確定拠出年金(iDeCo・企業型)

どうしてiDeCoの商品ラインナップは『イマイチだなぁ』と思ってしまうのか?

2023年8月29日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

iDeCoには「所得控除」というメリットがあり、
また、60歳以前には引き出せないことから、
「長期投資」になじみやすいという特性があります。

 

しかし、相談者さまからは
窓口金融機関ごとの商品体系、ラインナップの中身に「ばらつき」があり、どうも分かりづらいという声をお聞きします。

 

ハイ、それには理由があるのです。

 

 

1.(そもそも)『商品数』に限りがある

 

現在、つみたてNISAの登録商品数は238本です(7月31日時点)

 

一例ですが楽天証券では
つみたてNISA・取り扱い商品数は192本にもなります。

 

 

ところが楽天証券における
iDeCoの取り扱い商品数は・・?
32本のみです。

 

 

 

 

 

実はiDeCoでは商品数に
「一金融機関」あたり『35本』という上限があるのです。
(これは企業型DCでも同じ)

 

iDeCoのラインナップには基本、
定期預金も債券ファンドもバランスファンドも入っていますから、

仮にあなたが『株式ファンド』の組み合わせを考えたとしても、そのパターンはかなり限られてしまいます。

 

 

 

2.2001年製のテレビと2019年製のテレビが共存している

 

一例として「スルガ銀行」の商品ラインナップを見てみましょう。

(計33本。インデックスファンドの品揃えなども豊富にあります)

 

 

実際、iDeCoという名称が出来る以前は、
「個人型・確定拠出年金」の窓口として
スルガ銀行はおススメの金融機関のひとつでした。

 

えっ?

 

 

 

 

が、今は・・?

ラインナップにある「先進国株式」の『インベスコMSCIコクサイ・インデックス・ファンド』の運用管理費用をご覧いただくと、

「0.77%」です。

 

けっして高いわけではないですが、もはや低コストとは言えない手数料水準ですね。

プラス「スルガ銀行」では、口座を管理するためのコストが月275円もかかります。

 

 

これもひと昔前は「かかる」のが普通でした。
が、今ではSBI証券、楽天証券をはじめ、15以上の窓口で金融機関(運営管理機関)の管理手数料は『ゼロ円』です。これなら、あなたの月ごとのイデコ手数料負担は計171円で済みます。

 

 

ただ、間違いがないように。

スルガ銀行は
早くから個人型・確定拠出年金に参入しているのですよ。

(この企業努力は認めてあげるべき。)

 

 

 

 

 

しかし、早くから参入したために、
商品の『ラインナップ』が古くなっているのもまた事実なのです。

 

 

iDeCoは私的な年金制度ですから、

例えばスルガ銀行では、すでにたくさんの人が「インベスコMSCIコクサイ・インデックス・ファンド」を積み立てて保有しているわけです(60歳以降の受給を目指して)

 

iDeCoの窓口金融機関として、
よりコストの安いファンドが出てきたからといって、ビジネスライクに、

 

「はい、インベスコMSCIの取り扱いは止めます。今後は新しくラインナップした、こちらのインデックスファンドで積み立ててくださいね」とは(制度の趣旨上)行かないわけです。

 

iDeCoにおいては商品の入れ替えがなかなかしづらいのです。そもそも上限「35本」という縛りもありますし。

 

 

 

 

先ほど「楽天証券」でのつみたてNISA本数を例に挙げましたが、

では「楽天証券」のiDeCoの商品ラインナップはどうなのか?

 

これが正直「ビミョー」なのです。

 

 

なぜなら楽天証券がiDeCoを開始したのが2016年。当時のインデックスファンド界隈では、まだ超低コストの「eMAXIS Slimシリーズ」は運用を始めていませんでした。

 

逆に「マネックス証券」のラインナップや、「松井証券」のラインナップをご覧いただくと、iDeCoへの参入が明らかに『遅かった』ために、よりコスト体系が低いファンド群が並んでいることが分かります。

 

なんだかヘンですよね。

 

 

 

 

 

3.商品の起源がさまざま

 

iDeCo、企業型DCとも「確定拠出年金」として世に登場したのは2001年のこと。

当初は「確定拠出年金専用のファンド」も多かったのです。
いわゆる DC専用ファンド です。

 

言い方を換えると、
通常の課税口座(特定口座)を用いて、銀行や証券会社で購入できる投資信託とは違う「投資信託」がけっこう存在していたのです。

 

その中には、
(今となっては信じられないですが、)ちょっと羨ましくなるくらい、運用管理費用が超低いインデックスファンドもありました。

 

少なくとも2015年くらいまでは、

 

「あーあ、〇〇の確定拠出年金はいいな。コストがとても安いファンドがたくさんあって!」

 

みたいなセリフが聞かれたのです。

 

 

 

 

そのうちに、
iDeCoや企業型DCのみで運用されていたファンドの一部が、『一般ルート』でも買えるようになりました。

 

また逆に「一般ルート」で販売されていた人気の投資信託が、
「iDeCo」でもラインナップされるという形も起きてきます。
(eMAXIS Slimシリーズとかそうですね)

 

ただ、この3、4年で景色はすっかり変わりました。

 

特定口座(一般ルート)を通じて購入できるインデックスファンドが『超低コスト化』したためです。

 


それに慣れたあなたのような投資家の目から見ると、

 

iDeCoの『商品ラインナップ』にはイマイチ感が漂うケースが増しているのではないでしょうか。

 

 

仮にあなたがiDeCoに『加入済み』としましょう。

 

・今の金融機関の商品ラインナップそのもの
・ファンドの運用管理費用の高さ
・その金融機関の管理手数料に不満があるなら、

 

 

かつ、あなたがまだ50代初めくらいまでなら、
思い切って窓口となる金融機関そのものを変える手があります。

 

「加入者等運営管理機関変更届」を提出する必要あり。

 

 

 

 

 

手続きがやや煩雑で、時間が数ヵ月かかり、今まで積み上げたファンド資産をいったん現金化する必要はありますが、

「これまでの期間」より「これからの時間の長さ」を重視されるのなら、行動を起こす意味合いは十分あると考えます。

 

〇 参照記事
iDeCo(イデコ)の取引金融機関は変更できる?』(確定拠出年金(DC)研修室)

 

カテゴリ:確定拠出年金(iDeCo・企業型)

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