ワクワクする金融サービスを待っているのは私たちユーザーです
2022年12月8日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
以前、日経新聞に
次のような記事がありました。
同記事内で
京大大学院教授の岩下直行氏は
次のように述べています。
今後は預金にリンクしているフィンテック企業が
利用者との接点になり、銀行とほとんど接触しなくなる。
フム。なるほど・・。
この1年以内で、
あなたは銀行の店舗内で、
(対面で)何かサービスを受けましたか?
おそらくNOでは。
接点といえば、
そのほとんどが銀行の『ATM』ではないでしょうか。
そのATM数も2019年に、
セブンイレブン(セブン銀行)のATM数が大手銀行のATM数を上回りました。
銀行って何なのでしょう?
それは(かつて)
預金という名の巨大な集金マシーンでした。
(そして)銀行とは
預金を裏付けとした巨大な融資の装置だったのです。
現状、一介の個人は
「銀行口座」がないと、
給与を振り込んでもらうことが出来ません。
でも来年からは?
給与を入金してもらうことが可能になります。
また、銀行口座がないと、
公共料金など各種「口座引き落としサービス」が利用できません。
上記も、
各種決済アプリは将来的に
「実質的な銀行口座の役割」を目指しており、
「口座引き落としサービス」への参入も睨んでいることでしょう。
たとえば一例ですが、
インデックスファンドを積立投資する。
PayPay同士やLINE Pay同士で、
お金の「送金」をしている人も今は多いはずです。
あるいは、
マネーフォワードのような『家計管理アプリ』が、
お金のサービス(預ける、借りる、増やす、決済する、送金する)の、プラットフォームになってもよいわけです。
貯める、借りる、増やす、決済する、送金する等
お金の基本機能がすべて完結する世界がやがてやって来ます。
「PayPay」にしろ「LINE Pay」にしろ、
どうして事業会社は
『決済アプリ』に力を入れるのでしょうか?
決済アプリを起点に新たな「お金のサービス業」を興し、
ネット上の
使う、貯める、借りる、増やす、送金するなど、
個人の『お金の通り道』となって、
今の銀行サービス(リテール)を凌駕したいためでしょう。
かつて銀行業は「量」でビジネスを競っていました。
預金量! 融資残高!
お金(現金)という、
もっとも価値のある商品を扱う銀行という会社は、
産業界のリーディングカンパニーだったのです。
今、取り扱うおカネの量そのものに
果たして価値はあるのでしょうか?
(デジタル上では、
200円でも2500億円でも
同じデジタル数字に過ぎません。)
おカネの量ではなく、
おカネの『履歴』だと思います。
銀行はこれまで、
さまざまな人の「お金の通り道」になりながらも、
お金を使う(決済する)、貯める、借りる、増やす、送金するなどの各アクションの中で、そのデータを逐一汲み取り、解析し、利用することを怠ってきました。
扱う量ばかりに注目し、
その具体的な中身を軽視してきたのです。
決済アプリに端を発する
「お金のサービス会社」は、
お金のやり取りをデータとして積み上げ、記録し、重要な『経営資源』として活用する目論見を持っています。
たとえば、
住宅ローンをはじめとしたお金の『貸し出し業務』です。
貸出し金額を容易に算出することが可能になるでしょう。
またネット社会となって、
たとえば部屋を短期で借りたい人と、
部屋を短期で貸したい人を
ネット上で結び付けることが可能になりました。
―エアービーアンドビー(Airbnb)が代表例ですー
それと同じように、
お金を「貸したい人」と「借りたい人」を
ネットで結びつける新しい金融サービスが各所で興ることでしょう。
考えてみますと、銀行も可哀想です。
これまで銀行は『各種規制』に、
手足を縛られてきました。
よく言われることですが・・
銀行内にコンビニは作れない。
規制は撤廃して、
銀行がコンビニ業をやってもよいではないですか!
預金を取り扱わない銀行があってもよいですし、
住宅ローンを主業務にする銀行があってもよいわけです。
銀行が
解体的出直しをして、
新たな「お金のサービス会社」を立ち上げる。
そして、
「お金のサービス業」を目論むフィンテック企業と切磋琢磨する。
金融業は100年に一度の『大変革期』に突入しているのです。
そしてワクワクする金融サービスを誰よりも待望しているのは、私たちユーザーなのです(^^)
カテゴリ:金融機関にモノ申す