投資家の感情リスク, 金融機関にモノ申す

書籍『投信販売の使えるトーク60選』に要注意!

2023年9月25日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

孫子の『兵法』の一節に、

 

彼を知り、己を知れば百戦殆からず。

 

という言葉があります。

 

まずは「相手方」の特徴、
その長所と短所をよく知ることが大事。という意味なのですが、

 

ファンドの保有者は
ファンドを販売しようとする「相手方」の意図を知っておくことが重要です。

 

 

 

 

 

そこで書籍、
『お客様の心をつかむ 投信販売の使えるトーク60選 アップデート版』(金指 光伸 著)のご紹介です。

 

 

本書は銀行や証券会社において、
投資信託を販売する人向けに書かれています。

 

 

金融商品に限らず、
あらゆるモノ、サービスは
ただ「押し売り」しようとするだけでは振り向いてもらえません。

 

いかに「相手方」に問題意識を持ってもらえるか。
自分ごととして捉えてもらえるか。

 

この製品(投資信託)が
あなたには必要なのです。と感じてもらえるかが重要なので、

 

お客様に気持ちよく、
かつ、切実な渇望意識を持ってもらうための
『トーク』を繰り出す戦術について、本書は詳述しているのです。

 

 

 

 

 

例えばこんな具体例。

 

これからインフレになると、年金だけでは厳しくなりますね。

 

これ、
話(トーク)の切り出し方の一例です。

 

 

これからインフレになると、年金だけでは厳しくなりますね。

と言われて、

「問題ないよ」と言い切れる人は少ないでしょう。

 

 

そういう意味で
この切り出しは優れています。

 

 

 

資産運用業界は『不安』が大好きです。

 

身も蓋もない言い方をすれば、『不安』を養分にして成り立っている業種であるとも云えるでしょう。

 

 

ですので、
円安や増税や物価上昇が心配。心配。

年金や自分の仕事や長い老後が不安。不安。

 

 

この気持ちを発露に、
投資信託の『販売』につなげたいわけです。

 

 

 

物価を例に挙げれば、
『トーク』の取っ掛かりとして、

チーズやバター、タマゴの値段、ガソリン価格を持ちだすのは『王道』と云えるでしょう。

 

 

 

 

 

1.あなたの不安を喚起します。

 

これこそ、
資産運用業界の常套手段です。

 

 

言い換えてみましょう。

1.あなたの不安を喚起します。と聞いても、

 

「あら~、いつもながらの戦術ね」と笑って呟ける、オトナの態度があなたには求められます。

 

ところで、

1.不安の喚起 はあくまで「第一段階」で、

向こうはあなたのコメント(感想)を待っています。

 

 

「そうなのよ、
もうガソリン価格が上がり過ぎて・・
食パンの種類変えたのよ」

 

とか。

 

 

 

2.あなたに不安の確認をさせます。

 

です。(これが「2段階目」のステップ)

 

 

そしてその後に、

 

3.商品の提案 が待っています。

 

 

 

 

 

1. あなたの不安を喚起します。
2.あなたに不安の確認をさせます。
3.それを解決するための商品の提案を行います。

という『3ステップ』を着実に踏んでくるのが「相手方」だと思っておきましょう。

 

 

たとえば、
銀行員の人が、

「では、分配金というのですが、毎月お小遣い代わりにお金が受け取れる投資信託があるのですが、こういうタイプの商品にご興味はおありですか?」

とか、アプローチしてくるわけです。

 

もちろん、
あなたの気持ちは1ミリも動かないでしょうが、
まだ投資信託を買ったことがない人など、ふわっと気持ちが揺らいだりするものです。

 

 

 

「不安」や「心配」を肴に、
お客様の「共感」を得て
それを「解決」するための商品の提案をする・・。

 

とてもシンプルです。

 

 

また、何気ないひと言を手掛かりに
相手方はあなたのライフプラン上の「節目」を探っているかもしれません。

 

 

たとえば、

 

・お子さんが生まれた。
・転職した。
・家を買った。

・定期預金が満期になった。
・(親の相続があって)資産が入った。
・定年退職した。

 

 

 

このような「節目」の時って、
自分のお金について、
普段よりもちょっと意識高く「どうしようかな?」と考えたりするものです。

 

 

特にあなたが銀行口座を持っている
銀行員の人の『トーク』は要注意で、
それは、
あなたの口座のお金の出入りを透明度100%で「相手方」は知っているためです。

 

 

カンさん。
でもちょっと気にし過ぎじゃない?

 

 

今時、対面で
銀行、証券会社の人の話を聞いたり、

わざわざ手数料が高い投資信託を、
窓口で買ったりする人っているの?

 

 

・・います。

 

 

と云いますか、

 

〇 まだ投資信託を購入したことがない膨大な潜在需要層

 

かつ、

 

〇 日本は高齢化がこの先もどんどん進んでいく

 

という『事実』を折り重ねれば、

 

 

 

むしろ、


(新NISA制度の開始と相まって)銀行や信金や証券会社の人と、
相対する「投資未経験者」かつ「高齢の人」は、これから如実に増えていくと考えられます。

 

 

(ヘンな日本語ですが、
『お客様の心をつかむ 投信販売の使えるトーク60選』の潜在ニーズは絶大なのです!)

 

このブログをお読みのあなたのお母様、お父様にくれぐれもひと言お伝えください。

 

金融機関の人が何か言ってきても、
すぐに返事をしないように、と。

 

 

くれぐれも、電話なり訪問なりメールなりで、
『向こうからコンタクト』があった場合は、スマートに断る練習をしておきましょう。

 

「あー、結構です。
何かありましたら、こちらから連絡しますので。では失礼します。」

 

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