インデックス投資全般

全世界株式インデックスファンド「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」がやって来る!

2023年4月11日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

日興アセットマネジメントが運用を行う

「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」が4月26日に設定されます。

※ Tracersは「トレイサーズ」と読みます。

 

注目すべきはその運用管理費用で、
なんと年率0.05775%(税込)!

 

 

 

 

同じMSCI ACWI指数との連動を目指す、

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)0.1133%(税込)、たわらノーロード 全世界株式 0.1133%(税込)と比較しても、

異次元の『超』低コストです。

 

 

画像元:時事通信社

 

 

では、どうして今、
このような『超』低コスト競争が再勃発しているのでしょう?

 

 

来年から始める
シンNISAの『陣取り合戦』がスタートしているためです。

 

 

シンNISA制度は
既存の一般NISA、つみたてNISAとは『別建ての』制度になります。

実はココが大きなポイントで、

 

要は「既存のNISA利用者」も、
また来年からシンNISAを利用し始める「投資未経験者」も、

みんな『ゼロベース』で、
シンNISAという大きな非課税制度に(新たに)資金を入れ始めるわけです・・。

 

 

 

 

 

その枠組みは?

一人あたりの投資枠1800万円まで。

 

非課税の期間は『無期限』で、
非課税の恩恵をなるだけ膨らませようと思えば、

・自分に合った投資信託を選んで、
・それをなるだけ長く持ち続け、
・時間を掛けて資産を成長させようとする・・

 

そういう『戦略』になると思いませんか?

 

 

運用会社から見れば、

 

これまでの既成のファンド勢力図が一度「真っ白」になって、
まさに「ゼロ」から
シンNISAでの『競争』を挑めるわけで、

 

 

シンNISAの中で、
「最初に選んでもらえる投資信託を出そう!」という意欲が生じるのは当然であり、日興アセットマネジメントが一気呵成に挑戦してきたことも頷けます。

 

 

 

 

 

シンNISAは
投資信託業界にとって
一世一代の『ビッグ・チャンス』なのです。

 

 

今、まだ、4月です。

この、本格競争の過熱ぶりを見ていると、

 

今年(2023年)は稀に見る
投資信託の新規設定ラッシュの年になりそうです。
(シンNISAで『主導権』を握るべく!)

 

 

ところで、
「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」の有価証券届出書を見てみますと、

 

 

 

画像元:有価証券届出書

 

マザーファンド形式を取っており、
ETFを内包するタイプではありません。

 

 

先進国株式と新興国株式はすでに
純資産額が潤沢なマザーファンドが存在。

(MSCIジャパン指数との連動を目指す日本株式マザーファンドは新規設定される模様です。)

 

 

2015年頃から始めった
インデックスファンドの低コスト競争は、今新たな次元に突入した感があります。

一投資家としては嬉しく思いますが、
しかし懸念もあります。

 

それはTwitter上での
イブさんのリプに象徴されます。

 

 

 

運用会社の本分は
持続可能な範囲内で誠実に投資信託の運用を行うことです。

 

運用管理費用が限りなくゼロに近づいた結果、
多くのファンドが持続不可能になった・・。という事態だけは避けてもらいたいものです。

 

「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」の運用状況については、継続してウォッチしてまいります。

 

 

【追記】2023年4月14日

「eMAXIS Slim」シリーズの運用会社である三菱UFJ国際投信は、
「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」に対抗して信託報酬(運用管理費用)を引き下げることはしないと表明しています。



また、三菱UFJ国際投信から声明も出ています。
『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』シリーズの基本理念について

要するに、
運用管理費用というコストの中に含まれる費用項目に相違があるため、単に運用管理費用のコスト差で比較することには意味を見出せないということなのでしょう。


個人的に思うのは、

〇 投資信託に掛かる費用項目を全て同じ基準にすること
〇 かつそれらが同じ条件下で情報開示されること

〇 そして何処からどこまでを『運用管理費用』とするのか、法令で統一された『雛型』を作ること
〇 その統一された雛型に則って各ファンドが情報開示を行うこと

 

そうすれば、ファンド間の客観比較がしやすくなると考えます。

 

まだまだ課題は山積みですね。

カテゴリ:インデックス投資全般

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