インデックス投資全般

インデックス投資がアメリカで生まれた理由

2023年8月17日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

「ぼくは平均くらいのリターンでいいよ。」

 

こういう慎ましい考え方はほんらい、
(アメリカ人よりも)日本人のほうが持っているのでは?

 

ではどうして、
市場平均との連動を目指すインデックス投資は
アメリカで生まれたのでしょうか?

 

わたしは長い間、この疑問を頭の隅に抱き続けてきました。

 

 

 

 

 

『資産運用の歴史が長いから?』

 

たしかに。

でも長さでいったら、
ヨーロッパのほうがよっぽど長いですよね。

 

そもそも資産運用会社の『起源』は、
貴族の莫大な資産を管理するところから始まっていますから、欧州こそが源なのです。

 

 

『経済的な成功をよしとする風土があるから?』

 

はい、これはYESでしょう。
(アメリカの精神文化の根っこには Success を尊ぶ考え方があります。)

 

でも、ですよ。

 

 

経済的な便益、
すなわちいかに『大きく儲けるか(儲かるか)』を重視するのであれば、

 

アメリカにおいては、
インデックス投資よりもアクティブ投資がもてはやされるはずです。

 

(なぜなら「市場平均」よりもうんと儲かる可能性があるわけですから!)

 

 

 

 

 

わたしは米国でインデックス投資が生まれた背景には、
「合理性」を追求するアメリカ人の精神があると思うのです。

 

 

アメリカという国は
「United States of America」です。

この「United States」を文字通り訳すと、
『複数の団結した州』となります。

 

「複数の団結した州」→ 連合国家 → 「合州国」→ アメリカ合衆国 なのです。

 

 

まったく出自が異なる
多様な文化の、多様な人種の「寄せ集め」であるアメリカでは、

自然な「ろ過装置」を経て、

 

誰にも理解できる
誰から見ても「OKだよね!」と思われるモノ、サービスが生まれる土壌があります。

 

 

たとえばジーンズです。

 

あっ、ここからはわたしの解説ではありませんよ。

 

 

わたしが尊敬する
司馬遼太郎氏の著書『アメリカ素描』に描かれていた内容です。

 

 

デトロイトの自動車工場の労働服だったジーンズを、
ファッショナブルな衣服に昇華させ、

 

国、性別、年齢、背景の文化を問わず、
誰もが憧れるイカした製品に昇華させてしまう。

 

 

 

 

 

そして、アメリカでの「ろ過装置」を経て誕生したモノ、サービスは、その普遍性をエネルギーにして、世界へと波及していきます。

 

司馬氏の「アメリカ素描」から引用してみましょう。

 

 

普遍性があってイカすものを生みだすのが文明であるとすれば、

 

いまの地球上にはアメリカ以外にそういうモノやコト、
もしくは思想を生みつづける地域はなさそうである。

 

見事な描写です。

 

 

 

〇 誰にでも理解ができ、
〇 便利であり、
〇 誰から見ても魅力的で、

〇 そして安価で長持ちして、
〇 他の誰かに勧めたくなるようなモノ、コト。

これこそが『普遍性』ではないでしょうか。

 

 

資産運用の業界でいえば、

さまざまな投資スタイルが闊歩し、
試され、また再生産され、
あらゆる「ろ過装置」を通して洗練される中で、

 

・誰にでも理解ができ、便利であり、
・誰から見ても魅力的で、
・そして安価で長持ちして、
・他の誰かに勧めたくなるようなモノとして、

 

 

インデックスファンドは発明され、
(そして)その後にETFが生まれ、

それは実際、グローバルな商品となっています。

 

 

 

 

ただし、インデックス投資は
世界的に「普遍性」を帯びているわけではありません。

 

たとえば中国の上海や、ベトナムのホーチミンや、インドのムンバイにおいて、

インデックス投資のユーチューバーが多数闊歩するまでには、まだ時間がかかりそうです。

(今はまだ道の途上なのです。)

 

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