国別株式インデックス → 外国株式インデックス → 全世界株式インデックスと、インデックス投資の間口を広げてきたバンガードという会社
2023年2月19日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
突然ですが、インデックス投資の原型って何でしょう?
(それは)それぞれの国の「国別株式インデックス」でしょう。
1976年、バンガード社は
「Vanguard 500 Index Fund」の運用を開始しますが、
アメリカ人が
アメリカ株式の平均点(S&P500)に投資をするのは
比較的分かりやすい概念であったはずです。
もちろん遅れて、
カナダでもイギリスでも日本でも
ノルウェーでもシンガポールでも、
「国別株式インデックスファンド」は盛んになっていきました。
しかし、です。
インデックス投資の概念の、ほんの一部しか体現していません。
少しだけ、アメリカ人の気持ちになって、
『アメリカ以外の先進国の国々?』を想像してみましょう。
(こんな言い方をすると)
アメリカ人に叱られるかもしれませんが、
米国人には「私たちが中心よね。」という意識がどこかあるため、
・馴染みも薄い、
・他の国々の、広い範囲の株式に投資を行うことには、
けっこう高いハードル(壁)があったと推察します。
米国人にも日本人にもスウェーデン人にも、
インデックス投資にとっての大きな壁は
「外国株式インデックス」だったのです。
この『壁の存在』を、アメリカのバンガード社はよく知っていて、
インデックス投資に向いているのですよ。」と、数多の米国人投資家を啓蒙していった・・
そこが素晴らしいのだと思います。
1990年、バンガード社は
「Vanguard Pacific and European Index Funds」の運用を始めます。
ヨーロッパ株式、アジア太平洋の株式に投資を行うインデックスファンドを、
ところで、なぜバンガード社は1990年、シンプルに『アメリカ以外の先進国株式指数』との連動を目指すインデックスファンドをローンチしなかったのでしょう?
実は日本のバブルが関連しているのです。
りんりさんが
こちらのブログ記事で詳説されています。
バンガードのジャック・ボーグル氏に『時価総額加重での国際分散投資を、躊躇わせたものとは?』【投資トリビア】
話を元に戻しますよ。
のちのち振り返れば、
上述の「外国株式インデックス」というカテゴリーも、
(実は)比較的理解されやすい「投資対象」でした。
なぜなら、
1.自国(アメリカの株式)がまずあって、
そして、
2.それ以外の「先進諸国の株式」をパッケージ化したものだから。
それでは、最大のハードル(壁)となったのは?
「全世界株式インデックス」でしょう。
(こんな言い方をすると)
アメリカ人に叱られるかもしれませんが、
「私たちが中心よね。」という意識が米国人にある中、
全世界の株式をどうして(わざわざ)保有しないといけないの?」
バンガード社はおそらく、
アメリカ株式(自国の株式)を『相対化』させるために、
あえて「全世界株式」という投資概念を示し、
アメリカ人の投資家により「高次の視野」を獲得させるべく、以下のようなインデックスファンドをローンチさせたのではないでしょうか。
その勇気、見識も(まさに)見上げたものだとわたしは思います。
2008年6月にバンガード社は
「Vanguard Total World Stock Index Fund」の運用を開始しました。
『全世界株式』というカテゴリーはまったく新しくかつ進歩的なものでしたが、
同じ距離感で、公正(フェアネス)を感じさせる投資対象となりました。
実は「全世界株式インデックスファンド(or ETF)」という投資対象が生まれて、まだ15年しか経っていないのです。
【補足】
バンガード社の「トータル・ワールド・ストックETF(VT)」は、
上記Vanguard Total World Stock Index Fundのシェアクラスとして、同年2008年に運用をスタートさせています。
カテゴリ:インデックス投資全般