アジアの時代(ミシェル・ヨーのアカデミー賞受賞から考察する)
2023年4月7日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
先日、マレーシア出身の俳優ミシェル・ヨーが
アジア人女性として初めて、
アカデミー賞『最優秀主演女優賞』を受賞しました。
彼女が主演した映画、
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ主要6冠を制覇しています。
同作品は「パラレルワールド感」満載の映画なのですが、
キャストの大半をアジア系俳優が占める映画が、アカデミー賞を獲得するなんて、隔世の感があります。
ところで、
近年のアジア系映画の躍進には理由があります。
最重要マーケットになっているためです。
例えばあなたは
「カンフー・パンダ」という映画を覚えていますか?
同作品は
ドリームワークス・アニメーションによって製作されましたが、明らかに中国市場を意識しています。
中国、東南アジア、
そしてインドなどのアジア市場が、
今後もっとも潜在成長性が高いマーケットであることは、映画産業にとって自明の理なのです。
いや、
あらゆる産業にとっても、そうなのでしょう。
数百年のスパンで見ても、
経済成長の噴出場所が
西から東に移ってきています。
わたしが毎日拝見しているヒロさんのブログでも、次のような記述があります。
地球儀ベースでみると経済の成長は常に西に向かっています。
ギリシャ、ローマ→スペイン、ポルトガル→オランダ→英国→アメリカ→日本中国を含むアジア→次の期待がかかるのがインドです。
これは個人的な予想ですが、
ディズニーは遠からず
『踊るマハラジャ』的な、
インド市場を当て込んだアニメ映画を製作するのではないでしょうか。
ひと昔前は、
白人ドミネントの映画界で酷い扱いを受けていました。
あなたはオードリー・ヘプバーン主演の映画
『ティファニーで朝食を』(1961年)をご存じですか?
この映画の中で、
アパートの管理人として、
ユニオシという日本人が出てくるのですが、
この日本人は
背が低く、出っ歯で、メガネであり、
いかにも意地悪く醜悪な容姿で描かれています。
非常にステレオタイプなアジア人のイメージです。
「ステレオタイプ」がはびこるとは?
そもそも表層的な認識、理解しかしていない。ということです。
私たちは資本主義の世の中に生きているため、
市場(マーケット)が大きくなることで、
その地域の理解を深めようとします。
映画界におけるアジアやアジア人の描き方も自然、多層的になっていくことでしょう。
このような「歴史的・時間軸」を持って、
今回のミシェル・ヨーの
アカデミー賞『最優秀主演女優賞』の受賞を知ると、異なった感慨を持つ事が可能になります。
何よりわたしは、
ミシェル・ヨーの以下の発言に感銘を受けた一人なのです。
Michelle Yeoh: 『Asian Actors Winning Awards Should Be the Norm in Hollywood』
(アメリカのトークショー番組
「The Late Show with Stephen Colbert」の動画より。)
※以下わたしの拙い意訳です。
Colbert)
あなたはアジア人として初めてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされましたが、ノミネート時にそのことに気付いていましたか?
※Colbertとは番組のホストであるColbert氏のこと。
ミシェル)
本当は「別の初めて」が
1930年代に存在していたのです。
彼女、Merle Oberonは自身のアイデンティティを隠さざるを得なかった。※
(彼女の母親がインド出身だったのです。)
当時彼女は、100%英国の女性として振る舞っていました。
(※注釈 Oberonさんがアイデンティティを隠さざるを得なかった理由についてよーく考えてみましょう)
これまで多くのアジア系俳優が苦労しながら、さまざまな「初めて」を勝ち取ってきました。
わたしが「初めてだ」なんてどうして言えるでしょうか?
私は素晴らしい女優さんや男優さんをたくさん知っています。彼らのおかげで私たちはこの場所に立ち、そして今では、私の傍には多くの仲間がいて、私の前方にはもっと多くの人達がいます。
ですから、このようなこと(「初めて」ということ)が過去のものとなり、私たちのようなfaces(アジア人)がふつうに賞にノミネートされ、
平等にさまざまな役柄を演じる機会が与えられ、
確かな地位を得ることが当たり前になってほしいと願っています。
本当にそう思います。
時代は明らかに「アジア」にシフトしているのです。
最後に、これから世界の中心となる「アジア」の中に位置する日本は、大きなアドバンテージを有しているはずです。
やはり日本は福岡に遷都すべきでしょう。← 大真面目に。
カテゴリ:経済よもやま話