一所懸命1800万円の枠を埋めたのに、新NISAの評価額を見たら1520万円に減っちゃったということもあり得ます
2023年9月26日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
新NISAは非課税優遇制度です。
言ってみれば、
魅力に溢れた箱(はこ)なのです。
でもそれは箱に過ぎないわけで、
NISA制度が始まるからといって、
その中に入れる『投資商品』のリスクが軽減されるわけではありません。
NISA制度を用いたからといって1ミリも変わらないわけです。
(わたしを含め)いろいろな人が言っている、
年360万円NISA口座に資金を入れて、
5年で1800万円の『投資枠』を埋めるようにしましょう!
という言説は、
あくまで投資の入金ベース(元本ベース)のお話です。
2024年に
資金を入れ始めて5年間、
万が一株式市場が低迷していれば、
1800万円はたしかに入金したけれど、
2028年の年末に
SBI証券のNISA口座の『評価額』を見たら、
1520万円に減っちゃってた。。
というのは(もちろん)あり得るわけです。
そして、
NISA口座の生涯投資枠1800万円は
あくまで『元本ベース』ですから、
あと280万円追加で資金が入れられるわけではありません。
(おまけにNISA制度では損益通算などは利用できません。)
話を現在に戻しましょう。
埼玉県に住む小林さん(仮名)は
これまでコツコツ月5万円で積立投資を続けてきました。
もちろん、
新NISAでも引き続き積立を続けます。
この月5万円は『新規の積立資金』です。
いっぽうで、
小林さんには特定口座で保有してきた
(本当はもう、あまり持っていたくない)
個別株や投資信託が700万円相当あります。
小林さんはこれら商品を
「新NISA」に乗り換えたいと考えています。
(ちなみに新NISAでは、
「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」を買っていく予定です。)
今、特定口座で保有する商品は
かなり「利益」が乗っているため、
5年をかけて新NISAに乗り換える途上で、
実際の『乗り換え資金』は600万円相当になると想定します。
この月10万円は『乗り換え資金』です。
また小林さん(仮名)は、
手元の預貯金から
投資に回してもよいと思えるお金が900万円程度あります。
この月15万円は
『まとまった預貯金からの資金』です。
整理してみましょう。
月10万円 『乗り換え資金』
月15万円 『まとまった預貯金からの資金』
ただ、たとえ上のような綿密な設計図を作ったとしても、
何しろ60ヶ月(5年)にわたる掛金多めの積立投資ですから、
株式市場が大きく下がれば、
ファンド価格が下がり、
NISA口座内での評価額も「下がって」しまいます。
言い方を換えば、
一所懸命60ヶ月をかけて
1800万円は入金したけれど、
2028年の年末に楽天証券のNISA口座の評価額を見たら、
「1520万円に減っちゃってた。」
「1420万円になっちゃってる!」
という状況を許容できる人のみが、
年360万円NISA口座に資金を入れて、
5年で1800万円の投資枠を埋める。という戦略を採用するべきなのでしょう。
ココ、伝わっていますか?
理屈的にいえば、
NISA口座になるだけ早く資金を入れることは理に適っています。
しかしそれと同時に、
―あくまで「可能性」のひとつではありますが、―
早く・大きく新NISAに資金を入れることで、
同じマイナス20%の下落でも、
含み損の金額ベースが(それだけ)大きくなることも(また)事実なのです。
毎月『いくら』ぐらいの積立金額なら、
投資を日常の範囲内に留めておくことが出来るのか?
これを自問する必要がありそうです。
上記に答える前提として、あなたの投資経験年数、あなたの年齢、そして何より、資産の価格変動に対する自身の「感応度」を知る必要があるかもしれません。
まったく別の例を挙げてみましょう。
投資を始めてまだ2年目。
月5万円の積立投資を行っている横山さん(仮名)。
横山さんが仮に、
手元の預貯金から
投資に回してもよいと思えるお金が900万円程度あったとしても、
900÷60ヶ月 = 15万円(月)
月5万円 『新規の積立資金』
月15万円 『まとまった預貯金からの資金』
(計20万円(月)の期間限定積立)
にこだわり過ぎず、
月5万円 『新規の積立資金』
月9万円 『まとまった預貯金からの資金』
(計14万円(月)の期間限定積立)
あるいは、
月5万円 『新規の積立資金』
月7.5万円 『まとまった預貯金からの資金』
(計12.5万円(月)の期間限定積立)
というチョイスをされても全然よいと思います。
横山さん(仮名)自身が
無理なく感じられる資金の積み上がり方の「スピード」「リズム感」というものが在るはずなのです。
投資に限らず、無理は禁物です。
NISA制度は恒久化されているため、慌てすぎる必要もないわけです(^^)
カテゴリ:NISA活用法