投資家の感情リスク

金融商品は収集(コレクション)するもの?

2023年4月10日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

あなたは今、
自転車の「ヘルメット」を探しています。

カッコよく(かつ)丈夫そうなモノを発見し、
「良さげ!」ということで購入することにしました。

 

ヘルメットは
具体的なモノとして存在しており、それを用いることでどれだけ効用が得られるか、あなたは具体的にイメージすることが出来ます。

(だから買ったわけです。)

 

 

上記と同じノリで、
金融商品を買うって・・・・・、

んー、
決して「悪い」ことではありません。

 

 

 

 

 

何しろひと昔前までは、
駅前の証券会社に行って、

金融商品の情報を仕入れ、
証券会社の人に「どうでしょうか?」と訊ねるしか手段がなかったわけです。

 

それがネット社会の進展によって、

―例えば「投資信託」を例に挙げれば、―

 

投資信託を売っている人以外の、
信頼できそうな人の『情報』を、

あらゆるSNSを駆使しながら、
それこそ、四方八方から水を飲むように
摂取できるようになったわけですから・・。

 

 

投資家の環境が、
以前より良くなっていることは疑いの余地がありません。

 

 

 

 

実はわたしは長い間、
金融商品 = 生活用品。という捉え方をしてきたのですが、どうやら間違っていたようです。

 

 

金融商品 = 情報そのもの に近いのかもしれません。

 

 

あなたはYouTubeで
「便利なキッチン用品」の特集を観ていて、
『大根電動おろし器』を発見しました。

 

 

 

 

 

「何これ、すごくイイ!」
と思ったとしましょう。

 

実際にモノが確認できて、
あなた自身がどれだけ便利になるかを実感できました。

 

(すぐにでも買いたいのですが、)

しかしキッチンの面積は
物理的に限られていますから、
容量が大きなモノは慎重に判断する必要があります。

 

 

翻って、

金融商品、
特に「投資信託」の特色とは何でしょう?

 

具体例として、
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を挙げてみます。

 

 

 

これは・・・、
容量のあるモノとしては認識しません。

肌触りも、分かりません。

 

 

商品の『中身』についても、
アップルやグーグルやアマゾンが銘柄の一部として入っているのは分かりますが、

 

 

当該ファンドに組み入れられている、
1つひとつのアメリカを代表する企業(500社分)と、その「組入れ割合」を諳んじて言える人なんてほとんどいません。
(わたしも言えません。)

 

 

少し意地悪く言えば、私たちは投資商品を、


『情報』というコンテンツが映し出す「印象」によって把握し、それをもとに購入に至ったりするわけです・・。

 

 

 

 

 

加えて、
金融商品はかさばることがありません。

 

金融商品 = 情報そのもの?

 

 

金融商品を、もはやモノとして所有するというより、そこから一歩進んで、情報として収集(コレクション)するという行動に近くなっている人が結構おられるのでは?

 

たとえば投資信託など、
購入金額でいえば500円とか1000円で買えてしまったりするので、情報を入れる感覚で『クリック』していくと、あっという間に10本、15本と「本数」が積み上がります。

 

 

誤解して欲しくないのは、

 

投資商品の情報提供が充実してきたこと自体は、たいへん喜ばしいことなのです。

 

 

しかし、
情報によって購入する金融商品の、

その『情報源』が、

たとえばYouTubeのとあるコンテンツのように、

 

・限られた時間で
・再生回数を上げるために
・分かりやすく(かつ)断定的な言い方で
・単一の結論を(派手に?)訴えかける 類の『情報』であったなら、

 

 

 

 

金融商品に対する、安直な認知が形成されてしまう危険性があります。

 

 

正直、

 

皆がイイって言ってるから、やっぱ米国株式のインデックスファンドだな。

 

みたいな「考え方の形成」は、

ものの2時間程度で出来上がってしまうことも可能なのです。

 

 

特に、その『情報』を摂取する過程で、

 

・デメリットの部分
・注意すべきところ
・「ワタシには本当にこの商品が合っているの?」という内省、自問の部分

が不足していると、私たちは安易に『分かったような気』になりやすいのではないでしょうか。

 

カテゴリ:投資家の感情リスク

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