アドバイザーの役割は時代とともに変遷する?
2023年2月11日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
今はどの金融機関も声高に『つみたて投資!』と言っていますが、
わたしの記憶によれば、
野村證券がメインサービスのひとつとして
「つみたて投資!」と言い始めたのは、
リーマンショック後のことです。
意外と最近なのです。
投資信託「つみたて」の掛金の単位も、
最初は「1万円」でしたが、
5000円 → 1000円単位 へと、
徐々に引き下げられていったのです。
あの、野村證券でも・・。
(だいたい運用会社の起源が、
ヨーロッパの貴族の資産管理でしたから。)
歴史の大部分において、
「つみたて投資」の必要性を説く人は
微塵もいなかったのは事実でしょう。
まとまったお金(ストック)で
リスク資産を買っていく人たちですから・・。
資産運用のアドバイス業務はどうでしょう?
今日、もっとも制度が進んでいる米国でさえ、
投資アドバイザーの多くが、
顧客に「最低・運用資産額」の基準を設けています。
金融資産 20万~25万ドルくらいなのです。
2600万円から3200万円程度(1ドル130円換算)
では、
資産運用がお金持ちのものでなくなったのは一体『いつから』なのか?
・・21世紀に入ってからでしょう。
規模の利益がモノをいう、
あるいは
閉じられた紹介、縁故サークルであった資産運用の世界が、
テクノロジーの進化によって大きく変化したのです。
ETFやインデックスファンドという『道具』も、
テクノロジーの一種とみなすことが可能です。
このような商品の普及が
投資の民主化に有形無形に貢献しているわけです。
また、米国では
WelthfrontやBettermentといった
新興の金融機関、
いや、金融のテクノロジー企業が台頭しています。
上記会社はいわゆる投資一任契約による
「お任せ運用(ロボアドバイザー)」を行う会社であり、アメリカで人気を博しています。
両社を比較するこちらのような記事が
複数あります。
〇 ETFを用いて
〇 高度な資産配分を組み、
〇 メンテナンス(適切なリバランス等)までを含めて、
運用資産の 0.25%のフィーという、
画期的な「料金体系」を打ち出しています。
(たとえば Welthfront の
最低投資額はなんと500ドルから!)
ついに「大衆産業」になったと云えるでしょう。
また昨今は『ChatGPT』を始めとした、対話型、問題解決明示型のAIが著しく進化しており、
理論的・知識武装的な面で云えば、「生身の投資アドバイザー」の仕事の大半は10年以内になくなる可能性すらあります。
このような状況下でわたしのようなファイナンシャルプランナーは、「何を売りにするのか?」を
真剣に考えないといけないでしょう。
おそらく、
技術的なアドバイスでなく、
精神面で相談者さまに寄り添える
カウンセラーの役割に近づいていくのだと思います。
以下、わたしが20年来目標としている『理想のアドバイザー像』です。
相談者さま
「今年は何をすればいいですか?」
アドバイザー
「何もする必要はありません。」
<< 次の年 >>
相談者さま
「今年はどうすればいいですか?」
アドバイザー
「今年も何もする必要はありません。」
<< また次の年 >>
相談者さま
「今年こそ何をすればいいですか?」
アドバイザー
「今年も何もする必要はありません。」
相談者さま
「では、あなたはいったい何のためにいるの?」
アドバイザー
「はい、お客様に、余計なことをさせないようにするためです。」
そういうことなのです。
カテゴリ:わたしのFP修行