NISA活用法

シンNISAの辛さ

2023年3月23日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

まずはこちらのツイートから。

 

 

はい、おっしゃる通りです。

 

売却時にだけ「お得」になります。

 

※仮にシンNISA「成長投資枠」で、高配当株や高配当株ETF等を保有すれば、定期的インカムが得られ、かつ非課税の恩恵も受けることが出来ます。しかし本日はここはスルーします。

 

 

巷では
「シンNISAはすごい!
非課税期間も無期限になった!」という絶賛の嵐です。

 

 

シンNISAの噂を聞きつけ「よし! 頑張ろう」と意気込んで、

分配金がないインデックスファンドを選んで、
コツコツ積立投資をして、

 

 

何とか一人あたりの投資枠1800万円に近づけて、
やがて「そこ」に到達して、
自分が老後の入口に立った時に、
シンNISAから投資信託を解約し始めて初めて、『非課税の恩恵』を実感できるわけです。

 

 

かなり、

 

長い道のりです。

 

 

 

 

 

iDeCo(個人型確定拠出年金)との『比較』が分かりやすいでしょう。

 

iDeCoをやっている人は
毎年10月下旬頃にハガキが到着します。

「小規模企業共済等掛金払込証明書」というハガキです。

 

このハガキを見ると、

 

今年も『所得控除』= 節税できるんだ。と実感しますね。

 

 

iDeCoの運用成績とは関係なく、
毎年1回「節税実感」でちょっと嬉しくなったりします。

 

 

何かしらの「ご褒美」があることは、
長く投資を続ける『インセンティブ』となるでしょう。

 

 

ところがシンNISAでは・・?

 

運用の途上、
これといって「ご褒美」はありません。

 

 

 

 

 

あなたが分配金のない超低コストのインデックスファンドを選んで、← 勿論これを推奨します。

 

コツコツつみたて投資をひたすら続けることは、
―「特定口座」とまったく同じであり、―

 

 

シンNISAの道程では正直、
何のメリットもありません。

 

 

あなたはただ懸命に走ります。

 

途中、給水所もなく、
沿道に観衆の姿もなく、

 

 

 

 

(実際は、共に走る長期投資家は周りにたくさん居るのですが、)それは容易に可視化されず、あなたはたった独りで、投資という名の『長いマラソン』を走ることになります。

 

 

シンNISAは独り長い道のり。

 

独り長い道のり。

 

独り長い道のり。

 

 

 

その間、華々しくスポットライトを浴びることも、ほとんどありません。

孤独な道程です。

 

 

(あなたが望む)利益に対して『非課税』という恩恵は?
 最後の、最後のほうにやってくるわけです。投資信託の解約時に。

 

これがシンNISAの現実です。

 

 

 

えー、カンさん。
なんだか昭和の演歌みたいに「苦節○○年!」的に言い過ぎじゃないですか。

 

あっ、すみません。

昭和のおじさんなので、つい・・。

 

 

でも、
シンNISAと特定口座で
やること、感じる事は「1ミリも違わない」という点は重要だと思います。
※異なるのは最後の最後だけ。

 

 

 

 

 

長く孤独な道のりなので、
ちょっとした『利益』が積み上がったときの歓喜は、十分に想像できます。

 

以下「一例」です。

 

 

橋本さん(仮名)は
シンNISAの投資元本がすでに1000万円に達しました。
利益が600万円ほど乗っており、
今の運用資産額は計1600万円にもなります。

 

嬉しい!

 

 

・・(ちょっと)売りたくなりませんか?

 

 

 

旧NISA制度と違い、
シンNISAでは、

ファンドを解約しても、
その「元本部分」については翌年以降、『投資枠』が復活します。

 

 

「ちょっと、800万円分だけ売ろうか・・。」と、橋本さんの中で誰かが囁きます。

 

 

実際、投資信託を800万円分売却すれば、
ヤッター!的な『達成感』が味わえるかもしれません。

 

※注 上例は、具体的な資金ニーズがないのに、利益が膨らんでいるので「つい売ってしまう」という具体例です。教育費や介護の費用で資金ニーズがある時は正々堂々と「売る」のが正解となります。

 

 

もう一度、頭の整理です。

 

 

上例の場合、

800万円の中には
300万円分の利益が含まれており(1600万円の中の利益が600万円であるため)、

『元本』に相当するのは500万円です。

 

 

 

 

 

注意が必要なのは、
シンNISAの『投資枠』が復活すると云っても、売却した800万円分がまるまる「復活」するわけではなく、復活は元本部分の「500万円」のみです。
しかも、
ファンドを売った翌年に
「500万円分」すべて投資が出来るわけではありません。

 

 

翌年     360万円
翌々年  残り140万円

 

というふうに、
「投資年」が分かれることになります。

※上記ではシンNISAで通常投資は行っていないと仮定。

 

 

 

こうして『具体例』で記すと、

いくら利益が出ているからといって、途中で800万円分売るよりは、なるだけ「含み益」を温存させ、もっと運用資産額が大きくなったときに解約したほうが得策だという事が見えてきます。

 

(※まだ、一人あたりの投資枠(元本ベース)1800万円にも到達していないわけで・・)

 

 

 

 

 

でも、
シンNISAの唯一の
そして最大の恩恵は『非課税』ですから、

 

含み益を抱えた状態で運用を続けることは常に、
「ねぇ、今売ってしまいましょうよ。」という誘惑との戦いになるわけです。
これがシンNISA最大の注意点であり、シンNISAを続ける『辛さ』なのです。

 

 

シンNISAの基本戦略は、
長いマラソン、走り切る。という、プロセスの単純化であり、

「小さな利益」を無視して、
「大きな利益」に注力し切ることです。

 

 

大事なことなので、もう一度言います。

 

シンNISAの戦略は、
「小さな利益」をやり過ごして、
「大きな利益」のみを追い続けること。

 

 

 

 

カウンセリングを通じて実感するのですが、「利益に対して非課税だよ」という一大メリットを忘れた頃に、私たちは(ようやく)NISAという制度に馴染んでくるのではないでしょうか。

 

 

こちらでもシンNISAの『基本』を詳説しています。

 

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