インデックス投資全般

バンガード社のETFはインデックスファンドの「ひとつの部屋」(しかし、シェアクラスの特許は23年5月に切れました)

2023年12月1日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

今日はETFのお話から。

バンガード・トータルストックマーケットETF」(VTI)の大きさは(もしかすると)国レベルかもしれません。

その純資産額は
およそ1.27兆ドルあります(11月30日現在)。

1ドル150円換算で約190兆円です。

 

日本の公募投資信託(5900本超)の純資産額をすべて合算しても185兆円弱ですから、いかに巨大な金融商品であるかが分かります。

 

 

 

 

 

実はVTIが
バンガード社にとって最初のETFでした。

 

(運用開始は2001年5月のこと。
SPDR、iシェアーズといった他社ETFと比べると『後発』だったのです)

 

楽天証券にたいへん興味深い記事があります。

 

 

 

当該記事をお読みいただくと、

既存のインデックスファンド資産の減少を防ぎながら、バンガード社が新たに「ETFクラス」を作った経緯が記されています。

 

ETFクラス?

 

ハイ、そうです。

 

ETFという商品を理解するうえで重要なのは、
ETFは『ファンド』である、という点でしょう。

 

ETF = Exchange Traded Fund ですから。

 

 

後発のETF運用会社であったバンガードが、
いかにして
低コストかつ効果的なETFの組成・運用を成し遂げたのか、その秘密が以下文章に凝縮されています。

 

 

既存のインデックスファンドの

 

1つのシェアクラスとして運用するという

 

バンガード独自のETFの運用構造を開発したのです。

 

 

 

 

Share Class シェアクラス。

 

インデックスファンドとETFは
ほんらいそれぞれ独立した商品です。

 

しかしバンガード社の場合、

特定の指数に対して、インデックスファンドとETF向けの『シェアクラス』が共存する形を取っています。

 

 

より具体的に言えば、

バンガード社で新たに設定するETFは、同じ指数との連動を目指すインデックスファンドという家の、「ひとつの部屋」になるのです。

 

 

以下『図表』が分かりやすいでしょう。(※注 図表は2012年現在のものです)

 

 

 

画像元:楽天証券『バンガード成長の軌跡とバンガードETF

 


「トータル・ストック・マーケット・インデックスファンド(1992年運用開始)」(青い帯の部分)こそが、大きな屋根を持った大元のファンドなのです。

 

この大きな屋根の下に、
ETFという部屋(クラス)を組成するため、

 

既存のインデックスファンドと合同で運用が出来、

したがって最初から『規模の経済』が働き、
低コストかつ効率的な運用が可能になったのです。

 

 

バンガードの「ETF」には必ず「大元のインデックスファンド」が存在します。

 

 

(よりテクニカルには、投資家がインデックスファンドからETFに移行した場合、キャピタルゲイン課税が発生しないことも特筆されるべきことでしょう。)

 

 

この、
「シェアクラス」という仕組みで、
バンガード社はSEC(米国証券取引委員会)から 特許 を取得しました。

 

※他のETF運用会社は上記「シェアクラス」によるETFの組成を行う場合、バンガード社にライセンスフィーを支払う必要があったのです。

 

 

 

 

上述した独自の運用構造によって、
バンガードは『ETF運用残高』のシェアを順調に伸ばしてきました。

 

 

が、しかし、今年5月、
「シェアクラス」と呼ばれるしくみの特許が切れました。

 

 

 

さっそく大手運用会社のフィデリティが
バンガードの「シェアクラス」の仕組みを用いたETFの申請を行っています。

 

 

 

 

 

フィデリティのように多くのミューチュアルファンド(投資信託)を運用する会社が、今後相次いでETFの申請を行う可能性があります。

これは意外と大きなニュースなのです。

 

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