投資を難しくしているのは、私たちの「欲」です
2023年2月10日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
日常生活では
ごく自然に・・
『いちばんいいモノを見つけたい!』
という気持ちを抱きます。
トマトソースにしろ、
電動自転車にしろ、
賃貸物件にしろ、
金融商品にしろ、
いちばんいいモノを見つけたいという感情は自然なもの。
ところが、金融商品
特に『運用の商品』では、
家電や旅行商品とちがって、製品の効用(効き目)がすぐに現れてきません。
商品の効き目がすぐには分からないのに、『いちばんいいモノを見つけたい!』に固執し過ぎると、
大量の情報ばかりを浴びる結果となり、2年経っても3年経っても、投資が始められないという事態が起こってしまいます。
これも、
私たちの『欲』が投資の邪魔をしている一例です。
また『いちばんいいモノを見つけたい!』
という欲は、
それを安く買って、
なるだけ高く売りたいという「欲」に派生します。
実際、
ファンド価格が大いに下がった状態に遭遇し、
安く買いたい&
なるだけ大きな資金を投入したいという「欲」が発露する事もあります。
「欲のかたまり」なのです。
投資が難しいのは、
何も市場(マーケット)のせいではなく、
私たちの「欲」の管理が難しいからだ。としばしば思います。
では、投資における「欲」の本質は一体どこにあるのでしょう?
それは、
あなたやわたしの『自意識過剰』の中にあります。
自分には分かるはずだ!という自意識です。
この世を見ているのは、
他ならぬあなた自身です。
したがって
「自分を中心に」世界を認知するのはごく自然なこと。
ところが、
これを投資の世界に援用してしまうと、
あなた(投資家)が、
市場(マーケット)と「一対一」で対峙していると「錯覚」してしまうのです。
「フム。
アメリカの政策金利はすでにピークを過ぎているから、
〇〇は△△になって、その結果□□だから、
株式市場はそろそろ上がってくるはず。」
とか。
こういう自分なりの予想は、
頭の体操にもなりますし、
投資を面白くしてくれるのは間違いありません。
それに、
目先、自分の予想が当たったりすると、
ちょっとした万能感を実感できたりもします。
「わたしは時流を読むのが上手いかも・・」
一度、思考の「でんぐり返り」をしてみましょう。
〇 実はMr.マーケットは
あなたの存在など、微塵も考慮してくれていません。
〇 わたしもあなたも、
数多いる、投資の参加者の一人に過ぎません。
そして、
〇 市場そのものの複雑怪奇な動きに比べれば、
あなたが選んだひとつの『投資対象』は、
市場の一断面を表すひとつのツールに過ぎないのです。
逆説してみましょう。
賢明な投資家とは、
上記のような「欲」の存在を認め、
自分を戒め、
自分の「欲」を飼い慣らすことに長けた人といえます。
これこそ、投資と長く付き合うための「欲」の制御法なのかもしれません。
カテゴリ:投資家の感情リスク