新NISA、積立投資か一括投資か?
2023年10月5日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
新NISAに関するご相談で
「積立投資」か「一括投資」なのか?
というご質問をよくいただきます。
しかし、
新NISAへの入金方法には『制約』があります。
その『制約』について考える前に、
まずは制約がない「具体例」をどうぞ。
今、AさんBさんは
それぞれ『1800万円』をお持ちです。
投資対象はどちらも「世界株式」です。
今この時点で、
Bさん 10万円/月 × 15年の「積立投資」をしたとしましょう。
20年後、
よほど長期の市場低迷がない限り、
Aさんのほうが『結果リターン』は高くなるでしょう。
考え方はシンプルです。
紆余曲折はありながらも、
「世界株式市場」は右肩上がりに成長を続けている
(かつ、これからもそうだと思われる)ためです。
Aさんが
明日からリスク資産(1800万円)を保有すれば、
1800万円分のボリュームで
リスク資産をより「長く」保有できることになり、
(長い目で見れば)積立投資より
大きな収益を上げることが可能になります。
入金額 × 利回り × 投資期間 という式によるためです。
いっぽうBさんは(10万円/月×15年)
最初の10万円のリスク資産は今月購入しますが、
最期の10万円分の購入は
今から180ヵ月後(15年後)になります。
これは言い方を換えると、
長く投資し続けることが可能ですが、
180ヵ月後にようやく「投資」が開始され、
そこからリスク資産の保有が始まることになるわけです。
長い目で見れば、
Aさん(一括投資)のほうが、
効率的な投資であることは疑いの余地がありません。
が、残念ながら、
新NISAでは
「1800万円」の一括投資は出来ません。
ココがポイントです。
新NISAでは、
1800万円分リスク資産を購入するのに
最短でも
2024年~28年という月日が必要なのです。
平たく言えば、
25年 ほぼ一括投資(360万円)
26年 ほぼ一括投資(360万円)
27年 ほぼ一括投資(360万円)
28年 ほぼ一括投資(360万円)
か、
25年 月30万円積立投資
26年 月30万円積立投資
27年 月30万円積立投資
28年 月30万円積立投資
かになるわけです。
☑ ココでは一括投資であれ、積立投資であれ、
1800万円を最速で入金すると仮定。
☑「つみたて投資枠」でも「成長投資枠」でも
同じファンドを購入すると仮定。
☑ 上記、
『ほぼ一括投資』(360万円)という書き方をしたのは、
「成長投資枠」部分は一括で投資ができるものの、
「つみたて投資枠」部分は最低年2回に分けて投資する必要があるため。
新NISAでは、
一括投資でも、積立投資でも「1800万円」を投資するのに、
最短でも、
2024年~28年という月日が必要です。
例えば、2028年を例に挙げれば、
ほぼ一括投資(360万円)なら、
2028年の1月と2月で資金投入出来るかもしれないけど、
2028年の1月から12月までかかるよ。」
という声が聞こえてきそうですが、
それって、
そんなに大きな違いなのでしょうか?
繰り返しですが、
新NISAで
1800万円「一括投資」可能なら、
「積立投資」30万円×60ヶ月や
10万円×180ヶ月より、ずっと効果的な入金方法であります。
しかし実際は、
「一括投資」「積立投資」とも、
2024年~28年という月日が必要。
上の2028年の例を再掲すれば、
一括投資(360万円)なら、
2028年の1月と2月で
資金投入が可能かもしれないけど、
積立投資だと、
2028年の1月から12月までかかるよ。
との主張も、分からないではないのですが、
「どちらが有利だ!」とは、簡単には言い切れないのでは?
なぜなら、
2028年1月から12月までの、
世界株式の値動き次第で
「一括投資」が有利になることも「積立投資」が有利になることもあり得るわけですから。
また、こんな想像もぜひしておきましょう。
一括投資にしろ、
積立投資にしろ、
最短で
2024年~28年の中で「1800万円」の枠を埋めたとすると、
そのあとは?
そのあと、
つまり、2029年以降は、
Aさん、Bさんともに
1800万円分のリスク資産を
持ち続けるという点でまったく同じであるわけです。
(新NISAにおいて、一括投資に固執する必要はありません。)
何より重要なのは、
あなたがこれまで
「積立投資」を行ってきた履歴(歴史)です。
積立投資とは、
あなたにとって
投資の『根幹部分』であるはず。
例えば、
特定口座とつみたてNISAで(これまで)月6万円の積立投資を続けてきたあなたは、来年以降「新NISA」で、月6万円の積立投資を続けるはずです。
※ここは新NISAの「つみたて投資枠」をイメージしましょう。
そうであるのに、
わざわざ『一括投資』(あくまで年単位ですが、)を目指しますか?
片方で積立投資をコツコツしながら、
もう片方で『一括投資』(あくまで年単位ですが、)をするというのは、投資のリズムがなんだかちぐはぐになってしまいます。
よりシンプルに、
より規則的に
より楽に、
投資への入金を行うなら、
新NISAの「つみたて投資枠」でも
「成長投資枠」でも、
それに、
特定口座内のファンドや個別株を
(新NISAに)乗り換える必要がある人は、そちらにエネルギーを注力できますよ。
【追記】このあと「時間が余ってて仕方ないよ。」という人はこちらの動画もどうぞ。
カテゴリ:NISA活用法