ちょっと心配なインデックス投資「安全」、オルカン「万能」信仰について
2023年4月5日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
インデックスファンドを用いた運用は、
決して『安全』ではありません。
特に、
株式100%のインデックスファンドは、
立派に価格変動が大きいです。
→ リスク「大」
しかしながら、
昨今はSNS情報の影響力が強く、
他人の表層的な主張を
自分の中で腹落ちさせずに、安易に採用する人が増えています。
「皆がいいって言ってるからインデックス」派。
上記は
愚者小路さんが、
『インデックス投資の妄信に気を付けて!暴落局面が試金石か。を400字で。』という記事内で記された言葉です。
インデックス投資は市場平均を持ち続けて初めて成立する。
理解と覚悟が備わっていなければ、インデックスファンドを自身の裁量でアクティブ売買するような本末転倒を容易に招く。
そう、理解と覚悟。
大事ですね。
要は、インデックス投資のデメリットについても咀嚼しておかないと、リスク資産を持ち続けるのはなかなかタイヘンなのです。
という他力願望的な考え方は危険かもしれません。
投資と向き合う時は、不安:期待 = 4:6 くらいの気持ちで、かつ、その不安の中身を知ろうとすることが肝要。
具体的には「どんなリスクが内在するか?」をしっかり腹落ちさせておくことで、リスクに対する準備を整えておく・・。
インデックスファンドの
最も理不尽なところは、
市場の変動リスクを「もろに」被ることです。
ケンズさんの記事、
【インデックス投資は決してリスクが少ない投資法ではない、だからこそ重要なこと】を読むとその事がよく分かります。
ただ、インデックス投資は、
市場そのものの変動をもろにうけます。
言わば日本海の荒波が押し寄せる海岸で、
ふんどし一枚で腰に手を当てたまま立っているようなものです。
ホントにそうなのです。
市場全体の『リスク』を背負うとは、
市場が上昇するとき、
その上昇分を
自身のリターンとしてほぼ享受できるメリットが生じるいっぽう、
その『対』として、
市場が下落するとき、
その下落分を、
自身のリターンとして(無条件に)受け入れないといけないわけです。
「このあたりでマイナスをストップさせて!」とか言えません。
株式インデックスファンドも、
負ける時は派手に負けてしまうのです。
ケンズさんも仰っていますが、
年率に直すと5%とか6%のプラスのリターン獲得のために、
潜在的にマイナス50%とか、マイナス60%にもなる可能性がある「投資対象」をただ忍耐強く持ち続けないといけないという、
わりと理不尽な側面を持つ「投資手法」なのです。
ただし、誤解がないように申し上げると、
それでも、
個別株を選好したり、
FX(外国為替証拠金取引)を行ったり、
手数料が高いアクティブファンドを売り買いするよりは、ずっと(ずっと)まっとうで理に適った投資のやり方であることは疑いの余地がありません。
それでも、つらい時はつらい。
また「株式インデックスファンド」で云えば、
S&P500との連動を目指すファンドも、
全世界株式インデックス(MSCI ACWI)との連動を目指すオルカンも、
―オルカンとはeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のこと。―
両方とも「安全ではない」投資です。
→ リスク「大」です。
S&P500インデックスファンドを選ぶより、
オルカンを選んだほうが「安心」だ。
オルカンはさまざまなリスクを想定して作られているので「万能」だ。
みたいな言説も、
ちょっと危うさを感じます。
オルカンは
S&P500インデックスファンドより、ほんの少し、価格変動の振れ幅を抑えられる程度です。
リスク「大」「中」「小」のカテゴリー別でいえば、
オルカンも「ほぼ同じ」(リスク大)なのです。
(オルカンのほうが国・地域の分散、通貨の分散を施している分だけ、若干リスクの大きさの指標である標準偏差が小さくなるだけ。)
本当に安全な投資のほうへシフトしたいのであれば、
つまりはリスク量を小さくしたいのなら、
「株式」に「債券」を加えたバランスファンドなどを選択しないと、違う世界へは行けません。
市場が落ちる分だけ、
株式インデックスファンドの価値も下がってしまうのです。
この事実は、
常に頭の隅に留めておくべきでしょう。
カテゴリ:インデックス投資全般