさ上げされることになります。

 

 

 

 

 

結局のところ、
「投資のステージ」によって、

円高が好ましく感じたり、
円安を好ましく感じたりと、

私たちの心持ちは『変遷』していくわけです。←ココ、重要。

 

 

また、為替レートの変動は
絶え間なく続く、
多通貨間の『人気・不人気コンテスト』のようなものです。

 

メディアは「円ドルレート」ばかり報道しますが、
別に「円」と「ドル」という2通貨間のレートのみが、すべてを決しているわけではありません。

 

為替レートの『組み合わせ』は世界中で何百種類にもなり、

「円安・ドル高」になっても、
「円高・ユーロ安」になる局面もあります。

 

 

 

 

また、
「ユーロ高・豪ドル安」が顕著でも、

それにも増して
「豪ドル高・ポーランドズロチ安」が進行する場合もあります。

 

 

世界通貨という『盤面』から見れば、
一つひとつの通貨の価値の現出は「相対的」なものなのです。

 

 

 

 

ある通貨と、円という通貨のレートが、

例えばずっと『一方向』に終始する、

つまり「右肩上がり」が永遠に続いたり、
逆に「右肩下がり」が永遠に続いたりということはあり得ません。

 

 

為替レートの変動は
株価の変動とは根本的に異なるのです。

 

 

 

いちばん良くないのは
直近の為替変動を読もうとすること。

 

為替の極端な動きに合わせて、
つみたてを休止したり、
積立金額を減らしたりしないように注意しましょう。

 

 

仮に、ですが、1ドル220円の時代が来てしまうと、

1ドル155円もその地点から見れば
立派に「円高」に映ります。

 

あるいは逆に、
1ドル155円の地点から見て、
予期せぬ「円高」への振り戻しが、ある時期に突然始まる可能性もあります。

 

私たちが現時点で感じている「円安」「円高」という感覚も、相対的な面を有しているのです。

 

ほんらい為替の予想は、株価の予想より難しいもの。

 

 

 

 

また、外国株式投資 = 価格変動リスク+為替リスクと記せますが、


この理不尽なリスクを負って長期投資に励んでいるのは、なにも日本人だけではありません。

 

ノルウェー人もシンガポール人も、
タイ人もチリ人も、

為替変動の『大きさ』よりも、
なるだけ広く分散投資を実践する有効性のほうが『より大きい』と承知しており、

粛々と国際分散投資を続けているわけです。

 

 

最後に、

掲題の「円安が進行すると、外国株投資は難しくなる?」の答えですが、まったく難しくはなりません。

 

ただ『期限』があると感じています。

 

 

 

 

 

それは、レイトマジョリティーが外貨を買い始める前までに、という期限です。

 

(あくまでレアな可能性に過ぎませんが、)

個人の金融資産2100兆円のうち、400兆、500兆円規模で「円」から「外貨」へのシフトが起こるような『海外資産への熱狂』が起こる前に、

健全なる外国株式投資を進めておくべきと考えます。

 

 

 

カテゴリ:経済よもやま話

おすすめの記事