太陽と月と、積み立て期と取り崩し期
2023年5月22日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
人はあまねく
「太陽」と「月」、両方を経験します。
より正確に言えば、
前半は「太陽の国」に住み、
後半は「月の国」に住むことになります。
どちらがより良いという観点はありません。
いわば、どちらも「ないものねだり」なのです。
「太陽の国」で忙しく過ごせば、
穏やかな「月の国」に憧れることでしょう。
また慎ましやかな「月の国」に暮らせば、
刺激的だった「太陽の国」を羨ましく思う。
今ここで、ひとりの人が、
自身のお金を育てる『投資』という行為を続けます。
投資の前半(積み立て期)は
まさに太陽の下で暮らし、
トライ&エラーの中で資金を積み上げ、
さまざまな経験を繰り返し、
その中で、
保有する金融商品の「数」が増えるのも致しかたない部分があります。
いっぽう、
投資の後半(取り崩し期)は
月の国で訥々と暮らすことになります。
何しろ「リタイア」するわけです。
交友関係もずっとシンプルになり、
月の国で感じるのは、
心身の衰えでしょう。
もしかすると、
思考のリズムも緩やかになるかもしれません。
年を重ねる中で、
リスクに対する『耐性』が
小さくなることもあり得るでしょう。
そんな「月の国」に暮らす状況下で、
国・地域や
スタイルが異なる多数の投資信託を、
リ・バランスに気を配りながら、
果たして適切な順序で『解約』していけるでしょうか。
金融商品の「数」が多くなるほど、
資産配分そのものではなく、
自身の感覚で、
「まずはCファンドから売ろう。
そのあとAファンドとBファンドを解約して、次にDファンドを売るか・・」
のように『取り崩し』を進めてしまいがちになります。
あるいは、
多数のファンドを目にしてしまうと、
これは危険な行為でしょう。
なぜなら、預金からばかりお金を取り崩すと、加齢とともにリスク資産の『比率』が高くなってしまうためです。
あなたは現役時代から見据えることができますでしょうか?
いや、見据えるべきなのです。
「太陽の国」から「月の国」へ越す前に、「月の国」における資産管理のあり様を準備しておきましょう。
具体的には「2点」です。
できれば1本の、あるいは1種類のインデックスファンドに集約しましょう。
金融における一世一代の『お片付け』です!
できればリタイア時に、安全:リスク資産 = 50:50 程度にもっていきましょう!
人の寿命は年々長くなっているため、
もしかすると「月の国」での長さが、
「太陽の国」での長さとそう変わらなくなるかもしれません。
繰り返しですが、
どちらがより快適なのか?という論点は少しずれています。
どちらにも良さがあり、どちらにもつらさはあるのです。
ただ、
加齢の『楽しみ』はあるでしょう。
なぜなら、年を取って初めて、
「太陽の国」「月の国」、両方を比べられるからです。
カテゴリ:リタイアメント・資産の取り崩し