ギラギラしない投資家の誕生って一体いつだったの?(答え:1998年 インデックスファンド小史)
2023年12月22日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
それがどんな事象であれ、
あなたが現在見ている景色は
先人たちの『行動』の結果です。
(それが良いものであれ、悪いものであれ。)
歴史を学ぶといいます。
誰かが
インデックスファンド小史を編む際に、
じゃあ、
本物のインデックスファンド需要者の誕生、
「ギラギラしない投資家の誕生って、一体いつだったの?」と設問されるケースがあることでしょう。
わたしなら、
(それは)1998年だったと答えます。
1998年に「ステート・ストリート外国株式インデックス・オープン」 が運用を開始しています。
当時は 年1%ほどの信託報酬も
十分「安い」と感じていました。
何しろ、
日本以外の先進国群に
『市場全体』に、
ワンパッケージで投資が出来るようになったのです。
1996年に発足した橋本内閣が「金融ビックバン」を主導し、投資インフラの自由化が始まりました。
1998年に銀行で投資信託の販売が始まります。
価格変動リスクがある商品が銀行で売られること自体、画期的でした。
翌年の1999年には、
さわかみ投信が「さわかみファンド」の運用を開始。
金融機関の系列ではない、
独立独歩の運用会社が、
直接「個人投資家」にファンドを販売する形態は、エポックメーキングな出来事でした。
ギラギラしない、
独立したふつうの個人が
「わたしも投資始めます!」と反応した最初の事象だったのではないでしょうか。
(わたしが記憶する限り、
『生活者のための』『長期投資』『積立投資』という言葉を最初に発したのは、さわかみ投信の澤上篤人さんが初めてでした)
物事には必ず『起点』があります。
時間軸を伸ばしてみれば、
今日の、
例えば『オルカン』という商品の隆盛や、
運用管理費用 年0.05775%という超低コスト化の『起点』は、1998年頃にあったのではないでしょうか。
特に、
銀行で投信の窓販が始まった影響は大きいでしょう。
それまでリスク商品を販売していたのは
「証券会社」のみでした。
「投資信託」ではなく、『個別株式』が花形商品だったのです。
証券会社の顧客とは、
資産家(富裕層)であり、
どちらかというと、
ギラギラ系のリスクテイカーがその主流を占めていました。
日本の投資の歴史において
はじめて、
ギラギラしていない
ふつうの生活者(給与所得者)が投資という行為に触れ始めたわけです。
1999年頃からの複数のネット証券が創業したことも大きかったでしょう。
2001年には確定拠出年金が始まり、
同年、東京証券取引所に初のETF(上場インデックスファンド)が上場します。
そして2008 年、
住信アセットマネジメント(当時)が
先進国のみならず、
新興国の株式、債券、
また REIT(不動産投資信託)までを網羅した
「STAMシリーズ」を立ち上げます。
同シリーズは主要なネット証券で全て扱われ、
購入手数料ゼロ(ノーロード)を実現し、
8つのアセットクラスで
初めてインデックスファンドを品揃えしたという点で、
インデックスファンド選びの『基準』を塗り替えた商品として高く評価されます。
※8つのアセットクラスとは、
国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内リート、先進国リート。
従来の店舗型証券会社と接点のある「お金持ち」だけではなく、様々な「生活者」が容易にアクセスできるものに変容し始めたわけです。
1998年・・・ ・・・・・2023年
投資の民主化が興って四半世紀が経ちます。
カテゴリ:インデックス投資全般