マリリン・モンローの歌「One Silver Dollar」から学ぶ(お金は人から人へ渡り歩く)
2023年1月17日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
マリリン・モンローの映画
「帰らざる河」(1954年)を観たことがあります。
モンローの魅力は
その甘く切ない声にあるのではないでしょうか。
「帰らざる河」の中で彼女は
『One Silver Dollar』という歌をうたっています。
実はこの歌の歌詞が、
紙幣や硬貨、
つまり「お金の本質」をズバリ言い当てているのです。
“One silver dollar
Bright silver dollar
お金は人から人へ
お金は人から人へ
尽きることなく転がり続け
浪費され盗まれる存在
お金は人から人へ
お金は人から人へ
一杯の麦酒を求めた銀貨
ギャンブルですってしまった銀貨
お金は人から人へ
お金は人から人へ
ならず者の銃弾によって欠けた銀貨
血に染まり埃に埋もれた銀貨
One silver dollar
Worn silver dollar
お金は人から人へ
お金は人から人へ・・”
最後の
「Worn silver dollar」とは、
使い古された銀貨という意味です。
お金は人から人へと渡り歩きます。
そのたびに
お金を介して、
「サービス提供者」と「消費者」が交錯します。
誰かの消費が、誰かの所得になり、
そしてその所得が、また別の消費を誘発するという無限の連鎖です。
言い方を変えれば、
使い古されず、
貯蔵されるだけの「お金」は、
人の営みに参加せず、
文字通り「死に金」になってしまうということ。
紙幣には『ドラマ』があるのですね。
例えば、です。
昭和30年代の日本を想像してみましょう。
その頃出始めたばかりの「1万円札」を
主人公に見立ててみます。
都内に住む小山田新平さんは
賞与袋の中から真新しい『1万円札』を取り出し、
それですき焼き用の肉を買います。
1万円札は肉屋のおかみさんに渡されました。
ちょうど、肉屋の娘さんが結婚する直前で、
その1万円札は、婚礼家具の一部に使われます。
1万円札を受け取った家具屋の主人は、
自分の父親の入院費にそのお金を充てます。
(父親は肝臓を悪くしてもう2年も入院していました)
お金を受け取った病院は、
その1万円札を、
病棟を増設する費用の一部に充てます。
1万円札は建設会社に渡り、
建設会社はそのお金で
商社から建設工事用のボルトを買い付けます。
1万円札を受け取った商社は、
輸入した木材の支払いにそのお金を充てます。
(そのとき、1万円札はドルに替わります)
28ドル弱の通貨に変貌したお金は
香港の李湾公司という貿易会社から、
マレーシアのゴム輸出会社に渡ります。
そして、
このドルはマレーシアの通貨リンギットに替わります。
ゴムの輸出会社はマレーシアのゴム農園にゴム原料の支払いを行い、最終的に(小山田さんの賞与は、)ゴム農園で働くインド系移民の、ヴェニゴバル・パンデーさんの給料に変わるのです。
給与を受け取ったパンデーさんは、
来年小学校に上がる息子の教育費として
そのお金を地元の銀行に預金します。
そしてそこからまた、お金は旅を続けます・・。
デジタル通貨は
物理的に使い古されることはありませんが、
それでも「人から人へ」旅を続けることは同じでしょう。
カテゴリ:お金の摩訶不思議