投資家の感情リスク

ウォール・ストリート・ジャーナルの記事『株式市場を注視しない生活で学んだこと』

2024年3月20日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ポーンと時間が飛んで、
あっという間に「8ヵ月」経っちゃった・・。

という現象は、
ふつうは起こりません。

 

これは
自分で・意識して・起こすしかないわけです。

 

ウォール・ストリート・ジャーナルに興味深い記事がありました。

株式市場を注視しない生活で学んだこと

 

 

 

 

 

コラムニストのJason Zweigさんは
本の出版のため、

 

23年5月から24年1月まで、
株式、債券をはじめとした
あらゆるマーケット情報をシャットアウトしたのだそう。

 

 

Zweigさんはこう述べます。

 

市場を毎日追わなくなってようやく、
自分が起きると予想したであろう出来事が
起きなかったことがはっきり分かる。

 

 

 

私たちは自分の大事なお金を、
マーケットにbet(賭けて)しているため、

 

市場のあらゆる「動き」が
資産の増減につながることを知っています。

 

 

 

 

 

だからこそ、
マーケットのあらゆる「動き」が
気になって仕方がないわけです。

 

しかし同時に、
向こう6ヵ月や8ヵ月の市場の「動き」を追いかけたからといって、それが読めるわけではないし、

 

たとえ読めたとしても、
それをもとに新たな投資行動を起こしてしまう「危うさ」も孕んでいるわけです。

 

 

ほんとうは
気にしても仕方のないことを気にしてしまい、

その『動き』を
逐一認識してしまうことで、
気持ちばかりが揺さぶられる・・。

 

あぁ、しんどいな(関西弁)
となるわけです。

 

 

 

 

 

上出のZweigさんは
情報をシャットアウトしていたため、

 

たとえば23年7月から10月にかけて、
S&P50が10%以上下落したことを「知りません」でしたし、その後3週間にわたって急騰したことも「知りません」でした。

 

今(2024年3月)振り返ってみて、どうでしょう?

 

 

 

上記のようなアップダウンを知ることが、あなたの投資にとって意味があったか?と問われれば、

 

NO、と答えますよね。

 

 

 

 

 

 

投資家にとって重要なことは
雑多な情報を「気に掛ける」ことではなく、
雑多な情報を「スルー」することなのです。

 

 

Zweigさんの言葉が印象深いです。

 

 

市場から離れた生活から戻ってきて何が良かったかと言えば、まずあまりに多くの予想がどれほどばかばかしく見えるかに気付いたことだ。

 

まさに・・。

 

 

よく、
投資を長期の航海になぞらえて、
彼方の目的地(目標)だけを見据えよう!と云われます。

 

でも、
あなたもわたしも、
今日を一所懸命生きているため、

今日、明日が
(まず)何より大事な時間となります。

 

 

今にフォーカスするからこそ、
直近の動きに(気持ちが)左右される・・。

 

これこそ、投資における
悩みの根源でしょう。

 

 

 

 

 

より遠くの日々(= 未来)を
冷徹に見渡す、
そこにフォーカスするというのは、

人間として明らかに難易度の高い行為だと思います。

 

でもそれが長期投資家の務めなのです。

 

 

ちょっと哲学的になりますが、

 

あなたが、
世の中の「変化」を予想することで、
世の中(世界)の変わり方が、違ったりするでしょうか?

残念ながら、違いません。

 

世の中(株式市場を含む)は、
複雑系の運動の一発露として、
不規則に「変化」するだけなのです。

 

 

あなたの思いも、
わたしの予想も、
微塵も汲んではくれません。

 

 

 

 

 

株式市場の情報を逐一追いかけても、
株式市場の情報をシャットアウトしても、

6ヵ月後、12ヶ月後の『市場の姿』は同じです。

 

投資そのものと距離を保つ。

 

 

一部重なりますが、
今一度、Zweigさんの言葉です。

 

 

まずあまりに多くの予想が
どれほどばかばかしく見えるかに気付いたことだ。

 

私自身の予想も例外ではない。

 

その次に良かったのは、
そうした予想に従って
行動を起こしたいという気には全くならず、

 

心の安らぎを得られたことだ。

 

このような境地に至りたいものです。

 

カテゴリ:投資家の感情リスク

おすすめの記事