投資家の感情リスク

「今から投資を始めて大丈夫ですか?高値掴みになりませんか?」は、何度も登場する普遍的な症状です

2023年6月17日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

お気持ちはよーく分かります。

(株式市場がこんなに上がっているので、)

 

あのー、今から投資に参入しても大丈夫ですか?
高値掴みになってしまわないかと不安です。

 

こう吐露する人が増えてくるのです。

 

 

 

 

これは正直、
今回に限った現象ではありません。

 

下記は直近5年の
S&P500指数のチャートです。

 

 

 

例えば、2021年の年末あたりでも、

今から投資を始めても大丈夫?

という人は居たでしょうし、

 

もう少し遡れば、
コロナの直前、

2020年1月頃にも、

今から投資を始めてホントに儲けられるのか?

と訝っていた人は居たでしょう。

 

 

仮に昔むかし、

アメリカのオレゴン州で
歴史の先生をしていたアフレックさん(仮名)が実在したとしましょう。

 

 

 

 

アフレックさんは
1927年生まれです。

 

 

彼が40代の頃、
自分のリタイアメントを真剣に考え始め、
投資をしようと思い立ちました。

それが1969年(昭和44年)のこと。

 

 

 

が、
アフレックさんは、S&P500指数のチャートを見て↑愕然とします。

 

1969年の1月のところを凝視すると、

 

大恐慌の頃から見て、株式市場はもう、
4倍以上に成長してしまっている。

 

S&P500は1969年1月に
880ポイントを付けていたのです。

 

 

〇 今から投資をスタートして本当に大丈夫なのか?
〇 高値掴みになってしまわないか?
と不安になっていたアフレックさんに、
あなたならどう『声』を掛けますか?

 

 

 

 

 

どんな時代に生きているかに関わらず、
私たちは直近の短い「値動き」を過大評価します。

 

そして、歴史的な
潮流としての市場の「傾向」を過小評価してしまいます。

 

 

一度深呼吸してみましょう。

 

 

 

あなたは別に、

現在の株式市場
―今の、日経平均株価やS&P500の数値―に、

お金を託すわけではありません。

 

あなたは、
これから先の、
株式市場の「変化」そのものにお金を託すわけです。

 

・・投資とは、壮大な時間差ゲームです。・・

 

 

今の株式市場が果たして上がり過ぎか(それとも)そうではないか?を気にしても、

その「正解」は後にならないと分かりません。

上記を気にし過ぎるのは徒労というものです。

 

それよりあなたが気にすべきは
あなたに残された「時間」と、潮流としての株式市場の「傾向」でしょう。

 

 

私たちは
今、2023年を生きているため、

現在(2023年)が、
【時の最先端だ!】と思い込んでしまうのです。 が、

 

 

 

 

 

すべての現在は、
例外なく過去になります。

 

 

あなたもわたしも
100年後には死んでいますが、

人類は?
生きているわけです。

 

 

100年後の
ダウ平均が 690,000ドル であったり、
100年後の
日経平均株価が 594,600円 であっても、

 

別におかしくはないでしょう。

 

 

もっと図太くなってください。

 

上がる相場も下がる相場にも、
飄々として付き合い続ける「図太さ」が必要です。

 

 

 

 

そして慎重で、
かつ大胆な人ほど、こんなセリフを吐かれたりもします。

 

「カンさん。
次の暴落が来たときに投資を始めたいんです。」

 

フム。

そのスピリットそのものはご立派です。

 

暴落時にこそ、
思い切ってお金を託す、その考え方は共感できます。

 

 

が、でも万一、次の暴落が
『6年と10か月後』だったら・・。

もしも、
暴落そのものが来なかったとしたら・・

 

手元にお金を置いておくだけでは
せっかくの『収益機会』を逃すことになってしまいます。

 

わたしは山崎元さんが仰る、
次のことば(考え方)が好きです。

 

 

ただし投資を始める際にはつみたて投資で。
かつ少額から始めましょう。

 

思い立ったら吉日です。

 

【追記】

投資に限らず、
文明社会そのものが
もう成長の限りを尽くして「天井」に至ったのでは?

という厭世観は、

アーネスト・ヘミングウェイの『日はまた昇る』で学ぶことが出来るでしょう。

 

 

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行き場を失った若者が
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カテゴリ:投資家の感情リスク

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