金融機関にモノ申す

2003年の野村ファンドネット証券の廃業劇を忘れてはいけません

2024年3月7日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

投資信託を用いて資産形成する際に
『何がもっとも重要か?』と尋ねられれば、

 

 

その投資信託が、ちゃんと存続し続けること。
窓口の証券会社が、ちゃんと存続し続けること。

 

と答えます。

(これ以上大事なことってないわけです。)

 

 

 

 

 

ずいぶん昔の話ですが、

かつて投資信託だけを扱ったネット証券会社があり、その名を『野村ファンドネット証券』と云いました。

 

当時としては
画期的なコンセプトを有した金融機関だったと思います。
(低コストのインデックスファンドも積極的に扱っていました。)

 

以下、わたしが既存のお客様にお送りしたメールです。
(2003年8月の私信になります)

 

 

『野村ファンドネット証券に口座をお持ちの方へ』


皆さん、こんにちは。
晋陽FP事務所のカンです。
残暑お見舞い申し上げます。

 

弊所のお客様で、
野村ファンドネット証券にて口座をお持ちの方へご連絡があります。

 

 

この12月をメドに
野村ファンドネット証券は廃業し、

ファンドネット証券から
野村證券へ口座の移管が行われるようです。

 

 

要は、投資信託の販売・保管業務を、
野村證券に新設する「ほっとダイレクト」に
集約するようなのですが、

 


(例えば)「PRUマーケットパフォーマー」などは、
12月以降、新たな買い付けができません。

 


しかしながら、口座の移管を希望すれば、
引き続きファンドの保有はできるようです。

 

 

 

 

 

また、ファンドネット証券の
「ツミタテルーム」を利用して
積立て投資をされている方は、

 


野村證券に口座を移管しても、
積立てが継続できないファンドが多数あるようです。

 


わたし自身、
「ファンドネット証券」のコンセプトを高く評価していただけに、今回の突然の通知は残念でなりません・・。

 

メール、ここまで。)

 

 

このあたりの経緯は、
水瀬ケンイチさんが一投資家としての心情を丁寧にまとめられています。

 

 

 

20年以上が経った今も、
わたしはお客様からの落胆の声を
昨日のことのように思い出します。

 

「カンさん。どうしよう」

「せっかくよい金融機関が見つかったと思ったのに・・」

 

大げさではなく、
膝から崩れ落ちるくらいのダメージを受けた投資家は決して少なくなかったはずです。

 

 

 

 

 

それほど野村ファンドネット証券の概要は素晴らしく、自分たちの『金融インフラ』としてずっと存続して欲しいと誰もが願っていたわけです・・。

 

残念ながら、その後、ジョインベスト証券や投信スーパーセンターなどの新進の金融機関も廃業することになります。

 

 

窓口である金融機関が消滅するだけではありません。

 

上述した
「PRUマーケットパフォーマー」など、

2008年以前は
低コストの「インデックスファンドシリーズ」として、海外株式・海外債券・日本株式・日本債券を擁し、人気を博した投資信託でした。


その「PRUマーケットパフォーマー」も、
2018年に日本株式、日本債券が繰上げ償還され、

2020年には
「PRU海外株式マーケット・パフォーマー」も繰上げ償還され、

最後の「PRU海外債券マーケット・パフォーマー」も、2022年2月に繰上げ償還されました。

 

 

 

 

 

日本の投資信託の歴史は、

 

その投資信託が、
ちゃんと存続してくれなかった。残念。苦い思い出ありアリ。
窓口の証券会社が、
ちゃんと存続してくれなかった。残念。苦い思い出ありアリ。

 

の『歴史』であります。

 

暗く長い、理不尽な時間を経て、今日の金融インフラは存在します。

 

 

投資信託は
その効き目(成果)がすぐには現れない商品です。

 

ファンドを持つ人は
ファンドに関わるリスクを全て引き受け、

『投資信託とつき合い続ける覚悟』なのですから、

 

それを販売する金融機関さんも、それを設定し運用する運用会社さんも『末永く投資信託を供給し続けるご覚悟』をぜひ持ってもらいたい。

(より良い未来のためにです・・)

 

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