株価が好調な時に確定拠出年金の残高を見ないほうがよい理由とは?(ウォール・ストリート・ジャーナルの記事より)
2023年8月3日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
株価がだらだらと下がり続ける時、
あなたなら、どんな『対処法』を思い浮かべますか?
わたしの中での納得の答えは、
という回答です。
(実際、多くのお客様が仰っています。)
そう、見ないほうがよいのです。
では、
株価が好調なときはどうでしょう?
株価が好調なときは
自身の残高を見たくなりませんか?
(「喜び」を確認する作業にもなりますし。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事、
『Why a Bull Market Is a Bad Time to Check Your 401(k)』では、
株価が好調なときに、
自身の確定拠出年金の残高を見ないほうが健全ですよ。と主張しています。
一例として挙げられるのが、
バンガード・グループが管理する401(k)プランのお話。
S&P500指数が18.11%下落した2022年に口座をチェックしたのだそう。
この気持ちは分かります・・。
では、株価が上がっている時は?
ファイナンシャル・エンパワーメント・センターの創設者であるサラ・ニューコム氏はこう言います。
直感に反するようだが、
好況時に執拗に残高をチェックするのは、
昨年のような不況時にするのと同じくらい危険かもしれない。
頻繁にチェックする人は、
市場の上下をすべて感じ、
感情的なジェットコースターに身を置くことになる。
たしかにそうかもしれません。
さらに続けます。
プルデンシャル・ファイナンシャルの
資産運用部門であるPGIMのデイビッド・ブランシェット氏は、
株価が上昇しているときに頻繁に株価を覗き見することは、
投資家がより高いリターンを追い求めるために株式を積み増すなど、長期的な経済的安定さを損なう可能性のある動きをする原因となる。
と指摘しています。
上記はありていに言えば、
ということではないでしょうか。
頻繁にログインする
→ 成績が好調な株式ファンドの、毎月の配分比率を上げる
→ 成績が芳しくないファンドを一部売って、成績が好調な株式ファンドを購入する(スイッチング)
このような行動を取れば、
結果として、
当初想定より多めに『株式』を保有することになり、
そのままの状況を維持すると、
市場がクラッシュした際に、
投資家の損失を拡大させる原因になります。
ブランシェット氏はまた次のように言及します。
401(k)の残高が増えることで、
より裕福になったように感じ、
使いすぎや貯蓄不足への誘惑が高まるかもしれない。
たしかに・・。
人間は「気持ちの生き物」ですから。
これは確定拠出年金に限りませんが、そもそも、
ログインし過ぎることが「元凶」であります。
口座を頻繁にチェックする誘惑を高めてしまっていませんか?
そもそも、運用資産のあり様として、
複数のファンドを組み合わせて「保有」する。
この『前提』である限り、
配分比率を変える、
一部を他のファンドに乗り換えるといった、
今の資産状況を変えたい 欲 に駆られてしまうわけです。
たとえば、
ターゲットイヤー型のバランスファンドや、
固定配分型のバランスファンドや、
全世界株式インデックスファンドのような、
一部を他のファンドに『乗り換える』といった「行動」自体が取れなくなります。
これって良いことかも。
バランスファンドや、
全世界株式インデックスファンドのようなものに「1本化」すれば、
面白み?もなくなり、
ログインしようという意欲も萎えて、
結果として
資産状況(数字)を見る機会も減って、
長期投資が貫きやすくなるわけです。
ホントです!
401(k)を見れば見るほど、
長期的なリターンは低下する可能性が高い。
市場を監視する誘惑に抗い、遠い目標を持つ投資家は、毎年チェックする投資家よりも長期的に高い利益を得やすいという。
まさにその通りだと思います。
カテゴリ:ポートフォリオ運用, 確定拠出年金(iDeCo・企業型)