見た目「外貨」を持っていなくても、あなたはすでに「外貨」を持っています
2023年8月21日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
話の『導入部』はいつも似たりよったりです。
ピンストライプのスーツを着た生命保険会社の人が、
「円安対策」として外貨建て商品をご検討されてみてはいかがでしょうか?
とか、
「日本の財政破綻リスク」をヘッジするために、外貨を保有することに大きな意味があると考えます。
とか囁いてくれます。
なんだか自分の弱点を守ってくれそうな気がして、思わずそちらになびきそうになります。
『円という資産のリスク』が増していますよ。
なんて真顔で言われると、そうかな?「やっぱりそうだよなぁ・・」と思い始めてしまう人もいるのでは?
「外貨も持っていたほうがイイですよね」というお言葉は、創業時から継続していただく代表的な質問の一つです。
長くこの仕事をしていますと、
何十という多岐に渡る『ご質問』を、
だいたい6~8くらいのカテゴリーに類型化して分けているので、
収納ボックスの中から「このアンサー!」みたいに、自然に取り出すことが可能になります。
(ということで、)今日の『結論』は明快。
見た目「外貨」を持っていなくても、
あなたはすでに「外貨」を持っていますよ。
なので安心してください。
たとえば、
あなたが企業型の確定拠出年金で保有している、
『外国債券インデックスファンド』とか、
『外国株式インデックスファンド』とか。
これらは・・
『円建て』で毎月買っていますね。
また『外国債券インデックスファンド』を解約すれば、『円建て』でお金が戻ってきます。
おまけに『外国債券インデックスファンド』は円建てで「価格」が表示されるので、もうこれは間違いなく「円建ての資産」である、と思い込んでしまうわけです。
でもそれはNOです!
『外国債券インデックスファンド』の中身はすべて、日本以外の世界の主要国(22ヵ国)の外貨建ての国債です。
「円」という通貨は、たまたま決済に利用されているに過ぎません。
あなたが円建てで
『外国株式インデックスファンド』を買っても、立派に100%外貨建て資産です。
言い方を換えれば?
『外国債券インデックスファンド』や『外国株式インデックスファンド』を保有するだけで、「円という資産のリスク」をきれいにヘッジ出来ているわけです。
例えば、『円安』が進むと、債券の価格が変わらなくても、株価が変わらなくても、ファンド価格が勝手に上昇します。
なーんだ、
USドル建て終身保険とか、
ドル建てでETFを買う必要はないんだ。
⇒ はい、その通りです。
逆に、
『自分は外貨建て資産を持ち過ぎではないか?』と心配される人もいることでしょう。
でも、おそらくその心配もNOです。
なぜなら、
あなたが手元で保持する預貯金は
全て『円建て』であるためです。
あなたが頑張って働いて毎月得る給与も、年2回のボーナスも、すべて『円建て』のお金です。
そう考えると、
投資に回す資金のたとえ9割がたが『外貨建て』であっても、
トータルの資産ベースから見れば、
過大なリスクを負うわけではありません。
ただし、国・地域の分散(通貨の分散)は必要。
実は『投資信託』を用いて投資を行う際は、
1.日本の資産に投資を行うケース
2.日本以外の資産に投資を行うケース
この「ふたつ」に分かれます。
2.の場合、決済通貨として「円」を用いるケースと、
「外貨」を用いるケースに分かれます。
『円建て』で決済はするが、
日本以外の資産にも投資を行うのは?
⇒ 日本国内で設定されているファンドです。
日本国内で設定されていれば、
「国内の公募投資信託」という言い方をします。
いっぽう『外貨』で決済するファンドは、
外国で設定され、
日本で販売されている『外国籍の投資信託』です。
(その代表例が外貨建てMMF。)
『どこの国で設定されたか』で、
外国籍・投資信託 (外貨建て←決済通貨)なのかに分かれるだけなのです。
じゃあ、外国籍の株式ファンドと、
国内籍の株式ファンド、どちらがベターかというと、
わたしは国内籍の株式ファンドをお勧めします。
円建てで購入し、円で『価格』が表示されるほうが、ふだん為替のリスクを意識しすぎることがないためです。
FPの井上ヨウスケさんの動画でも、このことが詳しく解説されています!
カテゴリ:インデックス投資全般, 投資の発想法