ナザールさんの『振り子理論』
2023年8月19日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ツイッター(X)でいつも拝見しているナザールさん。
(ナザール@暴落お兄さん)
作成される図表や動画が
本質を突いていて、
「そうそう!」と思わず頷いてしまいます。
今回ご覧いただきたい動画がコチラ。
「投資でいうリスクとは」
「投資におけるリスク」の動画で表すとこんなイメージw pic.twitter.com/6LO7MP7xSq
— ナザール@暴落お兄さん (@investor_Nazal) August 12, 2023
金融商品のリスクの中で
いちばん重要なものは?
『価格変動のリスク』でしょう。
金融商品の価格が変動する「振れ幅」のことを
リスクの大きさと呼びます。
(元本ベースから、
損失が発生したその大きさのことを
リスクと呼ぶのではありません。)
資産価格が変動する「振れ幅」の大きさ = リスクの大きさ
なぜ銀行預金のリスクは極小なのか。
それは価格がほとんど『振れない』から。
金融商品の価格変動リスクは、
『振り子』で捉えると分かりやすいでしょう。
画像元:ナザール@暴落お兄さん
上記図表の通り、
全世界株式(インデックス)の
過去20年の平均リターンは年「+8.6%」でした。
年+8.6%!
この数字だけを見れば、
全世界株式インデックスに投資を行えば、
未来が約束されているように思えてしまいます。
が、
『平均化』した、
概念上の数字に過ぎません。
むしろ、
全世界株式という投資対象の本質を表しているのは?
リスク 18.1% のほうです。
ふつう、
価格変動の振れ幅の大きさ = リスクの大きさは、
『標準偏差』と呼ばれる物差しで測られます。
それが全世界株式の場合、18.1% なのです。
画像元:ナザール@暴落お兄さん
この20年間は、
結果リターンの+8.6%を真ん中に、
悪いほうにも、マイナス18.1%、
というのが、上図の意味です。
「なーんだカンさん。
プラス8.6%から、
18.1%マイナスのほうに振れても、
マイナス9.5%にしかならないじゃん。
それなら、大してリスクは大きくないね。」
それは・・・
ちょっと甘いかもしれません。
市場が暴落するときは、
『標準偏差』ではなく、
2×『標準偏差』くらい、
軽く投資対象の価格は振れるものです。
イメージで言うと、
結果リターンの『+8.6%』を真ん中に、
悪いほうにも、マイナス36.2%、
現に、
2020年の2月から3月にかけて、
全世界株式インデックスファンドは、
『マイナス32%弱』下方に振れました。
「投資におけるリスク」の動画で表すとこんなイメージw pic.twitter.com/6LO7MP7xSq
— ナザール@暴落お兄さん (@investor_Nazal) August 12, 2023
上の動画は多くのことを示唆します。
正直、SNSで盛んに叫ばれる「これがベストのインデックスファンドだ!」という言い方はいかにも乱暴に思えます。
個々人の、
振り子の振れ様に対する『感受性』は大きく異なります。
振り子の振れが大きい。
リスク「大」であり、
それでも許容してその場に居続ける。
そういう人は
『株式100%のファンド』でよいでしょう。
振り子の振れはごく小さいほうがよい。
リスク「小」。
そういう人は、
持って『先進国債券インデックスファンド』まででしょう。
真ん中の、
振り子の振れは「中波」程度で、
リスクは「中」が自分の耐性にちょうど合うなら、
『株式50:債券50のインデックスファンド』(バランス型)が合います。
投資するのに「最適なファンド」があらかじめ在るわけではありません。
あなたにフィットする「ファンド」をあなたが探し出すのです。
カテゴリ:投資家の感情リスク