オルカンは世界株式を『固定』で持ちません。世界株式の『変化』を保持する道具です
2023年10月8日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
オルカンは間もなく5歳の『誕生日』を迎えます。
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のこと。
この投資信託が登場した際、
わたしはある事実に気付きました。
世界株式の『変化』そのものを買っているのだと。
少し歴史を振り返りますと、
『全世界株式型』のインデックス商品が組成されたのはETFが最初です。
2008年の3月、
「iシェアーズ MSCI ACWI ETF」が米国で運用を開始しました。
(当該ETFは当初、
「iシェアーズ MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス・ファンド」という名称でした)
当ETFは、MSCIACWI指数(全世界株式指数)との連動を目指します。
(実は)オルカンも同指数との連動を目指しています。
ACWIとは、
オール・カントリー・ワールド・インデックスの事なのですが、
『国内株式』と『先進国(外国)株式』と『新興国株式』の組み合わせで商品が成り立ちます。
画像元:交付目論見書「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
以下、オルカンの『月報』を覗いてみますと、「資産構成」の欄があります。
画像元:月報「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
この、
国内株式、先進国株式、新興国株式の構成比率ですが、
(今からわたしの独り言です、)
定期的に「リ・バランス」を行うのだと、一投資家として学習してきました。
内藤忍さんも、竹川美奈子さんも、
著書でそう言っておられました。
カン・チュンドという人も、
本の中でそう書いていました。(失礼、本人です)
お気づきのように、
『国内株式』『先進国株式』『新興国株式』の比率を、
それぞれ「しっかり固定して」
比率がずれてきたら、
定期的に「リ・バランス」を行おうという考え方と、
実は
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」なのです。
オルカンでは、
『国内株式』と『先進国株式』と『新興国株式』の構成比率は、
画像元:月報「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
変化します。
大事なことなのでもう一度言います。
変化します。
(正確にいえば、毎週、いや『毎日』変動しています)
オルカンを保有するということは、
世界株式の『変化』を持ち続けるということなのです。
変化を持つ??
ケンズ (kenz)さんがこちらの記事で
2009年6月時点の、
現:iシェアーズ MSCI ACWI ETF、
当時の
「iシェアーズ MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス・ファンド(ACWI)」の国別構成比率のデータを載せてくださっています。
画像元:ケンズさんの記事
『MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)の国別構成比率 米国42%、日本10%』
今の画像、
よーく覚えていてくださいね。
以下が2023年6月末時点の、
「iシェアーズ MSCI ACWI ETF」の国別構成比率(上位)です。
画像元:iシェアーズ MSCI ACWI ETF「ファクトシート」
けっこう違っていますよね?
特にアメリカの変化が圧倒的です。
また、日本、イギリス、中国もその「比率」が大きく違っています。
もしも、
2009年から2023年に至るまで、
MSCI ACWI指数との連動を目指す商品をあなたが持ち続けていたら、
上記のように【自然に】変遷していたわけです。
これが、
全世界株式インデックスの概念です。
何より『オルカン』という商品で特徴的なのは、
あなた自身が国内株式の、
先進国株式の、
あるいは新興国株式のインデックスファンドを自身で組み合わせるより、
さらに深掘りしてみます。
たとえば『全世界株式』の中でのインド株式のお話です。
2009年時点でも、
インド株式の比率は0.89%ほどありました。
2023年時点では
その比率は1.5%ほどに上昇しています。
もしかすると、
インド株式の比率が2.5%や3%になっている可能性があります。
どちらにしても、
あなたは(全世界株式インデックスファンドへの投資を通じて、)インド株式を持ち続けることが出来ます。
最近、
インド株式が順調だからといって、
「インド株式インデックスファンド」を持ってしまうと、
その保有比率を、
あなたの「全リスク資産」の中で、
何割程度にするのかという決定をあなた自身が行い、
また割合がずれた際は、
あなたが自分で「リ・バランス」を行う必要があります。
インド株式に興味があるからといって、
必ずしもインド株式ファンドを買う必要はありません。
全世界株式インデックスファンドを通じて、インド株式を保有することも出来るわけです。
上記は、
〇 世界地図(全体)を眺めながら、個々の国々を認識するのか?という、
認知のしかたの違いです。
全体を網羅するだけで、
自動的に「変化」を内包するという投資商品を、これから多くの人が知ることになるでしょう。
すごい金融商品が登場したものです。
カテゴリ:インデックス投資全般