わたしのFP修行, 金融機関にモノ申す

1998年の暮れ、野村證券のカウンター越しに見えたもの(わたしが相談業務を続ける理由)

2023年2月16日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

このブログを読んでいるあなたとわたしは、おそらく投資を始めた『きっかけ』が異なります。

 

わたしの場合、
FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を取ろうとして、

「資産運用設計」について
あまりにも無知であったため、
自分で投資をやってみようと思ったのです。

 

 

(自分で金融商品を買ってみないと、
金融の学問が
「実際的なコト」として頭の中に入ってこないと感じたため。)

 

 

もしもFPの資格に出会わず、
ずっと不動産会社に勤めていれば、多分投資をすることはなかったでしょう。

まさに機と運が重なったのです。

 

 

 

 

わたしはFPの資格学校に通う中、
1998年の暮れに
生まれて初めて証券会社(野村證券)に行って、投資信託を買いました。

 

 

(内心、
金融機関がどのように金融商品を勧めてくるのかにも興味があったのです。)

 

 

机をはさんで向かいに座った営業マンの人は、

カラー刷りのファンドのパンフレットをいくつか並べて、
『演説』を始めました。

 

 

 

 

営業マンの人は、直近の世界情勢や、
ユーロ誕生のインパクトや、
日本株の反転シナリオについて、

唾が飛んでくるような勢いで
「専門用語」をまくし立てました。

 

まるで寸劇を観ているようで、
わたしは口をぽかんと開ける&苦笑いの状態でした。

(ちなみに、彼の言っていることはほとんど理解できませんでした)

 

証券会社という店舗の中で、
「投資信託」という商品が販売されている実態を、
はじめて垣間見たわたし。

 

当時、心の中に湧いていた戸惑いを、
今なら正しく言語化できます。

 

 

あの空間は、
(当時の野村證券のカウンターは)
『占いの館』だったのです。

 

 

 

あなたが「家」を探しているとしましょう。

占い師の人が、

 

・どこどこの方角の
・例えば〇〇や△△といった沿線上にある、
・□□的な間取りなら運勢が開ける
・あなたのラッキーカラーは○○で、ラッキーナンバーは▽▽ですよ。

 

と具体的に教えてくれたりします。

 

 

 

 

 

それと同様に、
投資信託を探しているあなたを見て、

 

証券会社の人が、

 

・国地域でいえば○○の、
・例えば△△といった資産を内包した、
・具体的には□□や▽▽という方面の銘柄を組み入れたファンドなら、
これから大きな利益が期待できるから、
・キーワードは○○!
・見るべき指標は▽▽と□□なのです。

 

みたいに論を立てるわけです。

 

 

 

まるで
迷える子羊(わたし)が
「ご神託をいただく場。」
それがかつての証券会社のカウンターでした。

 

 

あの時の、業界特有の因習のようなものに触れた違和感を、

―ざらざらするような『居心地の悪さ』― を、

わたしは未だに覚えています。

 

(もちろん今では、
顧客のリスク許容度をしっかり聞いて、
個々の投資信託がどのような「不確実性」を有しているかを、しっかり説明されていると思います。)

 

 

わたしのFP = アドバイザーとしての『原点』は、あの野村證券のカウンターにあるのです。

 

 

資産運用というサービスに携わる人が、

 

〇 消費者が理解できない「専門用語」を多用し、

〇 相手から30センチ高いような場所から、
「教え諭す」ような言い方をして、
〇「私の言うことを聞きなさいよ」的な圧をかけてくる。

 

そこには相互理解の欠片もありませんでした・・。

 

 

 

 

が、同時に、
この摩訶不思議な空間には
大きな『可能性』があると感じたのです。

 

 

もしも(万一、)わたしがFPとして
お金の相談業を始めることが出来たら、

 

1.日常のことばで
2.わかりやすく、噛み砕いて話をする
3.金融商品は生活商品のひとつであり、
 私たちはそれを選ぶ消費者であると心得る
4.お客様の側に立ち、デメリットや短所の部分もきちんとお伝えする

 

これをやろうと。

 

これこそ自分がやるべきこと。と思えたのです。

 

 

わたしはしがない個人事業主ですが、『何のために仕事をしているのか?』と聞かれれば、昔も今も、

 

投資のイメージを変えたい!
ふつうの人が、
暮らしの中で実践する「まっとうな投資」「具体的なカタチ」を、日常のことばで、一人でも多くの人にお伝えしたい。
だからこの仕事をしています。

 


と胸を張って言うことができます。

 

これが私の小さな矜持です。

 

 

 

 

逆に、今申し上げた「使命感」

仕事を通じて、
投資環境を少しでも良い方向に変えたいという「パッション」が、わたしの中からもしも消え去ってしまったなら、わたしは躊躇なくこの仕事を辞めます。

 

大きな決意の『きっかけ』を与えてくれた、
あの野村證券の営業マンの人には、今でも感謝しているのです。

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