【パート1】ノルウェーにいったい何があるというのですか?(Government Pension Fund Globalという政府系ファンドがあります)
2023年7月4日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
告白します。
これまでの人生の中で
「ノルウェー」のことを真剣に考えたことは・・10回もありません。
すみません。
今日は真剣に考えますw
ノルウェー政府が運営する政府系ファンド
『Government Pension Fund Global』は、
個人投資家にとって
「鏡」となる「グローバル・アクティブ・ファンド」であります。
事は1969年に遡ります。
北海上で巨大な油田が発見されました。
ノルウェー人にとっては
(まさに)青天の霹靂!
(まさか自国領内で石油が出るなんて思ってもみなかったのです。)
地理的、気候的に
ハンデを負っていたノルウェーは、
石油とガスという『天然資源』を得たことで、経済が大きく飛躍します。
が、
ここから同時に
ノルウェー人の『自制』が始まるのです。
石油・ガスがわんさか出るっていっても、
資源価格はアップダウンするから、
石油・ガスに依存し過ぎないよう、
気を付けないといけないわ。」
という自制です。
石油による収入が膨大になると、
ふつうは財布のひもが緩んでしまいます。
人の場合は散財しますが、
国家の場合は
「税率」を下げて、
ムダに「支出」を増やしたりするのです。
実際、ベネズエラやリビアやサウジアラビアなど、数多の産油国がこれを実践しています。
しかし、
ノルウェー人はそれをしませんでした。
ノルウェーでは
議会制民主主義が確立しており、
『国家権力』が
仕組みとして分散されていたことが大きいです。
ひと握りの人間、ひと握りの分野、ひと握りの団体に権力が集中しない工夫が為されていた。
まず、自国の富(石油収入)が
海外に流出するのを避けるため、
外国資本を制限し、国営の石油会社(スタトイル ⇒ 現エクイノール)を設立しました。
また、産業の裾野を広げるため、
さまざまな石油加工業を興しました。
これを『自制』と呼ばずして、
何を自制と呼びましょう。
おりしも1980年代前半には石油価格が急落して、
ノルウェーでは10年近く不況が続きます。
『一国の経済が
単一の商品価格に翻弄されるさま』を実地で学んだわけです。
資源収入(増)
⇒ 社会支出(増)という短絡的なお金の用い方に陥らずに、
その富を長く享受するためには、どんな『方法』が適切なのだろう?
これを真摯に考えたノルウェー人は、
原油・ガスによる収入を、
『資産』に置き換え、多角的に長期運用する。
という結論に至りました。
ノルウェー政府ファンド
『Government Pension Fund Global』です。
1990年に議会で制度が承認され、
1996年に当該ファンドに最初の資金が拠出されました。
けっこうな月日がかかっています。
Norges Bank Investment Managementのサイトより、引用してみましょう。
creating what is now the Government Pension Fund Global, and the first money was deposited in the fund in 1996.
As the name suggests, it was decided that the fund should only be invested abroad.
1996年に最初の資金がこの基金(Government Pension Fund Global)に預けられた。その名前が示すように、この基金は海外でのみ運用されることが決定された。
海外でのみ?
(実は)当該ファンドはノルウェー国内の資産にはいっさい投資をしなかったのです。
続く・・)