お金を増やし過ぎると別の心配(相続税)が生じます
2023年10月3日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
仮にわたしの仕事を定義するなら、
お金の増やし方の具体論をアドバイスする人。
となるでしょう。
しかし、これだけだと、
昨今はYouTubeを観るだけで
ある程度クリアできたりもします。
本当は『私の仕事』とは、
(第二義的に)
お金の増やし方の具体論をアドバイスする人。
なのかもしれません。
この、
『あなたに合った』という部分が、
(実は)解釈としては意外に深いのです。
上記は投資における、
リスク(価格変動)の『耐性』をきちんとヒアリングするとか、そういったことのみを指すのではありません。
そもそも、
『ゴール』をどこに置くかで違ってくるのです。
その「大局図」をイメージしていただくのがわたしの仕事。
以下、具体例です。
ゼロ → 1000万円 → 5000万円 → 1.2億円(リタイア時)→ 9000万円(死去)
鈴木さんはふたりのお子さんに
相応の資産を遺すことを望んでいました。
ゼロ → 1000万円 → 2500万円 → 4000万円(リタイア時)→ 1500万円(死去)
佐藤さんは亡くなるときに
資産が1000万円遺ればOKと割り切っていました。
(お金が遺ったら寄付することに決めています)
どうでしょう?
たった二人の人間の間でも、
「お金をどのくらい増やせばよいか?」という『正解』は違っています。
鈴木さんと佐藤さんを、掘り下げてみましょう。
鈴木さん)
お子さんがお二人いて、
(中学から私立に進学予定)
自分が亡くなったあと、
相応の資産をお子さんに遺してあげたいと願っています。
ですので、
増やさないといけないお金の規模はかなり大きくなります。
いっぽう、
地方に住んでいる佐藤さん)
自分が亡くなるゴール地点に向けて
(最終)1000万円程度まで資産を減らすという目標を持っています。
上記を逆算すれば、
お金を増やす「フェーズ」を何歳までと、
明確に決めることが重要と考えています。
(頑張ってお金を増やし過ぎないよう、自制することも必要なのです。)
あなたが「何人の世帯」で
「どこに住んで」いて、
日常的に、または非日常的に
どの程度の「出費」がこの先あり続けるのか。
これによって、
必要な『資産額』は違ってきます。
あなた自身にこう問うてみましょう。
お金をどれくらい恒常的に使うのか?
どの程度お金を残しておきたいのか?
上記ふたつの「要素」は重要です。
かつ、その「数字」そのものに優劣はありません。
先ほどの「鈴木さん」の再掲ですが、
東京に住んでいて
お子さんがお二人いて、
(中学から私立に進学予定)
これからマイホームも取得して、
将来、自分が亡くなったあと
お子さんに相応の資産を遺してあげたいと願う鈴木さんです。
でも、です。
鈴木さんが
お金を増やすことを頑張り過ぎると、
いったいどんな『難所』が待ち受けるのでしょうか?
ん?
そうです、
お金を増やし過ぎると別の心配(相続税)が生じます。
お金が順調に増えすぎたことで、
もしかすると、
多額の『相続税』を子ども達に払わせる結果になるかもしれない・・。
そう考えると「忍びない」と感じる人もいるでしょう。
もちろん、
それなりの相続税を払うということは、
受け取る『資産額』もそれなりに大きいわけですから、
それを承知で相応の資産を子どもに遺すことは(やはり)理に適うと感じる人もいるでしょう。
自分が払うのではなく、
子どもにその手続きや、支払いをさせることになります。
あなたはどう思われますか?
整理してみましょう。
上記鈴木さんのように、
子どもに相応の資産を引き継がせたいと願っていたわけですから「良いこと」。
自分の死後、諸々の煩わしさを子ども達に残すというのは「良くないこと」。
なんだか複雑です・・。
増やしたら増やしたで、
人生のエンドが近づくにつれ、別の心配も抱えてしまう。
これこそ、個人の資産形成の難しさなのです。
私たちはお金の増やし方ではなく、
あなたに合ったお金の増やし方を学ぶ必要があります。
実はこれがいちばん難しい事なのかもしれません。
カテゴリ:100年ライフプラン, わたしのFP修行