「NISAなんてやってられないよ」という銀行、証券会社の声が聴こえてきそう
2024年3月31日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
本日は
金融機関から見たNISA制度のお話です。
最初に「確認事項」です。
数多ある銀行さんや証券会社さん、
つまりは販売会社さんが、
「投資信託」を
自社の商品として取り扱うか否かは
その金融機関さんの「自由」ですよね。
同様に、
数多ある銀行さんや証券会社さんが、
その金融機関さんの「自由」です。
(NISA口座を扱うことは、
別に金融機関の義務ではありません!)
上記を押さえつつ、次のお話です。
2月29日現在、
金融庁に届けられている
NISA「つみたて投資枠」に登録されている投資信託は 計274本です(ETF除く)
これは登録されているファンド本数であり、
金融機関(販売会社)で品揃えされている本数ではありません。←ココ、勘違いが多い。
次です。
下図は
主な銀行、証券会社が
NISAの『つみたて投資枠』で取り扱っている投資信託の本数を示しています。
画像元:Kabutan
けっこう違いが大きいですね。
三井住友銀行のやる気の高さが突出しています(笑)
ここも勘違いされやすいのですが、
NISA口座を装備しても、
そして「成長投資枠」で、
計何本品揃えするのかも、すべて各販売会社の「自由」です。
換言すれば、
画像元:Kabutan
上図を見れば、
各販売会社の
やる気の「ある」「なし」感が一目瞭然といえます。
正直、NISA制度はその装備だけで、
多額のシステムコストがかかります。
また、
NISA「成長投資枠」では
個別株式、ETF、REITなども対象商品になりますが、
そもそも『銀行』ではこれら投資商品は品揃えできません。
ここから証券会社に話を絞りましょう。
昨年9月末時点で
旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)の1356万口座のうち、
SBI証券と楽天証券だけで
全口座数の約7割を寡占している状況です。
基本、
旧NISA口座を開いている証券会社で
「新NISA口座」が自動的に開設されるため、
新NISAでも
SBI証券・楽天証券の寡占状態は変わらないでしょう。
(また新規でNISAを始める人の中でも、
ネット証券のシェアは圧倒的といえるでしょう。)
わたしは上述した、
三井住友銀行の
NISA「つみたて投資枠」品揃え 4本 などを見ると、
これは明らかにポーズだけの参画であり、
少なくとも「つみたて投資枠」に関しては
まったく販売チャネルとして重きを置いていないという三井住友銀行の表明のように思えてなりません。
正直に申し上げて、
(NISAに対して)
やる気の乏しい大手銀行、地方銀行、信金などは、
別に無理してNISA口座を装備する必要もないと思います。
銀行には別の収益源もありますし。
ただ、
深刻なのは、地方の証券会社、中小の証券会社です。
半数以上が廃業、吸収合併等に追い込まれるのではないでしょうか。
「何を大げさな・・」と思われるかもしれませんが、
それほど、
NISA誕生のインパクトは強烈なのです。
(巨大な隕石の衝突に値します。)
何しろ、
ふつうの生活者にとって
NISAの投資枠(1800万円)だけで
投資の大半は終了してしまうのです。
NISA口座が開けるのは「1金融機関」のみです。
そういう意味で、
金融機関の淘汰は私たちの想像よりもドラスティックに進む可能性があります。
最後に、
あなたにアドバイスです。
NISA口座はネット証券で開きましょう。
決して、
自分の給与振り込み口座があるから、
なんかキャンペーンしていたから、
みたいな安易な理由で、
NISA口座を銀行で開いたり、
店舗がある証券会社で開いたりしないように。
たとえば、です。
わたしが万一愛媛銀行で
NISA口座を開いてしまい、
「たわらノーロード バランス(8資産均等型)」を200万円相当保有しているとしましょう。
でも、やはり先々のこと考えて、
楽天証券に、
NISAの窓口を変更しようと思い、←これは出来ます。
2025年から
NISA口座を楽天証券に換えて、
引き続き運用を続けますが、
(売らない限り、ココで持ち続けるしかありません。)
NISA最大のデメリットは、
課税口座のように、
株式や投資信託の『口座移管』ができないことなのです。
これはよく覚えておきましょう。