つみたて投資, 投資家の感情リスク

つみたて投資のジレンマ

2023年7月10日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

人生と同じで
「つみたて投資」にも山あり谷あり、です。

 

長いつみたての途上では、
マーケット = 外部環境の変化 に翻弄されることがあります。

また、あなたのお仕事、健康、ご家庭内の変化など、内部環境の変化によって、つみたてが厳しくなる時期があるかもしれません。

 

最初は半信半疑だったあなたが、

3年、5年・・
8年、10年・・と、

「月日」を重ねるごとに、
どっしり腰を据えた投資家になっていくさまは(まさに)『成長』以外の何ものでもありません。

 

 

 

 

今ここに、
小川さん(仮名)という『お客様』がおられるとしましょう。

 

小川さんはすでに『10年間』、
つみたて投資を続けています。

 

毎月5万円、そしてボーナス時には夏と冬、
それぞれ10万円の積立を行っています。

また運用当初、
まとまったお金 800万円からも「拡大つみたて」を実施しました。

 

小川さんの10年間の『投資元本』は
ナント1600万円 に!

 

この10年を振り返ると、
ホントにいろいろなことがありましたが、

運用そのものは概ね順調で、
小川さんの運用資産残高は現在、2690万円にまで増えています!

 

けっこう大きな資産です。

 

 

しかし今、小川さんは
人には言いにくい『悩み』を抱えています。  

 

 

 

 

 

(ここから『架空のお話』。

 

米国の相次ぐ利上げによって、10以上の新興国で通貨危機が起こり、先進国の株式市場も軒並み「急落」してしまい、わずか2ヵ月間で小川さんの運用資産は

 

500万円以上も『減ってしまった』のです。

 

『架空の話』おわり。)

 

 

一時的にせよ、自身の運用資産が500万円強も減ったという事実を目の当たりにした小川さんは、「不覚にも目の前が霞んでクラクラしてしまいました」と告白されていました。

 

この数年で「つみたて投資」を始めた人にはまだ分かりにくいかもしれませんが、

積立投資を続ける中で
資産が2000万円、3000万円と積み上がると、

 

投資を始めた頃の最初の『気持ち』とは微妙に異なる、
『心のざわめき』みたいなものが起こったりします。

 

 

 

 

 

小川さん(仮名)の場合、
今、自身の中で史上最大の「運用資産額」(2690万円)を抱えており、

たった10%のマイナスでも「-269万円」という記号が

ネット証券の資産管理画面に
『数字』として映し出されてしまうわけです。

 

 

このマイナスは自分の給与のいったい何ヶ月分にあたるのか?

 

 

そう考えると、これだけの資産額を運用している自分が、空恐ろしく感じてしまったりします。

そして切に、「急落」や「暴落」は起こって欲しくないと願う自分が居たりします。

 

ところが、
マーケットの動向は誰にも予測し切れるものではなく、

半年後、2年後、いや6年後に、
ほんとうに「暴落」が起こってしまうと・・?

 

小川さんの『マイナス金額』はより大きくなってしまうでしょう。

 

 

なぜなら、
時間が経てば経つほど、つみたて投資によって、
より多くの『運用資産』が積み上がっているためです。

 

これこそが、
つみたて投資家が抱えるジレンマです。

 

 

 

 

コツコツつみたてを続けたい   (でも)   大きなマイナス金額はイヤだ

 

 

当クリニックでは
つみたて投資の『ステージ』を以下の「3つ」に分けて捉えています。

 

 

「第1ステージ」
シンプルに、毎月定額で
投資信託を買っていくことに専念できる時期。
運用資産残高はおおむね数百万円までのイメージ。

 

 

「第2ステージ」
つみたては続けているが、
これまで積み上がった
『資産の大きさ』も意識するようになる時期。
(運用資産が1,000万円超になっている)
毎月積み立てる行為より、
これまで積み上がった『運用資産』の増減を、どうしても気にし始めてしまう。

 

 

「第3ステージ」
積み上がった運用資産の大きさとその増減が、圧倒的な影響力を持つ。
毎月のつみたて金額の影響度はどんどん減っていく。
もはやフローではなく、ストックの投資となっており、リタイアを見据え、リスク量の調整を考え始めるべき時期。
(運用資産が概ね3000、4,000万円を超える)

 

 

 

小川さんは?

すでに第2ステージにおられます。

 

 

この「第2ステージ」の『特徴』は、

わたしは積立てをしてるんだという意識とともに、
わたしはまとまった資金を運用しているという「気持ち」が強く宿ってくることです。← そしてそれは事実なのです。

 


『第1ステージ』に居るときは、
マーケットの変動はそれほど気になりません。

たとえ大きな暴落があっても、
金額ベースでのマイナスはたかが知れているためです。

 

 

運用資産が大きくなればなるほど、
同じマイナスの割合(%)でも
実際の『金額ベース』は大きくなってしまいます。

 

あれ?

 

でも、そもそも、
「運用資産額」が大きくなるのは?

良いことですね!

 

私たちは運用資産を大きくするために、
(わざわざ)リスクを取って「つみたて投資」をしているわけです。

 

 

 

 

資産運用を続けていれば、
誰しもいつかは、
つみたて「第2ステージ」「第3ステージ」に達します。

 

そこでは文字通り『数百万円単位』で、
資産額が増えたり減ったりということはふつうに起こります。

 

 

この現象に慣れていく過程(プロセス)こそが、真のつみたて投資なのです。

 

カテゴリ:つみたて投資, 投資家の感情リスク

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