マイナスから始める積立は止めておこう(個人年金保険はお勧めしません)
2023年5月29日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
私たちの考え方は
一朝一夕では変わりません。
「毎日」「毎日」懸命に暮らして
微細な変化を連綿と受け継いでいく・・
ヒトってそんな生き物です。
昨日までの『集積』です。
ですから、
いきなり「変わる」なんて無理な話。
たとえば、
公的年金が頼りにならない、
老後の時間が長くなっている・・
「どうしよう?」となると、
半ば条件反射的に
『個人年金保険』を思い浮かべたりします。
これはもう、
半世紀以上にも及ぶ
生保業界のマーケティングの成果なのです。
過去の集積。
(名前に「年金」も付いていますし!)
ところが、
冷静に考えてみると、
将来の『公的年金』に不安があるにしても、
その代替となる、
お金の貯め方・増やし方の手段というのは、
別に「個人年金保険」だけではないわけです。
ココ、ちょっと冷静になってみましょう。
個人年金保険って基本、
ものすごく長い期間、
『マイナスの積立』を強いられるってご存じですか?
20年とか30年、
続けて保険料を払い続けると、
ほら、
あなたのお金はこんなふうに増えますよという、
『超長期の貯蓄型金融商品』。
それが「個人年金保険」なのです。
では、
『長期契約』の金融商品を買うことって、
果たして賢明な考え方なのでしょうか?
でも、投資信託は買う時に
長期契約の署名なんかしません。
もしもイヤになったら、
いつでも積立を止められますし、
自分に合わないと感じたら、
いつでもファンドの解約が出来ます。
『束縛』はされていないわけです。
ところが
個人年金保険は『束縛』されます。
(最初から長期の契約を強いられます)
ご覧のように ↑、
毎月毎月「個人年金保険」をせっせと積立てていっても、
積立期間の大半は『マイナスの状態』です。
自分のお金の価値が、
払い込んだ金額を下回る状態が、けっこう長く続くのです。
上記は別にあなたが悪いわけではなく、
保険会社が緻密な計算をして
そういう『商品設計』にしているだけです。
なぜかって?
別の視点を提示してみましょう。
そもそも
こんなに低金利なのに、
「固定金利型の」「超長期の貯蓄商品」を買うって賢明な選択なのでしょうか?
わたしは長期契約の金融商品はお勧めしませんが、
それでも、もしも
昭和63年や平成元年のような、
世の中の金利が高い、
長期金利が6%、7%を超えるような状況に万一なれば、
それなりの魅力が醸し出されると考えます。
よく言いますね、
金利が高いときは
固定金利の商品を。
金利が低いときは変動金利の商品を、と。
これはお金を貯める際の鉄則です。
今は昭和の終わりとは
『真逆の』金利環境であり、
したがって今のお勧めは
個人向け国債「変動10年」なのです。
カンさん。金利が低すぎるのは分かってるわよ。
だから、
ドル建て個人年金保険のほうを選んでいるの。
フム。
たしかに金利は
(円建ての個人年金保険よりも)高いことでしょう。
でも、
自分のお金の価値(ドルベース)が、
払い込んだ金額(ドルベース)を下回る状態が長く続く「商品構造」は同じですよね。
決して小さくはありません。
1ドル150円を
私たちは昨年(22年)経験しましたが、
東日本大震災の年(11年)には1ドル75円台にまで円高が進んでいます。
その変動幅は50%です。
ちょっと想像してみましょう。
『外国株式インデックスファンド』がマイナス50%になったり、プラス50%になったりする振幅の大きさを、
それだけではありません。
そもそもどうして
『一通貨の』外貨建て個人年金保険になってしまうのでしょうか?
投資信託の世界でいえば、
・アメリカ債券ファンドや
・豪ドル建て債券ファンドや
・ユーロ建て債券ファンド よりも、
・先進国債券ファンドを購入するほうが
リスクの分散効果が高くなる = 安心感が増すと思いませんか?
先進国債券ファンドなら、
国・地域の分散を通じて『通貨の分散』も可能になるためです。
同様に、
「外貨建て個人年金保険」でも、
みたいな商品コンセプトが
(どうして)生まれてこないのでしょうか?
あっ、
それでも、
わたしは個人年金保険は買いません。
(長い間、
マイナスになる事が決まっている積立はイヤなのです)