投資信託が個別株ほど儲からない理由とは?
2023年6月7日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
わたしだって個別株のことを
いろいろと物色するのは好きです。
この行為は、満天の星空の中で、
キラリと光る、自分にとって魅力的な『星』を見つけ出すことに似ています。
お客様の保有資産一覧を拝見すると、
「個別株式」と「投資信託」が並んで記されたりするのですが、
実はこの2つの投資対象は『キャラ』が大きく異なるのです。
こんな問い掛け、よろしいでしょうか?
○ですか、×ですか?
答え)○です!
なぜなら投資信託(株式ファンド)は
最初から何百もの個別株を同時に保有するためです。
「大きなリターン」は求めず、
『リスクの制御』に重きを置く道具です。
サッカーのイメージでいうと、
最初から「4対3」みたいな試合は望んでおらず、
『守り』を重視して、
そして効率的に『攻めて』、
「1対0」を目指すプレースタイルなのです。
これを『構造的』に云うと、こんな感じになります。
たとえば『トヨタ』の株のみを持つとは?
銘柄数「1」で
株式を保有することです。
トヨタ株の保有は、満天の星空(市場全体)の中で、
キラリと光る「一社の株」のみを持つことなので、
あなたが背中に背負うのは、
(実は)市場全体の不確実性『市場リスク』と、
トヨタという株式に紐づく『固有のリスク』(個別リスク)の 足し算 になります。
(図表のヨコ軸、銘柄数「1」なので、いちばん「左端」に。)
理屈で申しますと、
個別株「1社」のみの投資は、総リスク量(市場リスク+個別リスク)がもっとも大きくなるからこそ、期待リターンも相応に高くなるわけです。
銘柄数100銘柄、500銘柄などで「株式保有」し、
ファンドが『銘柄分散』をさらに進めると、
市場全体(一例:日本の株式市場そのもの)を保有することも可能です。
あっ、その場合『インデックスファンド』(含むETF)になりますが・・。
(一社のみへの投資と比べて)期待リターンがうんと低くなって当たり前です。
『市場リスク』のみを背負うことになっちゃうのでは?
ハイ、正解です!
(インデックスファンドで、
銘柄数1000とか2000になると、ヨコ軸の「右端」に。)
個別株式が好きな人、
一社、二社と絞り込んで
投資するのが好きな人は
(それで)いいと思いますが、
この200年余りの『株式のいちば』を振り返れば、
何とかして、
一社一社の株(かぶ)が持つ
固有のリスク要素(個別リスク)を、
「制御できないものだろうか・・?」という、
個人投資家の潜在ニーズに応える「歴史時間」であったはずです。
需要があるところに商品は育つといいますが、
業界は『投資信託』を発明したからこそ、より広範な個人投資家の取り込みに成功したのです。
最後に、インデックスファンドを保有するとは、
満天の星空の中で、
キラリと光る魅力的な星も、六等星くらいの目立たない星も、
「満天の星空ぜんぶ買っちゃおう!」という精神で市場と付き合うことを指します。