『借名取引』には要注意(家族名義の口座でワタシの投資をするわ!はNGです)
2023年10月9日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
あなたは
借名取引(しゃくめいとりひき)という言葉をご存じでしょうか?
あなた自身が投資を行っているとして、
ほんの軽い気持ちで、
例えば、
夫や妻や、親の名義の口座を用いて、
あなたの投資判断で
あなたが投資を行ってしまうと、
それは『借名取引』に該当します。
実際、楽天証券のこちらのページを見ますと、
次のように注意喚起しています。
ご本人様によるお取引でない
可能性があると当社が判断した場合
(犯罪収益移転防止法におけるいわゆる「ハイリスク取引」の疑いが生じた場合等)においては、
取引の停止(預かり金の出金を含む)や、
口座の解約等の措置を取る場合がございます。
視点を変えて書いてみましょう。
あなたがほんの軽い気持ちで、
例えば、
夫や妻や、親などに依頼して、
あなた名義の口座を用いて、
「あなたの投資判断で投資をしておいて!」と言うことも『借名取引』となります。
わたしなりに定義しますと・・、
借名取引とは?
「家族や友人から取引の全てを一任されている状況で、本人以外の名義口座を用いて、本人が自分の投資判断で取引を行うことを指す。」
当然ですが、
証券口座では
それぞれの名義人が、
それぞれの投資判断で、投資を行う必要があります。
Aさん名義の口座・・「Aさんの投資」
Bさん名義の口座・・「Bさんの投資」
とするのは明らかにNGです。
『投資の判断』とは、
具体的に○○という金融商品を
○○○円分購入するという決断そのものを指します。
例えば、
AさんとBさんが家族だとしましょう。
Aさんは
パソコンの操作が上手くできません。
Bさんにパソコンの操作を依頼して、
Aさんの代わりに
画面上でファンドの積立設定をしてもらうことにしました。
これはOKでしょう。
なぜなら、
投資の判断、投資の決定をしているのはAさんだからです。
(Bさんには作業をしてもらっているだけ。)
SBI証券のサイトでも確認しておきましょう。
画像元:SBI証券
上記、SBI証券『仮名・借名取引とは』のページでは、
【3】 家族や友人・知人などから
取引の全てを一任されているような場合
(口座の名義人の方が投資判断を行っていない、あるいは名義人の資金ではない場合)
と明記されています。
この、「口座の名義人の方が投資判断を行っていない、」という部分は明らかに借名取引に当たりますが、
『取引の全てを一任されている場合』
というのは、どうなのでしょう?
家族の一人が、
本人の「代理人」として取引するというケースも想定されますが、
わたしが知る限り、
楽天証券もSBI証券も、
AさんがBさんの「代理人」となって、
Bさん口座でAさん自身が取引を行う形態は認めていません。
が、それが認められるケースもあるようです。
例えば野村證券では、
(ネットコースは不可ですが、)
対面コースでは代理人の登録を行って、
代理人による取引が認められるケースがあるようです。
(ただし、あくまで口座の名義人が投資判断を行っている前提と思われます。)
画像元:野村證券
もちろん『借名取引』には
例外事項があります。
未成年口座やジュニアNISA口座です。
こちらは
親が親権者として子どもを代理し、
子どもの証券口座を開き、自ら投資判断を行っています。
(これは、口座名義人が未成年者であればこそ、認められるわけです)
さて、どうしてわたしは本日、
このお話をしているのでしょうか?
『借名取引』のラインにタッチしてしまう人が増えると危惧するためです。
新NISA口座は
一人当たりの生涯投資枠が1800万円あり、
これが二人になれば、
計3600万円と大きな数字になるため、
これは要注意です。
もう一度SBI証券の
『仮名・借名取引とは』のページから引いておきましょう。
なお、口座名義人ご本人様以外の方
(ご家族の方を含む)がお取引を行っている疑いがある場合には、
犯罪収益移転防止法に基づき、
本人確認の上、
お取引を制限させていただく場合がございます。
例えば、
配偶者に投資を始めてもらいたいなという場合も、
配偶者自身が
投資のデメリット・メリットについて理解し、
自身が能動的に投資判断を行う必要があるでしょう。
カテゴリ:投資の発想法