8資産均等型ファンドで10年間運用を続けても、3年は「マイナスの収益」になります
2024年3月26日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
例えば今、
仕事のプロジェクトが大詰めを迎えていて、
「この週末までにやりきらないと!」
という人もいることでしょう。
今、この瞬間、
この2日、3日が勝負ですから、
今、どう反応し、行動できるかが全て。
まさに『直近』に意識がフォーカスしている状態と推察します。
でも、
投資も、そうなっちゃうと、
ちょっと「しんどい」です。
今、上がるか下がるか。
今年はプラスになるか、マイナスになるのか。
(投資においては、)
直近の事象に意識を向けるのは
正直、ぜんぜん大事ではありません。
なぜなら、
長期投資はだいたい7勝3敗ですから。
??
「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」というファンドがありますが、
たとえ10年間運用を続けていても、そのうち3年は「マイナスの収益」に落ち込んでしまいます(具体例:2014年~23年)
画像元:三菱UFJアセットマネジメント
そういう意味で「7勝3敗」なのです。
過去20年に時間軸を伸ばしても、
今後10年、20年で想定しても、実態はさほど変わらないでしょう。
市場(マーケット)は長い長いトラックレコードを持っており、市場の動きを具現しているのは所詮、私たち人間ですから、
人間の本質が大きく変貌してしまわない限り、市場(マーケット)の『長期的な傾向』も変わることはないでしょう。
広範な分散を施すインデックスファンドで10年間運用を続けても、3年はダメな年。
これが『ふつう』なのです。
(平均的な期待値といえます。)
ですので、
―こんなことはないと思いますが、―
仮に今後10年、株式市場そのものの収益がずっとプラスになることがあれば、それは稀にみる暴落と市場低迷期の前触れであることでしょう。
話をもとに戻しましょう。
10年間運用を続けていても、そのうち3年は「マイナスの収益」に落ち込んでしまう。
だったらそこに『規則性』のようなものはあるのでしょうか?
画像元:三菱UFJアセットマネジメント
上図では
8資産均等型は
2015年、2018年、2022年と「マイナスの収益」に沈んでいます。
3年と、4年ごと、です。
そんなものは皆目ありません。
「でもカンさん。
まさか株式市場そのものの値動きで、
3年連続マイナス!なんてないでしょ?」
あります。
以下、米国のS&P500指数の1928年来の、
毎年毎年の『結果リターン』ですが、
2000年、2001年、2002年と3年連続でマイナスに沈んでいます。
株式市場というところは
短期的に見れば、
多少大げさに、かつドラマティックに動きますが、
長期の『時間軸』で眺め直すと、
意外にも、
一定の「傾向」を持って動いていることが分かります。
マーケットの事象は
『平均』へと回帰するのです。
すなわち、上がり過ぎた相場は下がりますし、
下がり過ぎた相場は上がる。
このような
「自律回復機能」を有しているのです。
株式市場そのものの『期待収益率』はいくらか?といえば、
(冒頭ご紹介した「8資産均等型ファンド」は債券を含むため、実質の収益率は年4%台後半、いって年5%程度でしょう)
これから長く投資を続けるあなたは、
10年のうち3年はダメな年。
長い目で見て期待できるリターンは年率4~6%程度。
という「現実数字」を頭の隅に置いておきましょう。
まあ、のんびり行きましょう。
カテゴリ:インデックス投資全般