米国ETF運用会社、今むかし
2023年9月16日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ブルームバーグの2021年の記事ですが、
米国上場ETF運用会社の『純資産残高シェア』が掲載されています。
画像元:ブルームバーグ
「バンガードのシェアがずいぶん伸びたなあ。」と思います。
以下は、2014年時点の『純資産残高シェア』
ひと昔前は、ブラックロック、ステートストリート(SSGA)、バンガードの順だったのです。
ふと思い立って、わたしは自分の古いブログ記事を検索してみました。
すると、
2007年9月末現在の、
米国上場ETF運用会社の『純資産残高シェア』が見つかりました。
BGI(ブラックロックが買収する前の会社) | 56.3% |
State Street | 24.2% |
Vanguard | 6.8% |
Bank of New York | 5.7% |
Powershares | 2.5% |
ProShares | 1.4% |
1位の『BGI』とは?
バークレイズ・グローバル・インベスターズの略です。
2009年にブラックロックに「i シェアーズ部門」を譲渡しました。
つまり、この16年ほどで
i シェアーズETFのシェアは20%程度マイナスになり、バンガードETFのシェアは22%以上上昇していることが分かります。
しかし誰より劇的な変化を経験したのは、SPDR ETFを運用する「ステートストリート」でしょう。
1998年から2019年にかけての、
米国ETF運用会社『大手3社の市場シェア推移』を見ると、
ほぼステートストリートの独占であったことが分かります。
画像元:Medium
今はむかし、ETF勢力図の激変ぶりが伺えます。
冒頭のブルームバーグの記事に戻ってみましょう。
『ETFへの流れ止まらず、資産運用会社が全面降伏-こぞって参入』
バンガードの成功は主に、
低い価格設定と
さまざまな取引プラットフォームから購入できることが理由だが、
バンガードの投資信託から
ETFへという資金の内部移動も一因だ。
広報担当者によると、
6月末までに米ETFに流入した1733億ドルのうち
約100億ドルが同社投信からの乗り換えだった。
これも意外ですね。
米国ではまだETFより
インデックスファンドの純資産残高が勝っているものの、
資産の伸び方ではETFに勢いがあります。
いっぽう日本では遠い昔、
インデックスファンドを積み立てて、
その後コストが圧倒的に低いETFに乗り換えるという
『リレー投資』と呼ばれる手法が存在していました。
しかし今ではすっかり消え失せています。
「金額ベース」での売り買いが出来る、
分配金を出さない(⇒従って株式の配当をファンド内部で再投資できる)など、
ETFにはない『インデックスファンド』のメリットが
評価されているためでしょう。
それより何より、
9月8日より運用管理費用を引き下げた『オルカン』が、
全世界株式のETF(VT)の年間経費率を下回ったことが象徴的ですが、
コストにおいてもインデックスファンドは
ETFに引けを取らなくなっています。
ただし、ETFもインデックスファンドも、
〇 上位10~20本程度の商品が
資産残高ベースで大きな比率を占める
このような特徴は、
米国だけでなく、日本でも顕著になることでしょう。
長い目で見れば、
大手の寡占が進むことで、
インデックス型製品の『革新性』が損なわれる危惧は持っておいたほうが良さそうです。
カテゴリ:インデックス投資全般